神様から最強の能力と武器を貰ったので俺tueeeしてハーレム作りたいのに、人間に会えないのだが……

リヒト

第1話

 僕は死んだ。

 それも呆気なく。

 人間死ぬ時は簡単に死んでしまうもので、あっさりと。

 地震。

 とんでもなく大きな地震だったと思う。

 地球が割れたんじゃないかとすら思う巨大な地震。

 ちょうど揚げ物をしていた僕は地震の影響で倒れてきた鍋に入ったグツグツの油をきれいに浴びたのだ。

 そう。

 死んだのだ。

 なのに、なんで僕の意識ははっきりしているんだ?

 何だ?生きていたのか?

 それとも死とはこういうものなのか?

 このまま無限の時を生きるのか?

 僕はそんな妄想をし、震えた。

 心の底から震え上がった。

 そんな時。

「あぁ、起きましたか」

 女性の声が僕の頭に響いてきた。

「私はそうですね。まぁ女神です。そんなことはどうでもか。本題に入ります。異世界では魔王によって無垢の民が苦しめられています。そこで、あなたに倒してきてもらいます。安心してください。簡単に倒せるようにチート能力を授けておきましたので。それでは。無事を祈っています。」

 え?適当……。

 それに了承もなしなん?

 女神薄情!

 僕の視界は光へと包まれた。

 

 ■■■■■ 

 

 ひゃっほー!

 最高だ!

 神様からチート能力をもらい、異世界で魔王を倒す。完全によくあるなろう系ではないか!

 最高だ!

 俺tueeeしてハーレム作る。

 最高じゃないか!

 だがしかし、僕の目に映りしは、地獄。

 ふえ?

 真っ赤な空におどおどしい黒色の地面。

 たまにボワっと!炎柱が上がる。

 なんだ?これ?

 あれかな?魔界とかそういうところに送り込まれたのかな?

 僕は取り合えず空を飛び、あたりを散策することにした。

 え?なんでそんなに平然と貰ったばかりのチート能力を行使できるのかって?

 それは簡単なんよ!

 なんか知らないけど、脳内に直接力の使い方が流れ込んできたんだよ。

 ちょっと怖いよね。

 脳いじられて自分の記憶が捏造とかされたりしてるかもと考えると、普通に怖い。

 まぁそこら辺はあまり気にしないでおくのが吉だろう。

 うん。

「ぐぎゃあー!」

しばらく探索していると、どこからか汚い悲鳴が聞こえてくる。

声からして女の子ではないけど、僕はとりあえず行ってみることにした。


そこにいたのは醜悪なバケモノ。

ゴブリンとオークとオーガーを足して掛けて割ったようなバケモノ。

そんなバケモノが別のバケモノに襲われていた。

別のバケモノは悪魔?みたいな感じ。

なんだろう。どうするべきなんだろうか。

これは……。襲われているバケモノを助けるべきか。

襲われている人?は助けた方がいいよね!ということで早速降り立ち、早速とバケモノを襲っていたバケモノを半殺しにする。

「ぐきゃー!」

僕の姿を見たバケモノが歓声?を上げる。

多分歓声だったと思う。

バケモノは僕の周りで踊り、多分褒めたたえてくれていると思う。

たとえバケモノでも褒められるのは嬉しいよね。

……ごめんやっぱ嘘。怖い。かなり。

その後、ぐぎゃぐぎゃと言われ、何言っているのか理解出来ずに立ち尽くしていると、こちらへ来るようにジェスチャーを受け、僕は大人しくついて行く。

たどり着いたのはバケモノたちの村。

僕はそこで熱烈な歓迎を受けた。

たくさんの料理も振舞って貰った。

料理の見た目は禍々しかったが、味は美味しかった。

結構満足である。

それにしても僕のハーレムチート物語はどこに行ったんだろうか?


■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□


あれから1年の歳月が流れた。

未だに僕はハーレムチート物語を展開出来ていなかった。

そもそも人間に出会うことすら出来ていない。

バケモノにしか出会わなかった。

 ゴブリンとオークとオーガを足したようなバケモノにちやほやされながら悪魔のようなバケモノを倒す。

 何をしているのだろうか。

なのに、僕がいるのは魔王城っぽいところ。

もしかしてこれは魔界とかで散々戦うところから始まるタイプなのかな?

それで人間の世界での常識が分からず無双してしまうような……。

こういう話も僕は大好きである。

では、もうすぐ来る僕の栄光の物語を手にするためにさっさとラスボスっぽいのを倒しますか。

僕は神様から貰ったチート能力の中にある特大魔法を使い、魔王城そのもの吹き飛ばしてやった。

ふぅー。

これでひと段落。

多分ラスボスっぽいのも死んだろ。

 よし!これで!

 ハーレムチート物語が……!

 ぱあー!とあたりが光輝き、あの女神様が

「よくぞ。よくぞ世界を蝕む魔王を倒してくれましたね」

 ん?

「そのお礼としてあなたを元の世界で生き返らさせてあげましょう」

 ん?

 再度僕の視界が光に包まれ、僕の前に広がるのは……。

 

 見慣れた僕の家。


「完全に骨折り損じゃねぇーか!」

 僕は怒りのままにふと目についたお玉を掴み、床に叩きつけた。

 そんなんありかよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神様から最強の能力と武器を貰ったので俺tueeeしてハーレム作りたいのに、人間に会えないのだが…… リヒト @ninnjyasuraimu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ