第2話 彼女の幼馴染/誰かの妄執
第2話
幼馴染…
…それは古くから続く腐れ縁な相手の事をそう呼ぶ事が多い。
まぁ、失恋こそした物の、未だに俺と鉋は仲が良い幼馴染だ。
だが、全てがそうな訳ではない。
例えば、目の前で俺の彼女に粉を掛けようとしているゴミ屑とかな。
「おいおい、返事くらいしてくれよ!」
奴の名は確か…えっと……そう、
…誠に遺憾だが、遥の幼馴染だ。
「(チッ)、はいはい、解りました。おはよう。これで良い?さっさと何処かへ行って。」
「おお、相変わらず冷たいな。ツンデレって奴か?」
非常にムカつくが、それ以上に怖い。
何でアイツは遥から漏れ出てる殺意の波動に気が付かないんだ?
「ふんっ!」
ほら、あの顔を見てみろよ。
絶対、「誰がツンデレよ!死ねば良いのに!」とか思ってる顔だよ…
仕方ない、またやるか…
「はぁ、煩い。そんな下らん事は他所でやってくれ。」
「ああ?今、何て言った?」
「煩いって言ったんだよ、俺の席の周りでグダグダ騒ぐな。迷惑だ。」
「そうね、その通りだわ。ごめんなさいね、高橋君。」
「別に。煩くしなければ、それで良い。」
遥が謝る事で、柊の奴も悪い事を肯定させる。
そうすれば、鈍感な奴でも…
「ちっ、覚えとけよ。」
「ああ、お前に割く容量が有ればな。」
と、負け犬の遠吠えを吐きながら、元の席へと戻って行く。
「ありがとうね、刃(ボソッ)。」
と、遥は申し訳なさそうな顔で礼をいってくる。
実際、何回も似た様なやり取りをしたせいで、一部のクラスメイトには嫌われてしまった。
だが…
「礼なんて良い。当然の事をした迄だ(ボソッ)。」
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鉋side
「ちっ、あのメス猫め…」
はぁ、さっきからイライラする。
唯でさえ、刃君の隣の席を私から奪った癖に、彼から庇われるなんて…
「でも、やっぱり優しいんだね♪」
昔から変わらない、その優しさがずっと大好きだった。
彼は誰にでも優しく、太陽の様に眩しく、夜空に輝く1等星の様にカッコいい男の子だ。
そんな彼に私は憧れ、少し恥ずかしいけどベタ惚れしている。
だからこそ…
「ああ、早く彼が18歳にならないかなぁ…」
それまでは、彼を誰にも渡さない。
そして、私と彼は結ばれて家族になるのだ。
「それまで待っててね、刃君♪」
続く
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