幕間3

その7 盗み聞き

その7


瑠璃side


今日、いきなり幼馴染を自称する女が家にやって来た。


これ自体は何時もの事だ。


だが、何時もとは様子が違った。


雰囲気が違うのだ…


「一体、何が…」


あの女があんな雰囲気を出した事が、一度ある。


確か、アレはお兄ちゃんが鉋さんにナイショでクラスメイトの雌豚と遊びに行った時だ。


まさか、本当にお兄ちゃんに手を出そうとする泥坊猫が現れたの!?


「これは仕方がない事、悪い事をしてる訳じゃない。」


心の中で言い訳しながら、私はお兄ちゃんのベッドの下へと潜る。


どうせ、あの女の事だ。


話し合いをするなら、この場所でするだろう。


それに此処なら、絶対にバレないだろう。


すると…


「さて、刃君…」

「は、はい、何でしょうか?」


案の定、此処で話をし始めた。


しかも、お兄ちゃんのあの反応。


絶対に何かを隠している時の反応だ。


「これ、何?」

「えっ?………はぁ!?」


そう思っていると、懐から何かの写真を取り出す。


それを見て、お兄ちゃんは驚いていた。


まさか、莉奈ちゃんみたいにあの女もストーカーになっちゃったの!?


「これ、刃君だよね?」

「な、何の事だ?」

「嘘付いても無駄だよ?私が刃君の事を解らない訳がないじゃん。少し忌々しいけど、莉奈ちゃんや瑠璃ちゃんに誰って聞いても刃君だって答えると思うよ…」


やっぱり、お兄ちゃんの写真らしい。


それに、少し悔しいがあの女の言う通りだ。


私達がお兄ちゃんの事を解らない訳がない。


でも、それだけでこの女がそんな反応を見せるの?


そんな事を考えているの間にも、二人の会話は進んでいく。


そして…


「この隣の女は誰かな?かな?」


えっ、隣の女?


何、それ……


もしかして、最近お兄ちゃんからよく臭う変な臭いの…


「実はな、その女の子は…」

「うんうん、実は?」

「隣の席の南原 遥でな…」


まさか、クラスメイトと!?


そんな近くにお兄ちゃんを誑かす泥坊猫が居たとは…


私が同い年じゃないのが憎くて堪らない。


私が同い年だったら、絶対に阻止してたのに…


しかし、それ以上に衝撃をお兄ちゃんは放ってきた。


「ああ、遥はな…俺の彼女なんだ……」


………………………………………………………え?


終わり


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る