第29話 それぞれの宣戦布告

第29話


非常に怖いです。


さっきから、遥さんが黙り込んでて冷や汗が止まりません。


そんな空気をぶち壊すかの様に…


「あははは!最後の最後でブチかましましたね、あの性格ブス女は!ツマラナイ存在だと思ってましたが、あれ程までの気概を持ってたとは…」


「観察が足りなかったかな?」とボヤく莉奈。


そして、ニヤリと笑いながら俺の方を見て…


「私も裏方に居座るのは止めようと思います。」

「裏方?」

「はい。そこの沈黙してる遥さん、ちゃんと手綱を握ってないと、が貴方の彼氏である先輩を奪いに行きますからね♪」


そう言い残し、莉奈も去っていく。


そして、去り際に…


「では、を頼みますよ、先輩♪」


と、告げる。


それは勿論の事だ。


瑠璃は俺の妹であり、親友であるお前の親友でも有るからな…


すると…


「は、遥さん、で、でしたっけ?」

「瑠璃…」

「お兄ちゃん、お願いだけど、今は黙ってて。」

「…解った。」


瑠璃は覚悟を決めた目をしていた。


これなら、俺が何かを言うのは無粋になるだけだ。


今はその言葉に従おう。


「私も目を覚ましました…」


目を覚ました?


あれ、嫌な予感がするな…


「かなり忌々しいけどあの性悪女と、頑張る私の親友を見て覚悟を決めました。」


ねぇ、それってもしかして、覚悟する方向性を間違えた物じゃないよね、我が妹よ…


「絶対に負けませんからね!私は、いやは絶対にお兄ちゃんと幸せになって見せる。それが無理でも、その時は私が子姑としてイビリまくってやるから!」


やっぱり、その方向性かよ…


神様、どうしてこうなったのでしょうか…


すると、今まで黙っていた遥がプルプルと震え始め…


「どいつもこいつも、好き放題言ってくれちゃって!刃は私の彼氏、私の夫になる男よ!瑠璃ちゃんは義妹として可愛がってあげるし、あの幼馴染と謎女には結婚式に招待して、親友とかが読み上げるスピーチをやらせてあげるわ!」

「くっ、何て嫌がらせを!」

「はっ、どうよ!」


俺は何を見せられてるのだろうか?


ていうか、嫌がらせなのか、それ?


まぁ、本人達がそう受け取ってるなら良いか…


「それに刃!」

「はい!」

「ほら、こっち!」

「えっ、ちょ、まっ!?」


また、いきなり唇を奪われた。


しかも、舌を絡めるディープな方だ。


目の前に妹居るんですが…


「なっ、卑怯者!」

「何とでも言いなさい!今日はアンタ等に振り回されたんだから、このまま連れて行くわよ!」

「おい、いきなり過ぎるだろ!澪さんには…」

「大丈夫!」

「そうか…なら良い。瑠璃、留守番頼むぞ。」

「…はぁ、解ったよ。成るべく早く帰ってきてね。」

「…守れるかどうかは解らんが、了解。」


こうして、一応の決着は着いた…のか?


まぁ、一つだけ確かな事がある。


…修羅場が不可避という事だ。


続く

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