第3話 【過去の仕事.2】
もう一度男らの死体を確認した後、何の躊躇いもなく小屋のドアを開けた。
「よぉ〜遅いじゃねぇか。小便のついでにクソまでしてきたのかぁ?」
後ろを振り向く事なくグビグビと酒をラッパ飲みしていた。
「ああ。小便どころかクソの詰まった袋になったぜ。2人ともな」
「あん?」
ようやく振り向いたが全く危機感の無い据わった目でこちらを見る
「誰かと思ったらおめぇ、酒場のガキじゃねぇか。こんなとこまで来て混ざりてぇのかー?あん?」
「バカ言うな、【仕事】だよ。その子を回収しに来た」
仕事、その事を聞いた瞬間に全裸のままこちらに銃を向けた。
「そうかい、仕事かい。まぁお前に狙われたら逃げれたやついねーもんなぁ。死ぬ前にいい思いしちまったからよぉ、まぁいいわ」
口を開けば粘ついた唾液がニチャニチャと不快な音を立てる。不快だ
「で?その銃は旧型か?それともキューブ製……」
言い終わる前に左頬に熱さを感じ、血が床に落ちる。
「いいね、キューブ式か。荒くれ者でもそいつを持ってるなら"当たり"の可能性が高いな。オレの頬を抉ったお代分はしっかり貰ってやるよ」
間髪入れずにエニグマを発動する。2発目を撃ったがもう当たる事はない。闇のエニグマで銃口を覆って飲み込ませた
「お前がやはりウワサの奇術使いか!!」
「奇術じゃなくてエニグマだ、冥土の土産に覚えておきなおっさん。」
光のエニグマを発動してナイフのブレードを伸ばして首を跳ね飛ばす。壁にぶつかって転がる首をサッとボロ布で隠して胴体部の切断面を闇のエニグマで覆った。こんなの女の子が見るもんじゃないからな。
とはいえ血飛沫が飛び散って壁に付着した分は隠せず、全裸の少女は小屋の隅で頭を庇うようにして縮こまり、震えていた。
「君がグラシアか?俺はジャックだ。君のお父さんが酒場経由で依頼を出したのを俺が引き受けて君を助けにきた。遅くなってすまない。」
「私を……助けに……?」
ジャックは近くにあったベッドのシーツを見るとソレを軽く払って少女の首から下を隠すように掛けた。体液が付着して異臭がしていたが全裸のままほっとくよりマシだ。仕方ない。
「もう安心していい、そのシーツは汚いかもしれないが我慢してくれ。立てるか?」
「…。」
見ると少女を目から涙が溢れていた。
「本当に死んじゃうかと思ったのっ…アイツらに好き勝手にされて……もう身体中痛いのにやめてくれなくて…もう居ないのにアイツらの下品な笑いが消えないっ」
言葉が出なかった。 【一時的な自分勝手な快楽は1人を一生のトラウマにする。】
そんな状況、状態の現場で「もう大丈夫」「もう安心だ」 だって? 自分を殴りたくなった────何処が大丈夫だ、何処が安心だ!?
「すまなかった、こんな状況でもう安心だなんて簡単に口にしてしまって…。だがこの状態だ。近くに俺の知り合いが居る所がある、そこへ場所を移ろう。ここから離れた方がいい。」
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