脈無しだと思ってた幼馴染と、俺の彼女がヤンデレで修羅場ってる件

クロスディアⅡ

第0話 プロローグ

第0話


俺、高橋たかはし やいばには幼稚園の頃から一緒の幼馴染が居る。


彼女の名は、神崎かんざき かんな


彼女は誰にでも優しく、太陽の様に眩しく、夜空に輝く1等星の様に綺麗な少女だった。


そんな彼女に俺は憧れを抱き、惚れていた。


だが…


「ねぇ、鉋。ぶっちゃけ、高橋君の事をどう思ってるの?」

「ええ、いきなり何?」


…中学2年生のとある日、俺は聞いてしまった。


「鉋、アイツと幼馴染だし、仲良いじゃん?彼氏とかにする気とかあるの?」

「うーん、それは無いかな。私達はだし…」


聞くつもりは無かった。


偶然、耳に入ってきただけだった。


でも、たったそれだけで…


…俺の初恋は終わりを告げた。


-----------------------------------------------------------------


「はぁ、ちくしょう…」


俺はその場から、直ぐに逃げた。


あのままじゃ、情けなく泣き散らしてしまいそうだったからだ。


「初恋は叶わない物って本当なんだな…」


俺はよく鉋と遊んでいた公園のブランコに座りながら、そう呟く。


頭の中で、先程の彼女の言葉が木霊する。


ああ、涙が溢れそうだ…


…もう、無理だ。


「「はぁ…」」


ふと、誰かの溜息と俺の溜息が重なる。


邪魔をされた様な感じがして、嫌な気分になりながら横に振り向く。


「あっ…」


…そこには、少女が居た。


思わず息を飲む程に美しく、今にも泣きそうな位に目を腫らしている少女が居たのだ。


「えっと、その、何かごめんなさい。」

「あっ、えっと、ああ、こっちもごめんね。」


彼女と目が合った瞬間、思わず気不味くなってしまい、謝ってしまう。


すると、彼女も謝ってくる。


…余計に気不味くなった。


しかも、相手は立ち去る素振りを見せない。


頼む、早く何処かへ!俺を一人にさせてくれ!


「あの…」

「ひゃ、ひゃい!」


急に声をかけられ、変な声で返事してしまう。


ああ!穴が在るなら、早く入りたい!


「少し良いですか?」


…この時の俺は知らなかった。


この出会いが…


-----------------------------------------------------------------


「懐かしいね、此処。」


あれから数年、あの時と同じ様にブランコに座りながら、彼女がそう問うてくる。


それに俺は…


「ああ。色々な意味で思い出の場所だよ。」


と、返す。


…本当に色々あった。


「これからも宜しくね、刃♪」

「以下同文だ、遥。」


彼女の名は、南原なんばら はるか


高校1年生となった俺の…



…大切な彼女である。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る