第3話 修羅場(見えない戦い)

第3話


昼、俺は屋上で昼飯を食べていた。


此処は静かだ。静かに食事を楽しめる。


但し…


「へぇ、その玉子焼き美味しそうね。」

「うん♪お母さんが作ってくれたんだ!でも、刃君が作ってくれる玉子焼きも美味しかったよ♪」

「へ、へぇ、そうなんだね…」


幼馴染の鉋と、彼女である遥が同じ空間に居なければの話だが…


先程から、遥からの視線が痛い。


目が殺意に満ちている。


「この前なんかね、私の為にお弁当をまるごと作ってくれてね!それで、それで!」

「もう良い、解った。解ったから、別の事を話してくれ。何か恥ずかしい。」


鉋!お前は爆弾魔か何かか!?


さっきから、地雷を設置しては爆破してんじゃないよ!


視線がドンドン痛くなって、最早刺さるレベルなんですけど!


「えぇ、じゃあ、刃君が…」

「俺の話から離れてくれ、頼むから。」

「もう、刃君の恥ずかしがり屋さんめ♪」


ああ、どうしてこうなった?


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遥side


昼休憩に入った瞬間、私と刃は鉋という泥坊猫(疑惑)に屋上へ連れ去られた。


そして、何故か3人でお昼ご飯を食べる事になった。


何故、こんな事に…


「へぇ、その玉子焼き美味しそうね。」


少し気不味く感じたので、ふとそんな事を言ってしまった。


だが、それが不味かった。


「うん♪お母さんが作ってくれたんだ!でも、刃君が作ってくれた玉子焼きも美味しかったよ♪」


何か惚気られたんだけど?


はぁ?それくらい、知ってますけど?


マウント?私よりも刃と仲良いですよマウントかな?


「へぇ、料理できないんだ。お嫁に行く時に困るんじゃないの?」

「料理以外の家事はできるよ。それに今は男女平等の時代だよ?他の事で支えてあげれば良いだけの話だよ。」

「ふふ、確かにそうね。」

「はは、そうでしょ?」


コイツ、ムカつく。


刃の事は疑ってないけど、本当にコイツは刃の事を狙ってないの?


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鉋side


ふふ、捕まえた。


「うん♪お母さんが作ってくれたんだ!でも、刃君が作ってくれた玉子焼きも美味しかったよ♪」


ほら、どう?


万が一狙っているとしたら、羨ましいでしょ?


私の、私の為だけに作ってくれたんだよ?


そう思っていると…


「へぇ、料理できないんだ。お嫁に行く時に困るんじゃないの?」


ふぅん、そう返すんだ…


今回の泥棒猫はとは違った意味で厄介そうね。


「料理以外の家事はできるよ。それに今は男女平等の時代だよ?他の事で支えてあげれば良いだけだよ。」


…良いわ、認めてあげる。


貴方は思った以上に骨がある。


…でも、覚悟しておいてよね?


此所からはもっと見せつけて、心を折ってあげるんだから!


続く

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