その8 裏方も動き出す

その8


莉奈side


今日も今日とて先輩の盗撮をやっていた私。


すると、ある事に気が付いた。


まぁ、本当は気が付きたくなかったのだが…


「アレは何をやってるだろう…」


先輩と遥さんの後ろを着いていく性格ブス女…神崎 鉋が居るではないか。


何だあの下手くそな尾行は。


追いかけるにしても、もっと上手いやり方があるでしょうに…


「でも、面白そうだからいっか!」


と、私も着いていく事にした。


すると、3人はカラオケ店に入っていく。


カラオケ、如何にも不倫向きな店だ。


あの性悪女視点ではそう見えているだろう。


しかし、私も一人で来るのは初めてだ。


「あ、あの、カラオケ、一人で…」


は、恥ずかしい。


何で瑠璃ちゃんを呼ばなかったのだろうか?


こういう面倒なのは、瑠璃ちゃんの役目だ。


人見知りの私がして良い役目ではない。


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「ふぅ、一人カラオケというのも案外楽しかったなぁ…」


今までは瑠璃ちゃんと二人でしか行った事が無かったから、新鮮な感覚だ。


こういうのも意外と悪くない物だ。


さて、先輩達はっと…


「おや?おやおや?おやおやおや?」


仲睦まじく帰る先輩と遥さん、それを見詰める負け犬幼馴染の姿が見える。


しかも、敗北者の方は目のハイライトを消して何かを決意した表情をしている。


ああ、これは…


「都合良く解釈したな、あの女…」


おそらく、脅迫だの洗脳だのクソみたいな結論に辿り着いている所だろう。


本当に哀れで嗤えてしまう。


可哀想な負け犬鉋ちゃん…


もう、先輩に慰めて貰う事も出来ないねぇ…


「よし、決めた!」


おそらく、あの女は直ぐにでも遥さんの事を聞き出すだろう。


その結果が、愚かにも自身の脳を破壊する事になるとも知らずに…


滑稽、正に滑稽な話じゃないか!


見たい、実に見てみたい!


そして、聞いてみたい!


「ねぇ、今どんな気持ち?」、と…


「さて、じゃあ行きますか…」


目指すは先輩のお家。


さぁ、楽しくて嗤える光景を楽しませて下さいね…


終わり

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