第7話 『ルミナ・スラッシュ!』
「全部で……56体いるね」
フィールドマップ詳細で、周辺にいるモンスターの数を確認できるらしく、リサリサはマップウィンドウを開いて数を確認してくれていた。
私はその間に、スキルや装備の確認を急いで行う。
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【保有スキル一覧】
▷なし
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スキルはリサリサの言った通り、何も使えないんだ……。
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【装備一覧】
武器(右)⇒【旅人の魔法剣(N)】特殊効果なし
武器(左)⇒なし
頭⇒なし
腕⇒なし
胴⇒【旅人の白服(N)】特殊効果なし
腰⇒なし
足⇒【旅人の靴(N)】特殊効果なし
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うん……。
想像はしていたけど、バリバリの初期装備。
当然、追加効果やこの危機的状況を逆転させることができるものは何一つない。
どうしよう。どうしたらいいの……。
一度ログアウトする?
でもそれだと、他のプレイヤーに迷惑をかけることになるよね。
だったら、やっぱりこのまま戦うしかないのかな。
「ねえ、ルミナ……」
「……なに、リサリサ……?」
覚悟を決めた私とは真逆で、リサリサは真っ青な表情のまま真っ直ぐ私の元へ駆け寄ってきて、手をギュッと握ってきた。
リサリサの手……震えてる……?
「顔真っ青だけど、大丈夫?」
「……ルミナ、ごめん。……私、ちょっと怖い。ここから動くのも厳しいかも……」
「うん……大丈夫だよ。私に任せてよ」
何が大丈夫なのかは、私にも分からない。
ただ、チュートリアルで戦ってきた色んな敵と比べれば、猪なんて最初の敵だったし、一番マシなモンスターだと思うことにした。
私がリサリサを護るように前に立つと、猪たちも姿に気付いたようで56体全てが戦闘体制に入った。
荒々しく地面を蹴り立てるため、周囲に砂埃が舞い上がり視界が悪くなる。
敵は多数だし、近接戦は不利。
なら遠距離から少しずつ攻撃するしかない……。
何とかこの危機を脱したい一心で、手にしていた『旅人の魔法剣(N)』を力一杯振ってみた。
——適当に思い浮かんだ言葉を叫びながら。
「——《ルミナ・スラッシュ》!! えいっえいえいっ!!」
剣で斬るというより、幼い子供が木の棒を振るように、無我夢中でただ三回振り回しただけ。
だが、私が叫んだ《ルミナ・スラッシュ》の声に反応するかのように、魔法剣は七色に光輝きを放ち、虹色に煌めく斬撃の塊が猪の群れめがけて飛んでいった。
「な、なななななんかでたよぉ!!! ……きゃぁ」
煌めく斬撃の塊は、強風を起こし、土煙を立て、草原エリアの草を綺麗に刈り取ったかのように更地に変えていく。
それこそ、フィールドの地形を変えてしまうほどの破壊力……当然、猪なんて影も形も残るはずがない。
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
わ、わわっ。ログが止まらないよ!!
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『ワイルド・ボアを倒しました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『SP獲得時に《グイデの恩恵》が発動しました』
『ボアの毛皮×56を入手しました』
『ボアの牙×23を入手しました』
『ユニークスキル《ルミナ・スラッシュ》を会得しました』
『ユニークスキルがオリジナルスキルに変換されました』
『称号【猪狩りの達人】を入手しました』
『称号【初めてのユニークスキル保持者】を入手しました』
———全プレイヤーで最初のユニークスキル保持者が出現しました。【プレイヤー名:ルミナ】———
やっと止まった……。
っていうか、あの三発で全部倒せちゃったの?
まさかすぎる展開に驚いていると、後ろにいるリサリサは私以上に驚きを隠せないようで、駆け寄り抱きついてきた。
「ルミナーー! やばっ……え、やばっ……すごすぎるよ!!」
「キャッ。……えへへ、私も一生懸命だったからよく分からないんだけどね……」
「だってほら、全部倒しちゃったよ??」
「倒しちゃった……ね」
「しかもユニークスキル! あの草ボーボーなのを更地にしちゃったすごいのがそうだよね?」
「う、うん……」
「ユニークスキルの件は運営から自動通知されて、全プレイヤーに伝わっちゃったから、これでルミナも有名プレイヤーの仲間入りだね」
「えぇ……さっきの通知みんなにいってるの?!」
ゲームを始めて人生2日目に、有名プレイヤーなんてとんでも無い。
そして何度見返しても、地形を変えてしまった目の前の光景が未だに信じられなかった。
口に出した《ルミナ・スラッシュ》が、何故かそのままユニークスキルになることにもびっくりだけど……。
スキル名はリサリサにも黙っておこうっと。
さすがに《ルミナ・スラッシュ》って名前付いてるなんて、恥ずかしくて言えないもんね。
——その後も休憩を挟みながら、安全第一で狩りを続け、私のレベルは5に……リサリサのレベルは8になったのであった。
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【ステータス】
ルミナ[Level:5]
HP:200 MP:400
▷STR:【5000】▷VIT:【1】▷INT:【1】
▷DEX:【1】▷AGI:【1】▷CRI:【1】
【保有ステータスポイント】
▷【1000】
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【スキル一覧】
《ルミナ・スラッシュ》
※ユニークスキル⇒【ルミナ専用スキルに移行】
⇒自身の【STR】の数値により、威力・射程・範囲が強化されるユニークスキル。連続使用可能だが回数制限あり。
⇒使用可能回数:(10回/1日)
《グイデの恩恵》※ルミナ専用スキル
⇒ステータスポイント獲得時に自動発動。獲得できるステータスポイントを10倍にする。
⇒その他にも隠れた恩恵が……?!
『ルミナ様へのサプライズプレゼントですよ!』
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【USO攻略兼雑談掲示板】
250:たらこくちびる
『ついに出たな!』
251:さすらいの旅人さん
『出ましたね……初ユニークスキル』
252:ゴリザエモンの息子
『プレイヤー名ルミナだっけ? 知ってるやついる?』
253:名無しの権左衛門
『知らん。初日のレベルUPランキングに名前なかったぞ』
254:ぽんぽこたぬき
『え、ちょ、みんな見てないの?』
255:たらこくちびる
『ぽんぽこさんちっすー』
256:ゴリザエモンの息子
『何のことだよ』
257:ぽんぽこたぬき
『Vtuberアイドルのリサリサの動画!』
258:さすらいの旅人さん
『リサリサちゃんねるってやつですか?』
259:名無しの権左衛門
『見たことあるな。UPされてんの?』
260:ぽんぽこたぬき
『されてる。ってかそこに映ってんだわ……ルミナって子』
261:たらこくちびる
『まじか! ちょっと見てくるわ』
262:ゴリザエモンの息子
『情報さんくす。わいも見てくる』
263:名無しの権左衛門
『リサリサと一緒にいるってことは、友達か?』
264:ぽんぽこたぬき
『かもしれん……。ってかルミナのおっぱいやばい』
265:名無しの権左衛門
『おいおいまじか。俺も見てくるわ』
266:彼女募集中の冒険者
『ルミナちゃん色々とやばいよね。おっぱいも確かにやばいけど』
267:いちごみるく
『私も見ましたよ。あのユニークスキル強すぎません?』
268:ゴリザエモンの息子
『ちょ。何あれ。おっぱい揺れすぎ、スキル強すぎ!!』
269:さすらいの旅人
『ですよね。職業何なんでしょう……』
270:いちごみるく
『剣みたいなの持ってましたし。あの火力は侍ですかね』
271:たらこくちびる
『やばかった……色々おかしい。けど、ルミナちゃん拾ってたのって"魅了のお香"じゃない?』
272:ぽんぽこたぬき
『まじだ。ってことはこの前の戦闘力53万の変態おじさんってやつが狙ってたのってまさか……』
273:彼女募集中の冒険者
『リサリサとルミナちゃんだったんか! 許せん!』
274:たらこくちびる
『でも計画通りいかず、ザマァだな』
275:ぽんぽこたぬき
『言えてる。俺ルミナのファンになるわ』
276:名無しの権左衛門
『おい、抜け駆けか?』
277:彼女募集中の冒険者
『俺もなるわ。ルミナちゃん応援したくなった』
278:ゴリザエモンの息子
『わいもルミナたんのファンになるぜ。おっぱいぶるんぶるんー』
279:名無しの権左衛門
『おい、お前ら! わいもルミナちゃんのファンになるし。おっぱいぶるんぶるんー』
280:ぽんぽこたぬき
『おっぱいぶるんぶるんー』
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