第17話 勝者も勘付き始める/敗北者は気が付かない

第17話


最近、刃の周りが可笑しくなっている気がする…


あの謎マウントを取ってくる幼馴染女が、やけにベタベタしようとしているし…


たまにあのヤバい後輩を名乗る女も学校近くに出没してるし…


何か刃から別の女の臭いがする機会が増えた気もするし…


「怪しい…」


何か動き始めた気がする…


自分でもよく解らないけど、このままじゃ絶対面倒な事になる。


嫌な予感が止まらない…


「でも、どうしたら…」


付き合ってるのは秘密にしている。


信頼してる人にしか話せていない。


牽制をしようにも、正面切って出来る物でもないのだ。


「よし、印をいっぱい着けよう!」


これなら、牽制が出来る!


むしろ、これで引かないならどうかしている。


「急いでメールしようっと…」


拝啓、高橋 刃様。

今日の夜、少しの間だけ澪お姉ちゃんの家に来てください。

そこで、貴方を食べたいです。


「これでよし!」


我ながら、良いプランを思い付いた物だ。


よし、いっぱいキスマークを着けてあげよう。


最近は我慢していた噛み付きもしてみよう。


そうすれば、ちゃんとしたマーキングにもなるだろうし…


「うう、早く学校終わらないかな…」


あわよくば、奥の奥まで愛してもらって…


それでいて、耳元で「愛してる」って囁いてもらって…


「きゃっ♪」


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柊side


「遥…?」


偶然、嬉しそうな顔をした彼女とすれ違う。


一体、何が…


…まさか!


「俺の誕生日にするサプライズでも考えてくれたのか!」


もう直ぐ、俺の誕生日だ。


引っ越す前までやってくれていたサプライズを、必死に考えてくれていたのかもしれない。


ああ、俺はなんて…


「幸せ者なんだ…」


遥が幼馴染で本当に良かった!


彼女とずっと一緒に居られると考えるだけで、心が踊る。


この幸福の絶頂が長く、永遠に続けば良いのに…


「さて、早く終わらせるか…」


俺はとある場所へと急ぐ。


その場所は、屋上だ。


ぶっちゃけ、行きたくはない。


遥に変な誤解はされたくないのだ。


だが、行かなければ色々と面倒だ。


「待たせて、ごめんね。」

「ううん、大丈夫。来てくれてありがとう。」


そこには、遥に全く及ばないブスな女子が居た。


はぁ、やっぱりか…


「で、何の用かな?」

「あの…えっと……その………」


目の前のブスは躊躇うかの様にオドオドし始める。


早くしろよ、此方はお前なんかに割く時間なんてないんだから…


「ひ、柊くん!どうか、私と付き合ってください!」


続く

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