第24話 訳の解らない状況

第24話


遥side


ちょうど澪お姉ちゃんの家に着いた頃、刃からメールが送られてくる。


内容を見ると…


『すまん、早く俺の家に来てくれ!』


と、書いてある。


「えっ、何!?」


何か起きたのだろうか?


…少し不安になってくる。


早く刃のお家に行かないと…


「澪お姉ちゃん、ちょっと車出してくれる?」

「良いけど、何処に行くの?」

「刃のお家!」

「ああ、刃くんのお家ね。了解!」


澪お姉ちゃんに車を出して貰い、急いで向かう。


一体、何が起こっているんだろう?


「刃、着いたよ!」


刃のお家に着き、チャイムを鳴らす。


だが、出てくる気配がしない。


どうしたんだろう?大丈夫なのだろうか?


そう思っていると、またメールが送られてきて…


『鍵は開いてる。だから、入ってきてくれ。場所は前に来た時に入れた俺の部屋だ。』


と、書いてあった。


何か可笑しい。


本当に何が起きてるの?


急いで部屋へ向かうと…


「…刃、何してるの?」

「すまん、俺にはどうしようもなかった…」


そこには、驚きの光景が待っていた。


ずっと泣き続ける刃似の女の子…


壊れた様にニコニコしながら刃の腕に抱きつく幼馴染のクラスメイト…


そして、その光景を面白そうに眺めながらも、泣いてる女の子を宥めている後輩を名乗る謎女…


そして、かなり疲れた様子を見せる刃…


「マジで何これ…」

「俺が聞きたい…」


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刃side


莉奈のアドバイス通り、遥に来て貰う様にメールを送った。


だが、その間に状況は悪化してしまう。


「どうして、どうしてよ、お兄ちゃん!何で泥坊猫なんかに!」

「しょうがない、しょうがないんだよ、瑠璃。もう遅いんだ…」


まず、瑠璃が何故かガチ泣きし始めた。


どうしていいか、本当に解らない。


慰めようとしたら、それを莉奈に制される。


「瑠璃は私に任せて下さい、先輩。今の先輩の言葉は瑠璃を傷付けるだけです。そこのポンコツ女を傷付けるのは良いですが、瑠璃はダメです。」

「そ、そうか…解った。宜しく頼む…」

「…はい、任されました。」


俺は迷わず莉奈に任せる事にした。


彼女は俺の親友であるだけでなく、瑠璃の親友でもあるのだ。


彼女なら大丈夫な筈だ。


そう思っていると…


「えへへ、やいばくん。」

「うおっ、鉋!?」


いきなり、泣いていた筈の鉋が腕に抱き着いてくる。


ちょ、待ってくれ!


情緒が不安定にも程があるだろ!


「えへへ、やいばくん、だいすき♪だれにもわたさないよ♪」

「えっ、本当にどうした!?」

「なにが?かんなはかんなだよ?」


ダメだ、完全に可笑しくなってる…


その時、チャイムが響き渡る。


やっと、来てくれたか遥!


動かせる手でメールを送ると、人が近づいてくる気配がし始める。


そして…


「…刃、何してるの?」

「すまん、俺にはどうしようもなかった…」


遥にはどう映っているかは知らないが、相当可笑しな状況になっているだろう。


少しの間、遥は辺りを見渡して…


「マジで何これ…」

「俺が聞きたい…」


俺の心からの本音だった…


続く


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