二章 彼女に付き纏う因縁

第8話 久しぶりのデート

第8話


今日は久しぶりのデート。


実に楽しみだ。


まぁ…


「あら、おはよう。」

「ああ、おはようございます南原さん。」


…この人が居なければだが。


「こらっ!みおさんでしょう?後、呼び捨てでも良いよ?」

「慎んでお断り申し上げます。」


彼女の名は南原なんばら みお


…遥の叔母さんである。


「もう、刃くんのケチンボ!」

「その歳でその喋り方はキツいので、止めた方が…」

「うん?」

「いえ、何でもありません…」


良い人なのだが…テンションが高いのと、時々圧が強いので個人的に苦手だ。


何故、この人が居るかというと…


「ごめんね、刃。待たせちゃって…」

「別に良いよ。俺も今来た所だし…」


…この人の家が待ち合わせ場所なのである。


「あっ、遥ちゃん♪今日も可愛いわね♪」

「澪おば…お姉ちゃん、ありがとう!いつも部屋を貸してくれてありがとうね。」

「あら、良いのよ!アイツが居る部屋が息苦しいのは、私もよく知ってるし。」


よくは知らないが、遥と澪さんは遥の家族と仲が悪いらしい。


特に父親の方とは最悪なレベルでダメらしく、もう殆ど会話をしていないみたいだ。


だから、遥はよく此処に来ていて、色々な事をしている。


主に彼女の趣味関連だが、最近は待ち合わせ場所として使わせて貰っているのだ。


「じゃあ、行ってきますね。」

「行ってくるね、澪お姉ちゃん!」

「行ってらっしゃい。楽しんでくるのよ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


澪さんの家から離れ、町の方へと向かう。


その途中、互いを見合せながら…


「似合ってないね、そのサングラス。」

「お前は似合ってるの、ズルいな…」


二人で出かける時は少しだけ見た目を変えている。


俺自体はいいのだが、遥は色々とバレたくないらしい。


昔、柊と出掛けている所(本人は嫌々)を見られて、酷い目に合ったのだとか…


あの男、昔から遥に迷惑にかけてたのか…


「ん?そのネックレス着けてくれてるのか?」

「当然だよ、刃がくれた物だもん♪」


その一言が嬉しかった。


彼女の誕生日でプレゼントした物だったが、これを選んで良かった。


この時間が長く続けば良いのに…


…だが、甘かった。


「ん?もしかして、遥か?」


何で、コイツが此処に…


…はぁ、どうやら面倒は俺達を逃がすつもりは無い様だ。


続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る