第7話 Main dish

そうして、3週間たった時、最悪の事態が襲ってくる。

バタン

椅子に座っていた龍が、顔から地面に倒れて行った

「龍!!

 だめ!

 お願い、私を食べて!!」

アクアは半狂乱になり、自分の腕にナイフを射突き刺すと、吹き出す体液を龍に飲ませる。

2,3口飲んで、龍の顔に少し赤みが指したが、直ぐに顔色が土色に変わってくる。

「だめ。

 こうなったら左腕を切り落として、血肉を龍に与えなくては」

アクアは震えながらも、ナイフを持った手を迷いなく振り上げる。

ゴト!

その時、再生の箱が空き、中からグレーシーソフィが這い出て、そのまま這って龍に近づく。

「グレーシーソフィ…

 だめよ。

 まだ三週間しかたっていないのよ。

 体ができていないわ」

グレーシーソフィは、5体すべて再生していたが見るからに、下半身に力が入っていなかった。

「だめよ。

 下半身ができていない。

 そのままだと、腐るかバクテリアにやられちゃう」

アクアは泣きそうな顔で叫ぶ。


顔に血の気もなく、眼も虚ろなグレーシーソフィは、それでも這いつくばって仰向けに倒れている龍の顔に覆いかぶさる。

「龍…

 噛まない…で…ね…

 吸って…ね…」

グレーシーソフィの声が聞こえたのか龍の喉が何かを飲んでいるように動く。

「そう…

 反対…側…も…ね…」

しばらく龍は何かを飲んだ後、カッと目を見開く。

龍の顔は赤みを帯び、全身に精力がみなぎってきているようだった。

そして、上半身を起こしながらグレーシーソフィを抱き上げる。

「龍!

 だめ、優しくして!

 グレーシーソフィは、まだ体が、下半身ができていないの。

 どうしよう…

 箱に戻せるかしら…」

「だ…い…じょ…う…ぶ…よ…」

グレーシーソフィが切れ切れな声でアクアに話しかける。

「グレーシーソフィ…」


それを聞いて龍は膝の上にグレーシーソフィの脚を広げ、おろしていく。

その先には、棍棒のように大きくなった花糸と大きく膨らんだ葯がグレーシーソフィを待ち受けていた。

そして、その葯をグレーシーソフィの花弁に差し込んでいく。

ヌルっとなにも抵抗もなく、龍の葯がグレーシーソフィの花弁の中に入っていく。

グレーシーソフィの中は、生暖かい水のような液体の様で、なにも抵抗がなかったが何となく気持ちよかった。

龍はそのままゆっくりとグレーシーソフィを仰向けに寝かせると、深々と葯を差し込む。

グレーシーソフィの体からは、薄っすらだったが、龍がこの世界で一番初めに嗅いだ香り、龍の一番好きな香りがした。

その香りを強く感じると、龍は一気に自分の体液をグレーシーソフィの中に大量に放出する。

グレーシーソフィは上半身を反らし、両膝を上げ、龍の体液をすべて受け入れたようだった。

そして、ゆっくり膝を下ろすと顔を横に向け、むせるようにして、口から黒い液体を吐き出す。


「やったぁ!

 出たぁ!!」

心配そうな顔をしていたアクアは、グレーシーソフィの口から黒い液体が出たのを見て、小躍りする。

しかし、魂の抜けたように微動だにしないグレーシーソフィを見て、真っ青な顔をして近づく。

アクアが近づいて来るのを気が付いた龍は、グレーシーソフィを抱きながら体を起こし、胡坐をかく。

そして今一度、グレーシーソフィをしっかりと抱きしめると、ゆっくり横抱きにする。

グレーシーソフィは、落ち着いた顔で龍の胸に顔をうずめ、寝息を立てていた。

龍の腕に、グレーシーソフィの柔らかなブロンドの髪が触れる。

さっきより、グレーシーソフィの香りが濃くなってきたようだった。

「疲れたのか、眠っている。

 今日はこのまま抱きしめているよ」

「そうね。

 でも、予定よりも一週間も早く箱から出てきたから、下半身、特に脚がまだ出来上がっていないみたい。

 安定して、ちゃんと動けるようになるまで、しばらく時間がかかると思うわ。」

「いいさ。

 僕のために、無理を押して出て来てくれたんだ。

 大事にするよ」

「当然ね。

 グレーシーソフィに無理をさせたし、グレーシーソフィがいないと、龍は生きていけないんだから、ね」

他にミナのようなフェアリーがいれば、龍は大丈夫なのだがアクアにはそれだけではない関係が二人にあると龍とグレーシーソフィを見て感じていた。


夕方になると、グレーシーソフィは目を開ける。

顔は生気が戻って来て、目の焦点もしっかりしていた。

「大丈夫か?」

龍はグレーシーソフィの顔を覗き込んで話しかける。

「うん。

 大丈夫。

 龍、お帰りなさい」

グレーシーソフィは、可愛らしい笑顔を見せる。

「遅くなってごめん。

 もっと早く戻ってくれば、こんなことにならずに。

 ヴィヴィまで…」

「仕方ないよ。

 私こそ、龍の役に立てずに、危なくエネルギーが尽きてしまうところだったね。

 ごめんなさい」

「謝るなよ。

 こんな目に合わせたのは僕なんだから。」

龍は、グレーシーソフィを抱き知れる腕に力を入れる。

「龍。

 いいの?」

「え?」

「私のこと嫌じゃない?」

「なんで?」

「だって…

 私、体は再生したけれど、フーマ二人に…」

龍はグレーシーソフィが何を言おうとしているのかわかったので、その口を自分の口でふさぐ。

グレーシーソフィは、眼に涙を浮かべ、嬉しそうな顔をして、龍を受け入れる。


しばらくして、グレーシーソフィは自分を見るアクアの優しい視線に気が付く。

グレーシーソフィは唇を離し、龍の顔を見ながら、まるで何かを読んでいるようだった。

そして、読み終わるとアクアの方を向いてほほ笑む。

「あなたがアクアちゃんね。

 これから一緒にいてくれるのね。

 あ、でも私じゃなくて龍とね」

グレーシーソフィは悪戯っぽく笑う。

「ううん。

 グレーシーソフィを見て、私、二人と一緒にいるわ。」

「まあ、嬉しい。

 よろしくね」

「はい。

 グレーシーソフィ、これから、私がご飯を作ったりしますので、ゆっくり体を調整してくださいね」

「本当に、いい子ね」

グレーシーソフィは、手を伸ばし、やさしくアクアの頬を撫でる。

そして、疲れたのか、龍の腕の中でウトウトし始める。

グレーシーソフィは、目を覚ましたと思うと、直ぐにウトウトし始める、その繰り返しだった。


その夜、グレーシーソフィは龍の腕の中で、アクアも龍に触れるほど近づいて眠る。

「龍。

 エネルギー、チャージしなくっちゃ」

腕の中でグレーシーソフィが甘えたような声を出す。

「無理しなくていいよ。

 こうしているだけで、二人からもらっているから。」

嘘ではなかった。

二人に挟まれ、龍は二人の良い香りに包まれ力が沸いてくるようだった。

「だめよ。

 ほとんどゼロに近かったんだから。

 ちゃんとチャージしないとね。

 それに、そのために私頑張って出てきたんだから」

「グレーシーソフィ…」

龍がグレーシーソフィの顔を覗き込むと、グレーシーソフィは龍の首に腕を回し、唇を重ね、舌を絡めてくる。

グレーシーソフィの舌は、柔らかく、温かかった。

舌を絡めていると、グレーシーソフィの甘く優しいブルームネクタが口に広がって来て、龍を興奮させる。

グレーシーソフィも龍の体液を感じているのか、より温かく、香りが強くなっているようだった。

「大丈夫よ、龍。

 ただ、脚は気を付けてあげてね」

背後からアクアがやさしく言う。


その一言で龍はスイッチが入ったように、じんわりと潤んだグレーシーソフィの顔、首筋、そして全身へ舌を這わせ、にじみ出ているブルームネクタを舐め取り始める。

グレーシーソフィは、龍の舌が当たるたびに、電気に打たれたように体を震わせ、うっとりした顔をする。

力の入らないグレーシーソフィの両脚を舐めた後、龍はそっと両手で開いていく。

龍の目の前に、ピンクの可愛らしい花弁があらわになる。

花弁の中央からは、ブルームネクタがにじみ出て光っているようだった。

龍はたまらずグレーシーソフィの花弁にしゃぶりつく。

「あ…んん…」

グレーシーソフィは、小さく声を漏らすと、片手で自分の口を覆い、声が出るのを堪えていた。


何度も何度も、刺激し、その度に花弁から漏れてくるブルームネクタを舐め取る。

グレーシーソフィは、時に体を反らせたり、時に体を小刻みに振るわせたり、感じ入っているようだった。

そして、何度も刺激を受け、ぐったりしたところで、龍は足の間に割って入り、グレーシーソフィの花弁へ葯を差し込んでいく。

昼間より花柱は狭くなってきているようだった。

「ん…」

グレーシーソフィは痛みを感じていたのか、眉間に皺を寄せる。

そして花柱の中、奥深くの子房まで差し込むと、昼間より、中は抵抗を感じたが、やはり液体の中に差し込んでいるような感触だった。

昼間と違い、しばらく、龍は花糸をグレーシーソフィの中で動かし、そして、グレーシーソフィの中に体液を放出する。

グレーシーソフィは体全体で龍の体液を受け入れると、大きく体を震わせ、体の力を抜き、ぐったりしていたが、その顔は満足そうな笑顔だった。


龍は優しくグレーシーソフィの頬を撫で、額にキスをすると体を離し、アクアの方に向く。

アクアは期待に目を輝かせていた。

体をアクアに寄せると、アクアは自らしがみついて来る。

「アクア、いろいろとありがとう。

 これからも、よろしくな」

アクアは龍を見上げるようにして、笑顔で頷く。

「お腹いっぱいになった?」

「いや、デザートが欲しい」

「仕方ないなぁ。

 でも、デザートも大事だもんね」

背後でグレーシーソフィがくすりと笑った。


アクアは手を伸ばし、龍の首に巻き付けると、唇を重ね、自分から舌を絡めてくる。

少しすると、アクアの舌からほんのり甘いアクアのブルームネクタが口の中で広がる。

アクアも龍を感じているのか、絡めた龍の舌を吸う。

それからアクアは、龍に触れられる度に快感に襲われる。

十分にアクアのブルームネクタを舐め取ると、龍は葯をアクアの花弁へ突き刺していく。

「う、くぅ~」

アクアは思わず声を漏らす。

アクアの中は狭く、花糸の半分ほどしか入らなかったが、喜んで迎え入れているようだった。

アクアも花柱の側面に龍の葯がこするように動くたびに、体が震えるほどの快感を覚え、龍にしがみついたり、体をよじったりして気持ちよさを爆発させる。

「あっ…、きゃん!」

龍の体液が一気に流れ込んでくると、その小さな体全体を使って、吸い込んでいくようだった。

そして、全てを吸いつくすと、穏やかな表情で目を閉じ、寝息を立て始める。

龍はそっと体を離し、二人の間に仰向けになる。

体の調子は嘘のように快調だった。

するとグレーシーソフィが龍の腕に抱きつくように腕を回し、気持ちよさそうに寝息を立てる。

反対側の腕にはアクアがしがみつき、グレーシーソフィと同じように気持ちよさそうな顔で寝息を立てる。

二人の良い香りに挟まれ龍は心の底からリラックスすることが出来た。


それから、本人が恐縮するほど、両脚に力が入らないグレーシーソフィの世話を焼く。

特に龍は24時間、一時もグレーシーソフィの傍を離れず、どこへ行くのも、グレーシーソフィを背負ったり、抱き上げたりして連れて行く。

グレーシーソフィの両脚は、まだ、定着する前に“再生の箱”から出てきたため、定着し、動かせるようになるまで1週間以上かかるが、定着すれば元のように動かせる状態になるものだった。

アクアは一手に食材の調達、調理や身の回り世話を甲斐甲斐しくやっていた。

「ヴィヴィ…」

グレーシーソフィは、たまにヴィヴィを思い出しているようだった。

「ヴィヴィは、厚木の研究所に連れていかれたらしい。

 脚がしっかりしたら、研究所へ行ってみよう。

 それに厚木は僕の実家があるんだ。

 研究所へ行くついでに、どうなっているか見てみたい」

しかし、グレーシーソフィは寂しそうな顔をして、首を横に振る。

「ヴィヴィは、たぶん、もうだめだと思う。

 研究所は危険だから、龍、絶対に捜しに行かないで」

グレーシーソフィの背後で、アクアも小さく頷く。


アクアも研究所のことはよく知っていて、連れてこられたフェアリーが、研究のため、解剖されるのを目のあたりにしていた。

「でも、厚木には龍の実家があるのね。

 行ってみたいわよね」

「厚木かぁ。

 ここからだと50km位あるかしら。

 行くのに2日位見ておかないとダメね。

 多摩川や相模川と言った大きな川を渡らないといけないから厳しいわね」

「往復で4日。

 現地でいろいろ見たとして、1週間あれば大丈夫ね。

 1週間ならアクア一人が一緒に行けば大丈夫」

グレーシーソフィは、龍が研究所には行かずに、実家だけ見てくるのであれば、きっと帰って来てくれると思っていた。


「グレーシーソフィは一緒に行かないのか?」

龍は、グレーシーソフィが襲われている姿を二度と見たくなかったので置いて行く気はなかった。

「え?

 だめよ。

 龍、この前も言ったでしょ。

 私、3kmの円の中から出られないの」

グレーシーソフィも龍と一緒に居たかったので「一緒に行かないか」という誘いは天にも昇る気分だったが、直ぐに3km縛りを思い出し、意気消沈する。

「グレーシーソフィ。

 3kmの縛りは、もう大丈夫のはずよ。」

アクアが唐突に語り掛ける。

「え?」

「気が付いていないの?

 グレーシーソフィ。

 あなたは、プルートの誘惑を断ち切っているのよ」

「え?」

 (そうだった)

アクアの話は意外だったが、思い当たるところがあった。


確かに1週間経つが、プルートは夜な夜な徘徊しているが、一度も誘惑を受けたことがなかった。

それに、そもそも、龍と出会って初めの一度だけ誘惑を受け、それも龍に押し止められてから一度も誘惑を受けていなかったことを思い出した。

「グレーシーソフィ、実はね。

 …」

アクアが内緒話をするようにグレーシーソフィの耳元で囁く。

「え?!

 あの黒い水?」

「そう、それでね…

 …」

「……」

グレーシーソフィは1回だけ声を上げたが、それ以外は、黙ってアクアの話に耳を傾けていた。

そして、アクアの話が終わると、グレーシーソフィは目を輝かせる。

「アクア!

 じゃあ、私、どこへでも龍についていけるの?

 龍と一緒に居られるの?

 龍の役に立てるの?」

アクアが笑顔で頷くと、グレーシーソフィはまるで神に感謝するように手を胸の前で組んで、眼にいっぱいの涙をためる。

「どうしたの?」

何もわかっていない龍は、ポカンとした顔で2人を見つめる。

「なんでもないの。

 それより、龍。

 ほんとうに私、ついて行っていいの?

 その…

 3kmの縛りがなくなったの…」

不安そうな瞳でグレーシーソフィは龍を見つめる。

「い、いいに決まっているだろ!」

グレーシーソフィに見つめられ、改めてその美人で可愛らしい容貌に龍の声が上ずる。


「嬉しい!」

「だって、グレーシーソフィはメインディッシュで、私はデザートだもんね」

喜ぶグレーシーソフィの肩に手をやって、アクアが悪戯っぽく龍に話しかける。

「え?

 い、いや。

 そ、そんなことない」

龍はなんて言っていいかわからず、顔を恥ずかしそうに真っ赤に染める。

「いいの。

 私、龍のメインディッシュで。

 でも、それだけじゃなく、違うことでも龍の役に立ちたい!」

フェアリーは二人一組が基本で、プルートの誘惑を受けダメージを追ったパートナーを再生の箱に移し、復活するまで番をする。

交代でそれを繰り返すのだが、パートナーを失ったフェアリーは、プルートの誘惑を受けた場合、再生の箱に移してくれる相手がいないため、死を意味する。

グレーシーソフィは復活してから、ヴィヴィがいないこと、アクアは龍と見えない絆があるため、龍がどこかに行ったらついていく、すなわち、前のように何日も龍が留守にしたら死を意味することを感じ取っていた。

なので、心の片隅では、諦めていた未来が、今、目の前で新たに幕が上がり、一気に心が晴れあがっていくようだった。


「私、頑張る!

 頑張って、早く、歩けるようになるね」

「ちょっと、グレーシーソフィ。

 定着するまで、あと、まだ1週間はかかるわよ」

「大丈夫。

 頑張るから」

グレーシーソフィの声は弾んでいた。

それから、グレーシーソフィは昼間、足のマッサージや歩行練習など必死になって自分の脚をいじめるように鍛える。

そして夜、龍を受け入れると、不思議なことに翌朝には脚の痛みはまるでなくなり、脚に力が入るようになっていった。

「不思議なの、アクア。

 聞いてくれる?」

グレーシーソフィが小さな声でアクアに話しかける。

「なぁに?」

「龍のね…

 あの…」

グレーシーソフィは言葉に珍しく歯切れが悪く、顔を恥ずかしそうに染めていた。

「龍のね。

 あれを…

 体液を受け込んだ後って、体の調子が…凄くよくなるの…

 軽いというか、元気になるというか…

 私もエネルギーをあげているんだけど、龍からもエネルギーをもらっているみたいなの」

「それ、私も。

 エネルギーを吸い取られても、悪い気分にならないし、逆に、凄く…気持ち…いい…。

 龍のが入って来くると、さらに…おかしくなっちゃうくらい…気持ちよくって。

 最後に龍の体液が押し寄せて来ると、もうダメ、意識がどこかに行っちゃう…

 そして、目を覚ますと体が生まれ変わったみたいに元気になるの」

「そう、アクアと全く一緒。

 不思議ね」

「本当、不思議

 モーリーっていうフーマのところにいた時、私たちよりも胸やお尻が大きくて、とってもエロいお姉さんのフェアリーたちが、モーリーの上に乗って大喜びしていたの。」

「エロい?」

「うん。

 色っぽいというのと、エロスを混ぜた造語ね。」

「胸が大きいとエロいの?」

「うん。

 私の倍以上の大きさ」

アクアは胸を張って見せる。

アクアは身長こそ1mもない小柄だったが、体のスケールはそのままの比率で全体的に縮小されていたので、グレーシーソフィの身長に合わせると、胸は標準よりも大き目だった。

標準並みか少し小粒のグレーシーソフィは自分の胸とアクアの胸を見比べて、小さくため息をつく。


「フーマって、胸が大きいのが好きなのかな。

 ひょっとして、龍もそうなのかな」

「好みはフーマによって違うみたい。

 龍は大きいのは苦手みたいで、私たちくらいのが好みよ。」

「それなら、良かった」

グレーシーソフィは安堵の息を吐く。

「それより、話の続き。 

 そのエロいお姉さんたちに後で聞いたら、モーリーを喜ばす演技であって、何も感じていないんだって言ってた。

 私たちフェアリーには、演技以外本当に気持ちよくなるようなそういう感覚はないって言っていたよ。

 確かに、資料では私たちにそういうものは備わっていないはずなんだけど…。

 でも、龍に触れられたときに感じる、あの感覚は不思議…」

二人は、何かを思いだし、目を潤ませ、顔を赤らめていた。


龍の方も同じで、二人の体液を舐め取り、また、二人の中に放出すると、体が軽く、元気が出てくる。

そして二人が傍にいるだけで、二人から香る匂いが心を奮い立たせる。

そのためか、この世界で目覚めてから、パニックも起こさず冷静に物事を判断でき、寂しさに押しつぶされること、恋人の鈴がいないことに寂しさはあったが前を向くことが出来ていた。

それに二人からエネルギーとともに、この世界のことなど、確かにアクアから聞くが、それ以外でも一緒に流れ込んでくるようで、どんどんとこの世界になじんできているようだった。

グレーシーソフィが元気になり、頑張りもあって、普通に歩けるようになるまで、アクアの見立ての半分しかからなかった。

「龍。

 私、もう平気だからね。

 いつでも、厚木の龍の実家を見に行けるからね。」

腕の力こぶを作って見せるグレーシーソフィの言葉には、嘘や気負いはなかった。

「本当。

 こんな早く元通りになるなんて、信じられないわ。

 ほら、龍、触ってみて。

 グレーシーソフィの腿と脹(ふくら)脛(はぎ)。

 ピチピチよ」

「へ?」

(ピチピチ?

 むちむち、いや、張りがあるってことかな)

龍はアクアの言い方が可笑しかった。

(でも、二人とも、どう見ても二十歳前で、若々しく、瑞々しく見えるよな。

 美人で可愛いし、スタイルもいいし、こんな子たちと24時間一緒にいないと生きていけないというのは、役得と言おうか…

 しかも、二人からブルームネクタをもらって、しかも、あんなことまでさせてもらって)

大学生だった龍にしては、どこか中年男性のような発想が頭をよぎる。


「ほら、龍。

 早く」

アクアに手招きされ、龍は脚を前に出して座り嬉しそうに龍を見上げているグレーシーソフィの横に座ると、掌でグレーシーソフィの腿を優しく触る。

掌の中のグレーシーソフィの腿は、アクアが言うように弾力があり、張りがあった。

「きゃっ!

 くすぐったい」

慌てて膝を立てるグレーシーソフィ。

そのせいで、龍の手がグレーシーソフィの素肌を滑らしながらハーフパンツの中に吸い込まれていく。

「!」

息をのむグレーシーソフィ。

すべすべで張りのあるグレーシーソフィの肌が、あっという間に、より温かく、そして、しっとりと潤ってくると、いい香りが強く湧き上がって来る。

「グレーシー…ソフィ…」

手に伝わって来る感触、鼻孔を擽る芳香。

龍はなぜか涙が出るほどグレーシーソフィを愛おしく思えた。


そして、腿に置いた手をそのままに、もう片方の手をグレーシーソフィの頭を自分の方に寄せて、唇を吸う。

舌を入れると、すぐに、グレーシーソフィの両手がしがみ付くように龍の首に絡みつき、舌を絡めてくる。

舌と一緒にほのかに甘いブルームネクタが龍の口の中に流れ込んでくる。

グレーシーソフィも龍の舌から無味無臭だが飲み込むと体の芯が熱くなる体液を一生懸命舐めとるようだった。

二人は、舌を絡めながら喉がお互いの体液を飲み込んでいるように動く。

どちらからともなく唇を離し、お互い見つめ合う。

グレーシーソフィは、恥ずかしそうに笑顔を見せる。

龍はグレーシーソフィの首筋に顔をうずめると、素肌にほんのりとにじみ出たブルームネクタを舌で舐めとる。

龍の舌の先が肌に触れるたびに、グレーシーソフィは電流が体の中を走り抜けるような感覚に襲われ、体をのけぞらせる。

そして、恍惚状態のように眉間に皺を寄せながらも喜びが顔に浮かんでいた。

首から上を丹念に舐めた後、そっとグレーシーソフィのブラウスや下着を脱がせると、C~Dカップの形の良い乳房が現れる。

仰向けに寝かせ、体をまたぐようにして龍は覆いかぶさると、グレーシーソフィは嬉しそうな顔をして龍を迎え入れようと両手を上げる。

その両手の間、乳房の辺りから温かい空気に混じってグレーシーソフィ独特の良い香りが立ち上って来る。

その香りに誘われるように、龍はグレーシーソフィの胸の谷間に顔をうずめると、その頭をそっとグレーシーソフィは両手で包み込む。

胸の谷間は温かく湿っていて気持ちよかった。

グレーシーソフィは、鈴を一回り小柄にしたようで、見かけも違うが、それを除けば、どことなく鈴を抱いているようだった。


龍は両手でグレーシーソフィの腋の下を挟み込むように押さえると、谷間から乳房の内側に舌を這わせ、ブルームネクタを舐め取り始める。

「う…、くぅ…」

グレーシーソフィの可愛らしい口から声が漏れる。

龍がいつもと違うのか、グレーシーソフィは龍の舌が触れるたびに、声を漏らし、体を悶えさせる。

グレーシーソフィを瞬きせずに見つめていたアクアは、手で自分の体をあちこち触り始める。

龍がグレーシーソフィの両脚に手を掛けることろは、グレーシーソフィは肩で息をしていた。

龍は、グレーシーソフィの両膝の内側を掴み、持ち上げるようにして左右に開かせると、内腿にしゃぶりつく。

「あっ、あぅ…」

グレーシーソフィは片手の人差し指や中指を口に持って行ってその爪を噛む。

龍は内腿を舐めながらグレーシーソフィの花弁に向かってずり上がっていく。

グレーシーソフィの花弁はいつもより明らかにブルームネクタが多くにじみ出て光っている。


「龍、いや…

 おかしくなっちゃう…」

グレーシーソフィは次に龍に何をされるのかわかっていて、言葉では否定をするが、体は逆に力を抜き龍のなすがままになっていた。

グレーシーソフィの言葉を聞きながら龍はその光っているピンク色のかわいらしい花弁にしゃぶりつく。

「い、いやぁあ…

 りゅ、龍、勘弁してぇ…

 あああ…」

グレーシーソフィの花弁からブルームネクタがにじみ出てくる。

それを、龍が舌で舐めとり、また、舌で花弁を刺激する。

「や、いやぁ~…

 おかしく、おかしくなっちゃう…

 う、う、う…」

すすり泣くような声を出しながらグレーシーソフィは龍の頭に両手を置くが、添えるだけで拒否して剥がそうとするものではなかった。

執拗に舐められたグレーシーソフィは半分失神状態だった。

龍は半身を起こすと、グレーシーソフィの脚を更に広げ腰を割り込ませていく。

半分失神状態のグレーシーソフィは龍の言いなりだった。

横で黙って見ていたアクアは、龍の花糸とその先端の葯が、いつもより大きく太くなっているように見え、思わず息をのむ。

ズヌヌヌ…

その葯がグレーシーソフィの濡れた花弁に刺さるように埋め込まれていく。

「ひっ」

一瞬、グレーシーソフィは両眼を開いたが、直ぐに目をつぶり、入って来る龍の葯の大きさに耐えるように口をきつく紡ぐ。

グレーシーソフィは体の再生機能が働くのか、体が再生された後、初めて龍の葯を受け入れた時に激痛とともに花柱の中にある防御壁のような膜を龍の葯に突破されても、次の時には防御壁再生され、激痛とともに突破される。

突破されるとすぐに、劇痛は治まり、代わりに快感に襲われる。

それが、1週間ほど続いたが最近では、龍の道ができたのか、処女状態に再生されことはなく、押し広げられる感はあるが劇痛も壁を突破される感覚はなくなっていた。


龍も最初の頃は激痛に顔をゆがめるグレーシーソフィを見ながら、途中の防御壁を突破していたが、最近では挿入したときに少し辛そうな顔をするくらいで、初めから奥まで抵抗なく、また包まれていくような挿入間に感じ入っていた。

今日の龍の葯はいつもより大きな感じがして、引っ張られる感が強く、痛みと気持ちよさが入り混じって複雑な感覚に襲われる。

龍はグレーシーソフィの奥まで葯を挿入すると、いきなり、半プルート化したフーマに襲われているグレーシーソフィのことを想像する。

想像の中で、グレーシーソフィは泣きながら、半プルート化したフーマに代わる代わる犯され、体の中に体液を放出される。

実際半プルート化したフーマは、生殖機能がなくなり、相手の体液を吸収する蛇が生えるので、唯一蛇の周りにじみ出る潤滑油の役割をする体液が入るだけで、龍の想像は誤っていたが、グレーシーソフィの泣き顔、弄ばれる体、それが1日以上続いていたかと思うと、より性欲が増していく。


(グレーシーソフィは、僕のものだ)

そしていつもよりも葯をグレーシーソフィの中にさしたり抜いたりする動きが大きく、激しくなる。

それはまるで、グレーシーソフィの体内から半プルート化したフーマたちの体液を掻きだし、自分の体液で満たそうとしているようだった。

「り、龍…

 ご、ごめんな…さい…

 わたし…龍…だけなの…

 ゆ…、ゆるして…ね…」

グレーシーソフィは龍の動きから、例え吸収されていたと言え、龍は二人のプルート化したフーマに弄ばれていたのに怒り、龍のものとして自分のすべてを征服しようとしているのだと悟った。

グレーシーソフィに取って、龍に征服されるのであれば嬉しく、その嬉しさと肉体的な快楽が入り混じって天にも昇る気持ちで、自ら腰を動かし、龍を迎え入れる。

そして、龍がグレーシーソフィの中に体液を大量に流し込むと、グレーシーソフィは手と足で龍にしがみつくと、体を震わせ、龍の体液を吸い込むように吸収する。

「あっ、あっ、ああ…」

声をあげ、体をのけぞらせると、体から力が抜けたようだった。


龍は、グレーシーソフィの口を吸い、その舌から体液を舐め取るとユックリ体を離し、アクアの方を見る。

アクアは潤んだ瞳で呆然と龍を見つめていた。

龍はアクアに近づくと乱暴に押し倒し、唇を、そしてその舌をからめ、アクアのブルームネクタを吸い取る。

アクアも同じように龍の舌を舐め、体液を吸い取る。

龍はアクアに対しては、体が小さく、軽いせいなのか、かなり荒々しく、乱暴になるが、決してアクアを傷つけたりはしなかった。

アクアもグレーシーソフィと同じで、体が毎回再生され、その度に激痛と快感に襲われていたが、道が出来、今ではすんなりと迎え入れるようになった。

しかし、やはり龍の花糸は三分の一くらいしかアクアの中に埋まらなかった。

それでも、その小さな体全体で龍を受け入れる。

そしてアクアの中に体液を放出すると、グレーシーソフィと同じように、龍に懸命にしがみ付き、体液を身体の中に吸収していく。

アクアはアクアで、龍にはなくてはならない存在になっていた。


「でも、厚木まで50kmだろ。

 この前、片道2日位っていったけど、普通の道で、ぶっ通しで歩いて10時間。

 この荒れ果てた道を歩くとなると、その倍はかかるな。

 それに休憩を入れてとなると3日以上はかかると覚悟しないといけない。

 ホテルもないだろうし、レストランや喫茶店もないだろう。

 そうだ、夜はどうする?

 プルートが徘徊しているだろうから、いくらプルートの誘惑を克服しても、寝込みを襲われたらどうする?

 交代で寝ずの番をするか?」

三人で行くとしても龍は心配になる。

「プルートは、階段を登れないの。

 だから、2階以上ある廃墟で上の階で眠れば心配ないわ」

グレーシーソフィが答える。

「ミナもサニャも、だから上の階に住んでいるのか。」

アクアが頷く。


「ねえ、龍。

 一つだけ聞いておきたいのだけど」

アクアが真剣な顔をして龍を見る。

「なに?」

「龍のようなフーマはたくさんいるの。

 そして、そのフーマは色付けされて差別化されているの。

 特別な能力や頭脳を持つフーマはゴールドレベルで、上級国民ていうところ。

 そこから、シルバー、ホワイト、ブルー、グレーとランク付けされているの。

 シルバーはゴールドの命令を忠実に実行する手足みたいなものね。

 ホワイトは、その下で、ブルーやグレーを管理して衣食住調整するの。

 実際に手を動かすのはブルーとグレー。

 グレーは、使い捨て」

「あいつらか…」

龍はグレーシーソフィを襲った二人組のことを思い出していた。

「モーリーは?

 あいつもグレーか?」

「ううん。

 モーリーは管理の中に入っていない、アウトロー。

 言葉を悪く言うと野良っていうところね。

 1人で勝手に生きているフーマ。

 まあ、行き先は、プルートってところかしら」

「…」


「龍なら、合流すればホワイトの中に入れるわ。

 上からの指示に従わなければいけなくなるけど、生活は保障され、安全よ」

「君たちは?」

「私たちフェアリーは、そこで食用に作られたもの。

 この前言ったでしょ。

 上級フェアリーは、松坂牛や大トロのように上級国民の餌。

 私たちは、実験材料であり、良くてブルー、それ以下やプルートの餌。

 上級国民からすると存在価値のないものかしら。

 だから、龍があちら側に行くのなら、ここでお別れ。

 龍が、あちら側を選んでも、私たちは何とも思わないから安心して。

 逆に少しの間でも、一緒に居られて楽しかったから。」

「何を急に言い出すんだ。

 僕は君たちと一緒にいる」

龍は、怒ったように即答する。

龍にとって、目の前の可愛らしい女性たち、細かくはわからないが作られた命で、ましては食用だというこの世界の人間達が、とても好ましい人間であるとは思わなかった。

それに、同じ人間だとしてもランク付けして管理していると、アクアの話だけだが、SF映画にあったような管理社会ということを想像すると、嫌悪感を持つ。


「いいの?

 野良になっちゃうよ?」

「構わない」

龍の言葉を聞いて、グレーシーソフィとアクアは目を合わす。

(グレーシーソフィ…)

(うん。

 龍がそう言ってくれるから、いいかなと思う。

 でも、龍が今後、向こう側に行くと言ったら、その時はそのときね)

(そうだね。

 私は、龍に助けられた命だから、どうでもいい。

 龍が、私たちを見ていてくれる間は)

(私もよ。

 じゃあ、決まり!!)

「龍。

 わかった。

でも、もし、向こう側に行きたくなったら遠慮なく言ってね」

「それはないよ」

龍は笑って返事をする。


「それと、大きな幹線道路は整備されているの」

「え?」

「環状七号、八号、甲州街道、246号、国道1号とか、主要な道路は物資の輸送や色々な用途のために車が走れるくらいに整備されているの。

 だから、厚木に行くなら、まずは環状七号に出て、道を南下して、246号で行けば早いわ」

「でも、彼らが通るから、見つからないようにしなくては」

「彼ら?

 向こう側の奴らのこと?」

「ええ。

 彼らは異聞たちの国をシルクチャイナと呼んでいるわ」

アクアが、また、情報の蓋を開けたようだった。


「本国は大陸の方にあって、ここには大使館、研究所があるの。」

「大使館?」

「そういっても、ここ日本は、すでに日本人が自分たちで統治してはいないわ。

 無法地帯になったところに、シルクチャイナが進出してきて、研究所を作り、日本に残っていたフーマをすべて取り込んで、管理しているの。」

「穴から出てきたフーマで自分たちの役に立ちそうなものは、自分達の管理下に置き、不要なものは放置する。

 放置されたフーマは、フーマとして扱われず、プルートやフェアリーと同じ実験動物として扱われるわ。」

「でも、僕は?

 僕はなにもされなかったよ」

「龍は、何かの手違いで、穴から出てきたのを見過ごされたのよ。

 それか、グレーシーソフィに回収されたのが早かったかのどちらかね」

グレーシーソフィは複雑な顔をする。

「でも、そのためにこの世界の暗部を先に見れたわけだ。

 連れていかれていたら、君たちのことを、単なる実験動物としてしか見ていなかったかもしれない。

 そう考えると、ラッキーだったな」

それを聞いてグレーシーソフィは顔を輝かす。


「わかった。

 ルートはアクアが言ったルートで。

 シルクチャイナに出くわさないように気を付けてだな。

 でも、だからといっても片道二日がかりだな。

 僕は良いが、寝泊りのことを考えると、やっぱり君たちは…」

「龍は、アクアだけで2週間。

 ううん。

 動けるのは10日間くらい。

 アクアがいないと、きっとその半分よ」

「じゃあ、僕一人だと、5日間くらいが体の限界か?」

「たぶん。

 だから、私たちはついていくわ」

現実を考え、龍は二人がいないとダメなことを痛感する。

「わかった」

(女の子だし、辛くなったら、皆で戻ればいいか。)

グレーシーソフィとアクアの運動能力の高さ、特にアクアについては目のあたりにしていたが、外見は華奢な女の子にしか見えなかったので、龍は二人が音を上げたらすぐに戻ればいいと甘く見ていたが、後でそれが間違いだったと痛感することになる。

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