第6話 裏での邂逅(遥side)

第6話


遥side


夕暮れ時、私はコンビニに寄ってから、家に帰っていた。


「はぁ、本当にムカつく…」


学校ではゴミがまとわりついてくるし…


何か刃の負け犬幼馴染が変なマウント取ってくるし…


家では家族がウザいし…


「早く刃に愛して欲しいなぁ…」


奥の奥まで、激しく突いて…


「きゃっ♪」


ダメだ、ピンクに脳が支配されちゃう♪


早く、部屋に綴じ込もって彼に貰ったTシャツの匂いを嗅ぎながら、慰めないと…


そんな事を考えていると…


「いやぁ、真反対とはいえ遠いなぁ。」


やけに一人言が大きい女の子が現れる。


あれは確か…刃の中学の制服かな?


「まぁ、良いでしょう。目的は果たせました。」


煩いなぁ。


こんな痛い子はほっておいて帰ろっと。


「待ってください、である遥さん。」


えっ、この子!?今…


「やっと、目を合わしてくれましたね、遥さん。」

「何で私の名前を…それに先輩って……」

「貴方の彼氏、高橋 刃先輩ですよ。」


ヤバい、この子はヤバい!


早く何とかしないと!


「まぁ、落ち着いてくださいよ、私は話をしに来ただけですよ。」

「話?」

「ええ、少し聞きたい事が有るんです。」


ふぅ、一旦落ち着け。


相手のペースに乗ってはダメ。


冷静に目の前のコイツを対処しないと…


「で、話って何?」

「一つ問いたいんですよ、先輩の事について。」


何かを探る様に…


それでいて何かを試す様な顔で、彼女は問いかける。


「貴方は先輩を幸せにできますか?」

「え?」

「幸せにできますか、と聞いているんです。」


少し、少しだけ…


ほんの少しだけ、気押された。


それほど迄に強い想いを感じた。


「分からない…」

「はぁ?」


いきなり、服の襟首を掴まれる。


まだ、話してる途中でしょうが…


「分からない。…けど、私は…私達はそうなりたい!おじいちゃんおばあちゃんになっても、どんな敵が目の前に現れても、そうでありたい!」


それだけは、誰にも譲れない!


「ふっ…」

「なっ、何よ!」

「あはは、まさかそう答えるとは!」


いきなり「いやぁ、傑作ですね。」と、腹を抱えて笑い出す。


も、もう、訳が解らない!


「はぁ、笑った笑った。良い答えですね、莉菜先生から花丸をあげましょう。」


と、初めて嬉しそうな顔を見せ、後ろへ向く。


そして…


「先輩の事、任せましたよ。ちゃんと、幸せにしてあげてくださいね♪」


…それだけ言い残して去っていった。


い、言いたい事を言うだけ言った癖に…


「何なのよ、もう…」


今日は厄日だ。


私は心の底から、そう思った。


続く

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