一章 彼の日常

第1話 日常

第1話


「あっ、刃君!待ってよ!」

「はぁ、解ったよ。早く来い。」


朝、通う高校への登校。


その度に、幼馴染の鉋とこんな会話が繰り広げられる。


遥の奴とはと、家が真反対な事もあり、一緒に登校していない。


そのせいか…


「刃君、ギュー♪」

「こら、くっつくな!暑いだろ!」


毎回、鉋が腕に抱きついてくる。


もう未練は皆無だから勘違いはしないのだが…


…柔らかいし、目立つし、柔らかいから、本当に止めて欲しい。


「じゃあ、冬にはやって良いの?待ち切れないんだけど。」

「そういう問題じゃない。それに、付き合ってもない男に抱きつくな!変な男に勘違いされても知らないぞ?」

「確かに付き合ってはないけど、幼馴染だから良いじゃん!それに、私は刃君にしか抱きつかないよ?」


そして、いつもこんな感じで返してくる。


はぁ、全く…


…本当にどうした物か。


「ほら、早く行くよ!」

「いつも遅いのはお前だろうが!」

「記憶にありませんっ♪」

「都合の良い頭しやがって…」


全く、俺に遥が居なかったら、告白して玉砕してる所だ。


切実に、どうにかして欲しい物だ。


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俺達が教室に着くと…


「あっ、鉋!おはよう!」

「昨日のアレ見た?」

「おっ、鉋ちゃん!今日こそ遊びに行かない?」


直ぐに鉋はクラスメイトに囲まれる。


アイツはクラスカースト上位の陽キャなのだ。


「はぁ、アイツは人気者だな…」


俺?


ボッチですが、何か?


…羨ましくなんてないんだからね!


彼女だっているし、親友(年下)だって卒業した中学に居るし!


…俺は誰に何を言ってるんだ?


そんな事を思っていると…


「おはよう、刃(ボソッ)。」


すれ違いざまに、クラスメイト兼彼女の遥に挨拶される。


「ああ。おはよう、遥。」


俺もそれに周りに気が付かれない様に返す。


のせいで、本当に面倒だ。


早く18になりたい物だ…


「おお、遥!おはよう!」


噂したら影とはこの事だ。


ほら、がやってきた。


続く

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