第8話 【過去の仕事.7】
それから約1週間後━━
グラシアの体調も良くなり、俺は依頼の続きをこなす事に。
「ありがとうございました。随分とお世話に」
「まぁまぁ、助け合いの世界だからな、とはいえ助かってよかったよ。」
モクの葉を鉄パイプに詰めて火を付けながらカイルも言葉を返した
「ジャック。これからこの子を送っていくのか?」
「あぁもちろん。父親の元へ送るまでが仕事だからな」
ちらっと見ると上着のホコリをポンポンと払いながらイズミはグラシアに話しかけていた。
「これで良し、持ち物は…特にないもんね。ジャック、ちゃんと送ってあげなよ?」
壁にかけた上着を羽織りつつ「あぁ。」と簡単な返事をしながら外に出る
思いの外いい天気だった。だが目に入るのは廃材や瓦礫の山でいい景色とはいかないが送り仕事には天気がいいに越したことはない
「行くぞ。君の体調を考えて休憩を取りつつ、依頼主の父親の居るハムザ地方へ向かうぞ、いいな?」
グラシアが縦に首を振った。
カートリッジ内の砂残量を確認してナイフの柄に装填してシースに戻し、歩みを進める。
グラシアはジャンク屋の方を振り向き、手を振るカイルとイズミに頭を下げた後に早歩きてジャックの後ろをついて行く
俺が後で聞いた話だとカイルとイズミは俺たちの姿が見えなくなるまで見送っていたとグラシアから聞いた。
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こういった捜索依頼はどんな形であれ依頼主に引き渡すまでが仕事だ。骨の一本や本人が身につけていた物だろうと送る。 最初の内は大体死んでいるか手の施しようがない瀕死の状態が多かったが「慣れ」とは怖い物でそんな【当人の一部】を渡した時の依頼主の嘆きの声すら仕事と割り切っているせいで何も感じなくなっていた。同情よりも「どんな形であれ自身では叶えられない再会が出来た事」にありがたく思えなんて考えが出た時はゲス過ぎて吐き気がした。
でも、それでもこれはあくまでも依頼であり仕事なんだ。情が深いとこの世界じゃ生きるのが辛くなる。…けどやはり俺も甘いんだよな。今回のケースは生存という形で依頼主に送れてよかったと考えたらニヤリとしてしまう
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