その10 敗北者はようやく気が付く/そして、覚悟を…

その10


柊side


今日は一人でコンビニに来ていた。


普段なら車を出してもらうが、生憎今日は一人だ。


仕方なく、一人で来てしまう。


「はぁ、最近は何故か遥と時間が取れてないなぁ…」


少し寂しい物だ。


だが、この寂しさも俺と遥の愛情のスパイスとなる。


そう思えば、充分に満足だ。


「ん?あれは…」


遠い場所に人影が見えた。


しかも、何処かで見た事がある姿だ…


もしかして、あれは!


「やっぱり!おい、はる…」


俺は信じられない物を見てしまった…


遥が…あの遥が!


誰とも知らない男と並んで歩いている!


しかも、肩に抱き付いているだと!!


「ふざけるなよ…」


俺は少しずつ近付いていく。


すると、遥と馬の骨との会話が聞こえてきた。


「今日はしっかり絞り取るからね。」

「おっ、おう。手加減してね?」

「…善処するね♪」

「それ守らないパターンの奴!」


絞り取る?何をだ?


もしかして…


嘘だ、そんな訳ない!


「ふふ、今日は奥の奥まで、しっかりと愛してもらうからね、刃。」

「勿論だよ、遥。」


奥の奥まで愛すだと?


ま、まさか!?


アイツ、遥を犯して…


許せない、絶対に許さない!


確か刃とか言ってたな…


ん?確か刃って…


「高橋 刃か!」


あの俺達の邪魔をする害虫か!


どんな方法を使ったかは知らない。


おそらく、脅迫か洗脳で好き放題しているのだろう。


「絶対に消してやる…」


少し待っていてくれ、遥!


俺が君をその悪魔から解放してあげるからな!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


刃side


「ん?」

「どうした、遥?」


遥を澪さんの家に送っていると、急に遥が後ろを振り返る。


何かあったのか?


「少し嫌な気配がして…」

「でも、何もないぞ?」

「…だね。気のせいだったみたい。」


それならいい。


でも、俺も嫌な予感がするんだよなぁ…


「刃…」

「何だ、遥?」

「明日、クラスで私達の関係を公表してもいい?」


と、聞いてくる。


俺は別に良い。


友達はクラスに鉋しか居ないし…


だが…


「良いのか?トラウマがあったんじゃ…」

「もう良いの。唯でさえ、面倒な事が増えたの。そんな事にかまってる時間はないもの。」


覚悟を決めた様な目で俺を見詰め、彼女は告げる。


「それにもう一度終わらせたいの、私の幼馴染との関係を。」

「そうか…無茶はするなよ?」

「解ってるよ。でも、ピンチの時は助けてね♪」

「当たり前だ。」


そう言って、遥の頭を撫でる。


全く、何当然の事を聞いてんだよ…


終わり

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