四景
さよならベイビー・ブルース
昼の公園
カンナの姉、観鈴が本を本棚から落としている
健介とカンナがやってくる
カンナ お姉ちゃん。
観鈴 やあ。かわいい妹ちゃん。お隣は彼氏。
健介 はい。そうです。
カンナ ちゃうからちゃうから。姉ちゃん、一体何しとるんさ。
観鈴 憂さ晴らし。
カンナ またくだらない恋愛を引きずっているの。
観鈴 くだらなくない。私は幸福でいたいの。
観鈴、本を落としていく
健介落とした本を本棚に収めていく
カンナ 姉ちゃんは不幸に見えるよ。恋がうまくいかなくても幸福な人間ってたくさんいるけれど、姉ちゃんは不幸になろうと努めているようにみえるよ。
観鈴 不幸で何が悪い。
カンナ 別に私はいいよ。なんでも。
観鈴 あはは。気が狂ってしまったんだ。
観鈴、退場する
健介 お前の姉ちゃん、かなり重症だな?
カンナ 焦ってるの。もうすぐ期限なのに、あの人不幸だから。
健介 お前んち、姉ちゃんと二人だよな。大丈夫なのか。これから先。
カンナ 大丈夫じゃないよ。それでも生きるんだ。
健介 なんで人生ってこんなに苦しいんかな。
カンナ 私は苦しくないよ。これでも楽しんでる。
健介 僕はしんどいよ。
カンナ 苦しみに溺れるなよ健介。ビンタしてあげようか。
健介 いやなんで。
カンナ、健介をビンタする
カンナ 励ましさ。
健介 そらどうも。
カンナ 不幸とか幸福とかどうでもいいよ。楽しいか楽しくないかだけだよ。なんかみんな狂ってしまうのがいやだ。
健介 カブトガニ。
カンナ なに。
健介 カンナからここでカブトガニの話を聴いてからカブトガニみたいに生きていけたらいいなって思った。
カンナ 変わってるね。君。
健介 互いにそうじゃね。
カンナ 私は別に変わってないと思うけど。
健介 まさか。
悠やってくる
悠 ちょっとちょっとお二人さん。何なされているんですか。
カンナ べつにー。
健介 ちゃす。
悠 ちゃす。
カンナ 今日はどこいきます。
悠 とりあえずカフェでもいきましょ。
健介 えいえい。
三人 おー。
三人退場
暗転
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