脈無しだと思ってた幼馴染と､俺の彼女がヤンデレで修羅場ってる件

第18話 幼馴染だからといって知らない事もある

第18話

拝啓、遥様。

今、僕は非常に気不味い場面に直面しています。

「待たせて、ごめんね。」

「ううん、大丈夫。来てくれてありがとう。」

ここ、屋上にで二人組の男女が向き合っています。

しかも、男の方は柊の野郎ときた。

それを裏から俺達は眺めています。

えっ？何故、俺達？

それは…

「ねぇ、刃君！これって、もしかして…」

「十中八九、アレだろうな…」

「やっぱり、キャー♪」

…隣に鉋が居るからです。

何故か？

それは…

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遥が割とアレなメールを刃に送り、柊が頭可笑しい妄想に取り憑かれていた頃…

「あっ、刃君！一緒に食べよう？あれ？南原ちゃんは居ないね！まぁ、良いか！じゃっ、レッツ・ゴー！」

「えっ、おい、ちょ、待っ…」

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そう、人攫いに会いました。

攫われるってこんな感じなんだな…

…味わいたくなかった。

「しかし、アイツはモテるんだな…」

「そうみたいだよ。まぁ、私にはその娘達の気持ちが全く解らないけど…」

「同感だ…」

まぁ、見た目自体は良いからなぁ…

俺は今までと遥経由の情報で大嫌いたけど…

「どうなると思う？」

「まぁ、フラレると思うよ。刃君の隣の席に居る南原ちゃんにご執心みたいだし…」

「だよなぁ…」

厄介な事に、奴はそうなのだ。

最早、ライバルですらない存在だが、集る存在としてはかなりウザいのである。

「それに…」

「それに？」

「アレ、あの娘に全く興味無いよ。そんな顔してるもん。」

「ん？そんな顔してるか？」

「してるよ。私もよく告白される時、あんな顔してるもん。」

そうなのか、初めて知った…

やはり、幼馴染でも知らない事はある物だ。

俺が脈無しだった事を知らなかった様に…

「…お前もよくモテるもんな。」

「嫌でしかないけどね。私、付き合って欲しいから告白されるの嫌いなの。」

これも…知らなかった……

おそらく、俺は脈無しという事実を知らないままだったら、凄い玉砕をしていただろう。

「それにね…」

「それに？」

「本当に愛し合ってる人達って、いつの間にかずっと一緒に居て、そのまま成るべくして家族になる物でしょ？」

思わず、鉋から目を反らしてしまった。

鉋の恋愛観に驚いたのもあるが…

…鉋の目には光が宿っていなかった。

何もかも吸い込んでしまいそうな、ブラックホールの様に真っ暗だった。

「…そうなのかもな。」

俺は初めて…

…初めて、鉋の事を怖いと思った。