第5話 シスコン兄とブラコン妹

第5話


莉菜と別れた後、自宅へと帰る。


「ただいま。」


そして、玄関に入った瞬間…


「お~か~え~り~な~さ~い、お兄ちゃん♪」

「ぐふっ!?」


何か小さくて勢いのある塊が突撃してくる。


この可愛い声、この柔らかい身体!


間違いない、コイツは!否、この子は!


「はは、元気だな瑠璃るり!」

「うん♪お兄ちゃんが帰ってきたからね♪」

「くっ、可愛いが過ぎる!」

「ぎゅ~お兄ちゃん成分充電中♪」

「がはっ!?」


俺は口から見えない何かを吐き出す程に致命傷を受けてしまう。


何この、可愛い生き物!?


可愛いが過ぎて昇天しそう…


「あっ、そう言えばお兄ちゃん。」

「何だ、マイシスター?今の俺なら何でも答えられるぜ?」

「そうなんだ、流石お兄ちゃんだね♪じゃあ、聞くけど…」


その瞬間、空気が変わる。


しかも、それだけじゃない。


妹の俺に抱きつく力がどんどん強くなってきている。


あれ?俺の天使の様子が…


「何で、お兄ちゃんから知らない女の臭いがするのかな?」

「る、瑠璃さん?」

「莉菜ちゃんは別に良いよ。あの幼馴染を騙るメス猫も百歩譲るとしてね。何で、知らない女の臭いがするのかな?かな?」


ひっ、天使が悪魔になった!


誰だよ、Bボタン押さなかった奴!


…俺か。


「今日、鉋の奴が友達を連れてきてな。アイツに色々と巻き込まれたんだよ。そのせいかもな…」

「ふぅん、そうなんだね。」


納得してくれたのか、力を緩めてくれる。


ふぅ、助かった…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


瑠璃side


嘘だ、お兄ちゃんは絶対に嘘を付いている。


いや、隠している事があるのだろう。


お兄ちゃんから離れた後、直ぐに私は親友に電話をかけた。


「もしもし、莉菜ちゃん?」

『やぁ、私の親友。またかい?』

「話が早くて助かるわ。」


流石、莉菜ちゃん。


少し悔しいけど、お兄ちゃんに関しては私以上に詳しい子だ。


早速、ぶつけてみよう。


「ねぇ、お兄ちゃんに近づくメス豚が現れたの?」

『ふふ、その質問は肯定しよう。』

「なら…いえ、無理ね。貴方は教えてくれないのでしょう?」

『よく解ってるじゃないか。私は先輩の恋愛については誰の味方をするつもりはないよ。例え、親友の君でもね。』


『誰の敵になる事はあるけどね。』と莉菜は言う。


莉菜は頑固でお兄ちゃんに関しては自分も含めて平等だ。


「解った。その事が解っただけでも良かったわ。ありがとうね、莉菜。」

『どういたしまして、瑠璃。』


そう伝えて、電話を切る。


はぁ、私の道には邪魔が多いなぁ…


でも…


「私は負けない。最後に勝つのは私よ!」


だから、待っててねお兄ちゃん♪


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る