第13話 家族の視点①
第13話
南原母side
最近、遥が可笑しい。
家に居ると苦しそうな顔を見せている。
「どうかしたのかしら。」
だが、私は聞けないでいた。
聞けば、何かが壊れる予感がしたから。
それが不味かったのだろうか?
最近の遥は、直ぐに義妹の澪ちゃんの所へ行く様になった。
昔から、伯母さんっ子だったが、より顕著になった気がする。
それに…
「おかえりなさい、遥。」
「…ただいま。」
あまり目を合わさず、直ぐに部屋へ籠もる様になった。
…何故か、諦めた様な…失望した様な顔を見せて。
一体、何でこんな事になったのだろうか?
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南原弟side
僕にはお兄ちゃんが居る。
と言っても、本当の兄じゃない。
お姉ちゃんの幼馴染である柊 当麻さんを俺が勝手にそう呼んでいるだけだ。
「お兄ちゃん、一緒に遊ぼう!」
「おう、良いぜ!何して遊ぶ?」
いつも、一緒に遊んでいた。
お姉ちゃんも時々混じって、本当に楽しい日々だった。
そんなある日…
「俺、遥が好きなんだ…」
「えっ、そうなの!?」
僕はお兄ちゃんにそう聞かされた。
その時は本当に喜んだ。
『これでお兄ちゃんが、本当に僕のお兄ちゃんになるんだ』、と…
それからは…
「じゃあ、僕帰るから。後は二人で宜しくね!」
「あっ、待って…」
僕は極力二人を一緒にする様に心掛けた。
お姉ちゃんは恥ずかしいのか、鈍感なのか何かを言っていたが、何を言っていたのだろうか?
それは今でも続いている。
一度、引っ越しでお別れしてしまったが、再びお兄ちゃんは帰ってきた。
それからだ…
「お姉ちゃん、何か隠してる?」
部屋へと直ぐに籠もる様になった。
もしかして…
「鈍感なお姉ちゃんが、お兄ちゃんを意識し始めた?」
やっとか!
これだから、鈍感なお姉ちゃんは困る。
何度も、何度もお膳立てをしてこれなのだ。
「全く、面倒なお姉ちゃんを持つと苦労するなぁ…」
この時の僕は、本気でそう思っていた。
だからこそ、僕は気が付かなかった。
お姉ちゃんが僕を見る視線に怒りや失望が混じっていた事を…
そして、何より…
…お兄ちゃんが帰ってきてから、お姉ちゃんが家で全く笑わなくなった事を。
続く
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