第51話 母さん達の過去②
第51話
剣side
俺には3人の幼馴染が居た。
一人は男で、もう二人は女だ。
その中でも、俺は 高橋 鞘という女の子が大好きだった。
でも、その関係はあっという間に壊れた。
いとも、簡単に…
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放課後、俺はよく男の幼馴染の伊藤 雄介に相談に乗って貰っていた。
「はぁ…」
「また愚痴か?もう聞き飽きたよ…」
「すまん…でも、お前しか話せる奴が居ないんだよ…」
主にその内容は、『鞘とどうやったら、付き合えるか?』だ。
毎回、愚痴やこんな話に付き合わせて申し訳ないとも思っていた。
だが、雄介は少しだけボヤきながらも、ずっと付き合ってくれる良い奴だった。
少なくとも、そう思っていた…
「よしっ、ありがとう!今度、やってみるわ!」
「…せいぜい、頑張れよ。お前、肝心な所でヘタレなんだからさ。」
「なっ!わ、解ってるよ!」
まぁ、こんな軽口を言い合える位には仲が良かったと思う。
絶対に本人には言わなかったが、親友だとも思っていた。
おそらく、向こうもそう思ってくれていただろう。
今は、そんな自信は全く無いが…
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「なぁ、雄介…」
「何だ、剣?」
「俺、鞘に告白するわ。」
俺はまず、雄介に報告した。
ずっと、相談や応援をしてくれたからだ。
その言葉に、雄介は…
「そうか…頑張れよ。」
と、言ってくれた。
俺はその言葉を胸に、より一層覚悟を決めた。
そして、俺は放課後に鞘を呼び出した。
「何の用かな、剣君?」
「ああ、実は…」
「実は?」
いざ、本番になると息が詰まりそうになる。
ダメだ、言葉が出ない。
「大丈夫?」
「うっ、だ、大丈夫。」
思い出せ、俺の鞘への気持ちを…
…背中を押してくれた雄介の姿を!
「実は…高橋 鞘さん!貴方の事が好きです!俺と付き合ってください!」
言った…言ってしまった……
ダメだ、鞘の顔が見れない…
「ごめんなさい…」
「うっ、そ、そうか…」
だが、断られてしまった。
でも、気分は清々しい物だった。
フラレてしまったが、全ての想いを吐き出せた。
それだけで俺は満足だ…
「私、雄介君と付き合ってるの。だから、ごめんなさい。」
「…………………………………………………え?」
続く
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