その6 新たな扉

その6


とある日、刃は澪に呼ばれて彼女の自宅へと来ていた。


「澪さん…」

「何かな、刃くん?」


この時の彼は非常に困惑していた。


何故なら…


「何ですか、この格好!?」

「えっ、女性用洋服だけど?」

「見れば解りますよ!それを何で!」


彼は困惑しながらも、彼女に叫ぶ。


「俺が着なければならないんですか!」

「うーん、資料集め?」

「巻き込まないで!」


彼女は腐女子向けの漫画を書いている漫画家さんだ。


だが、今回は完全で個人的な趣味の為に刃を利用していた。


「少し趣向を変えてみようと思っちゃってね?『女装男子と男装女子の恋愛物』を書いてみようと思っちゃったの。だから、三次元用の資料集めの協力を君に要請しちゃった♪」

「ちゃった♪じゃないでしょ!」


非常に嫌だ。


何より、意外と似合ってしまっている自分がより嫌だ。


ん?待てよ…


「男装女子って、まさか!?」

「ん?遥ちゃんに頼むけど?」


…ちょっと見てみたい。


「今、ちょっと見てみたいと思ったでしょ?」

「え?い、いや、別に?そんな事、一ミリも思ってないですけど?」

「解りやすいね、刃くんって…」


ちくしょう、バレバレだった!


しょうがないでしょうが、似合うと思ったんだもん!


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「で、どうしてこうなった…」

「えっと、流れかな?」


その後、やってきた遥と一緒に雰囲気流され…


「良いね、次はお姫様抱っこしてみて!」

「澪お姉ちゃん、凄い写真撮ってる…」

「あの人、漫画家じゃなくて写真家なんじゃ…」


凄いノリノリで写真を撮ってくる澪さんに呆れながら、俺達は指示に従う。


やってみると、意外と楽しいのだ。


そして、写真を撮り終わると…


「じゃっ、私は書いてくるから!後はお二人で仲良くしてね!」


と、慌ただしく家を飛び出していく。


少しの間、静寂がこの場を支配する。


そして、お互いに目を合わせながら…


「えっと…する?」

「…するか。」


感想だけ言うと…


…新しい扉を開けかけました、まる。


終わり




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