第49話 イフ
第49話
BSS…
僕の方が先に好きだったのに、か…
それはまた…
「ずっと拗らせて、それに囚われてるのよ。もう滑稽な位にね。」
初恋は呪いだ。
おそらくだが、お義父さんはそれに囚われてしまったのだろう。
多分、あの反応から察するに…
俺の母さん、高橋 鞘に…
「で、告白してフラレた訳よ。雄介さんと付き合ってるから無理って。」
成程、それはキツい。
脳とか破壊されたんだろうか?
「そうですか、ありがとうございます。」
「あら、もう良いの?まだまだ話せるけど…」
「いえ、もう大丈夫です。」
そう言って、俺は澪さんの家から出る。
はぁ、気が重い…
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俺は家に帰り、ずっと部屋に籠もっていた。
何となく、お義父さんの話を聞いて、考えを無駄に巡らせてしまっている。
「成程なぁ…」
どうしても考えてしまう。
考えるのを止められない。
だって、あの人は…
「俺のIFか…」
BSSの辛さは俺も身を持ってしっている。
結局は勘違いだったが、胸にシコリと痛みを残していったのは確かなのだ。
「もし、遥に出会えていなければ…」
あの時、あの場所で会えていなかったら…
後で遥と結婚する運命だったとしても…
時間が経てば経つ程に、そのシコリと痛みは呪いになっていただろう。
「ああ、辛いなぁ…」
おそらく、あの人はずっとそれに苦しめられているのだろう。
女々しいのかもしれない。
バカバカしいのかもしれない。
それでも、俺は考えずにはいられないのだ。
「だが、認めてもらうには…」
あの人にトラウマを乗り越えて貰うしかない。
どうやって、出来るかは解らないが…
「やっぱり、そうするしかないか…」
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「また、来たのか…」
「はい、認めてもらうまで何度も来ますよ…」
そう言うと、はっきりと苛立っている顔をする。
まぁ、そうなるよね…
この人の気持ちを考えれば、俺って不快の塊みたいな物だし…
「あら、相変わらず気持ちを隠すのが下手ね…」
「…まさか!」
アンタには酷だろうが、俺は切り札を切らせて貰う。
説得するの、結構大変だったんだぜ?
「久しぶりね、剣君?」
「鞘…ちゃん……」
続く
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