第4話 INOKASHIRA PARK

口の中に広がる温かくほんのり甘い液体を飲み込み、龍は少しずつ覚醒していく。

飲み込んだものは、グレーシーソフィやヴィヴィのそれとは少し違っていたが、体中が覚醒していくのは同じだった。

「あの池の水を飲むなんて、まだ、この世界のことを知らないのかしら。

 この体を見ると、穴から出てきたばかりではなく、どこかで世話されていたみたい。

 ブルームネクタを飲んだことがあるだろうから、プルートにはならないと思うけど…

 あっ、眼が開いた。

 大丈夫?

 私はミナ。

 あなたは?」

龍が薄っすらと目を開けると、栗色の長い髪で額を出し、くりっとしたダークブラウンの目をした色白の綺麗な女性のフェアリーが心配そうな顔で覗き込んでいた。


ドクン!

龍の心臓が波打つ。

グレーシーソフィのブルームネクタを飲んだ時と同様に、体中が活性化し、相手のブルームネクタをすべて舐め尽くしたいという欲望が一気に龍を支配する。

「ぐ、がぁ」

小さく鋭い声を上げ、龍は素早く上半身を起こし、目の前のミナと名乗ったフェアリーに襲い掛かる。

腰のあたりに手を回し、押し倒し、ミナの両手首を掴み、頭の上で押さえつける。

ミナはカーキ色のジャケットにハーフパンツを履いていた。

「プルート?

 でも、姿かたちはフーマのまま…

 私、食べられてしまうの?

 だめ、サニャは、まだケースから出てきたばかりで動けないのに…」

ミナの目線の先には、グレーの髪にグレーの眼をし、黒っぽい上下の服を着た小柄な少女が見えているのか見えていないのか無表情にこちらを眺めている姿があった。

「ひぃ」

頬を舐め上げる龍の舌を感じ、ミナは小さく悲鳴を上げ、龍の顔を見上げる。

“頭を食べられたら復活することはできない”

恐怖がミナを襲う。


ミナの顔は恐怖でいまにも泣きそうな顔に変わり、龍をさらに凶暴にさせる。

片手でミナの両手首を押さえつけ、片手を背中に回し、きつく抱きしめると、その柔らかそうなしっとりとした首筋にしゃぶりつく。

「うっ…

 くぅぅ」

ミナは辛そうな声を上げ、そして首筋をしゃぶられているうちに、体に力が入らなくなってくるのを感じる。

(どう…したんだ…ろう。

 体に…力がはいらない…

 それに…なにか…いい気持に…

 プルートの何かの毒が…体に回って来た…の…?)

今まで幾度となくプルートに襲われていたが、こんな体験は一切なかった。


「ん?

 うぐっ」

ミナの口の中に龍の太くて熱い舌が入り込み、ミナの舌を見つけると、絡め、吸われていくようだった。

意識とまるで関係なく、ミナも応戦するように、可愛らしい舌を龍の舌に絡ませ吸い合う。

しばらくすると、くったりとミナの力が抜けたのを感じた龍は、手を離し、体を起こすと、ミナの服を脱がせ、自分も裸になる。

そして、しっとりとブルームネクタがにじんだ全身をくまなく舐めとり始める。

ミナの味は、グレーシーソフィに負けず劣らずの美味だった。

ミナは抵抗を試みるが、龍の舌が皮膚に触れると電気が走ったように快感に痺れ、力を入れることが出来なかった。

それよりも、その快感に溺れ、知らず知らずのうちに龍を求め始めていた。

龍は抵抗できないでいるミナをまるで玩具のように、うつ伏せにしたり、仰向けにしたり、腕や脚を持ち上げたりして舐め上げていく。

「あ…ああ…」

ミナは切なそうな顔をして、喘ぎ声をあげる。

龍はミナの両脚を広げると、舐め残した部分に向けって、内腿を舐め上げていく。

「や…、いや…

 勘弁して…ください…

 ひぃ…」

龍は容赦なくミナの花弁へしゃぶりつき、舌で花弁の周りや、中を刺激する。

刺激するたびミナの花弁からブルームネクタがにじみ出て来て、それを龍はしゃぶって飲み込む。


「や…」

ミナにとっては、龍にいたぶられるたびに強い快感で体の芯が熱くなりその都度、ブルームネクタが漏れ出し、龍に全部吸われていくような感覚に恥かしさと快楽で、何度も何度も体を痙攣させる。

そして、大きく体を反らせ、まるで糸の切れた人形のようにおとなしくなると、龍はミナの両脚を広げたまま、体をずり上げていく。

ミナには、次に龍が何をするのか見当がついていて、恐る恐る薄目を開けて龍の下半身についている物を見る。

「プルートの…細い蛇じゃない…

 違う…

 何…あの大きな棒のようなもの…

 顔はないけど…大蛇の頭のような…ものがついた…棒のような…

 あんなの…無理…

 入れられたら…体が裂けて…死んじゃう…」

それはミナが見たことのないような大きさのもので、その先端は何かの液体が漏れているのか濡れて光っていた。


龍は腕をミナの首の後ろに回し、肩を押さえ身動きできないように掴むと、ミナの唇に自分の唇を押し付け、舌を入れ込み片手で自分の花糸を持って、先端の葯を花弁の中心の穴のとば口に当てる。

「うー…うー…」

ミナは口を吸われ、唸り声を漏らすことしかできなかった。

ズヌッ

「うー!!」

龍の葯がミナの花柱の中に入って来ると、ミナは激痛で悲鳴を上げる。

しかし、ミナの舌は自分の関係ないように、必死に龍を求めている。

グリュ、グリュ

柔らかく細い入口に、太ものを強引に押し込んでいくような音が響き渡る。

「うう…」

龍の葯はミナの中に防波堤のようなものを感じたが、力を入れ一気に突破し、侵入していく。

「ゔぅー!!」

ミナの両脚が虚しく宙を蹴る。


体が引き千切れるような激痛に耐えられなくなったとき、ふいに痛みが嘘のように掻き消える。

「う…?」

龍はミナから唇を離し、ピストン運動を開始する。

ミナの目の前で龍の上半身が上下する。

その都度、龍の葯がミナの花柱の中で擦れ、ミナの味わったことのない至上の快楽をもたらす。

「ひっ!

 や…

 う…

 いい…」

ミナは気が狂ったように龍を求める。

そして快楽の中、意識がもうろうとしてきたとき、一気に子房の中に龍の液体が勢いよく流れ込む。

「んん…」

ミナは両膝を上半身につけるように持ち上げ、受け止める。

その勢いは子房の奥の壁を破って体中に染み込んでいくようで、ミナも一滴も残すまいと、それを吸収しているようだった


暫くミナは息を切らしながら、龍にしがみついたままだった。

そして龍が体を動かし、ミナから離れると、ミナは手で顔を覆ったまま動けなかった。

龍は体を起こすと、‟ふんふん“と鼻を引くつかせ、何かを嗅ぎ分けたようだった。

そして、その視線の先にはもう一人のフェアリー、サニャと呼ばれたフェアリーが、まるで人形のように無表情で龍とミナの方を眺めている。

龍は、立ち上がると、サニャのほうに歩きだす。

その股間は、衰えを知らず、勢いはそのままだった。

龍がその巨大なものを揺らしながら近づいて来るのをサニャは何も感情がないかのように眺めているだけだった。

龍は座り込んでいるサニャの前に行くと、しゃがみ込んで、サニャの服を脱がし肺める。


「だ…め…

 その子は…今日…ケースから出てきたばかりで…まだ、安定して…いないの…

 お願い…

 触っちゃ…だめ…」

ミナは体の言うことが利かず、顔だけ龍の方に向け、息も絶え絶えに哀願する。

服を脱がすとサニャは透けるほど白く、きめ細かな肌をしていて、その肌から瑞々しい柑橘系の果実の香りがした。

顔は15,6歳くらいの幼さの残った均整の取れた美少女だった。

体は、ミナより小柄で、やはり幼さが残り、胸などは膨らみ始めたばかりのようだった。

龍はサニャの香りもそうだったが、頭の中で“今やらないとだめだ”という声が聞こえ、ミナの哀願を無視し首筋からしゃぶり始める。

「まだ、若いな」

何がどう若いのかわからないが、サニャのブルームネクタを舌で味わった時に感じた。


顔や首筋、肩を舐め上げた後、龍はサニャを立たせてみる。

「ん?」

ヴィヴィのような羽根の代わりに、サニャは猫のような黒い細いしっぽが生えていた.

(この子は猫のDNAでも混じったかな)

龍はお構いなしに、体中をしゃぶっていく。

感情がないのか表情は一切変えないが、体は少し反応しているようで、体温が上がり、ブルームネクタもよりにじみ出てきているようだった。

そして仰向けにして花弁にしゃぶりつく。

無表情だった顔が、眉間に少しだけ皺を寄せる。

花弁をしゃぶり続けると、ミナほどの量はでなかったが、すこしだけ甘い良い香りのブルームネクタが分泌された。

龍はしばらくそれを啜った後、体を起こし、サニャも起こすと、そのままサニャを四つん這いにして、後ろから濡れて光っている花糸の先端の葯を花弁の中心に当てる。


「だ…だめ…」

ミナが寝ころんだまま声をかける。

ズズズズズ

龍の葯がサニャの小さな花弁を掻き分けるように中に入っていく。

サニャの花弁はその大きさに耐えきれないように裂けたように赤くなっていく。

後ろからだったのでサニャの顔は見えなかったが、特に体に力が入ったり、悲鳴を上げたりすることがなかった。

サニャの中はまるでお湯のように暖かく、ドロドロしているようで、ほとんど抵抗がなかった。

それでも龍は何かに取りつかれたように、サニャの腰を持って、抜き差しを繰り返す。

サニャは、龍の動きに合わせ体が動くが、龍に腰をしっかり押さえられているのでその姿勢のままだった。

そして、龍の体液が一気にサニャの中に放出されると、ターニャは顔を反らし、全身で龍の体液を受け込んでいるようだった。


サニャは顔をガクッと下げると、“ゲホゲホ”とせき込み、口からどろりと黒い液体を少し吐き出すと、くったりと大人しくなった。

「サ…ニャ…」

ミナは、絶望した目でぐったりしているサニャを見つめる。

するとサニャは、むくっと起き上がると胡坐をかいて座っている龍のその胡坐の上にまるで両足で龍の腰を挟むように脚を開いて座り、手を龍の首に巻き付け、ミナの方を見る。

そのサニャの顔は赤みが差し、笑っているようだった。

そしてなによりも、いつしかグレーになった瞳の色が少し茶色ががったように見えた。

「サニャ…元気なのね…」

サニャは、頷いて見せる。

「よかったぁ…」

ミナは涙ぐみながら、安どの顔で目をつぶり、寝息を立て始めた。

龍は、完全に自分を取り戻していて、そっとサニャを抱きしめる。

サニャは、先ほどよりも体から湧き上がる瑞々しい良い香りが強くなったような気がした。


「ありが…とう…

 でも…今日は…もう勘弁してね…

 私…眠く…なっちゃった…」

「でも、寝床は?」

龍が尋ねると、サニャは指で下を指す。

気が付かなかったが、座っている処は下にムートンのようなふかふかしたものが敷き詰めてある部屋だった。

「そうか。

 わかった。

 でも、無理やりごめんね」

龍は自分の行為を素直に謝ると、サニャは首を振って微笑み、龍に抱きついたまま寝息を立て始める。

(でも、僕は一体どうしてしまったのか。

 いくら人魚の血を分けてもらったからといって、体が勝手にこの子たちを求めてしまって。

 グレーシーソフィたちにもそうだったな。

 あ、グレーシーソフィとヴィヴィ。

 今日中に帰るって言ったのに、怒っているかな)

龍はそう思いながら、抱きついて寝ているサニャをそっと離し、ミナの横にそっと寝かす。

そして、裸の二人の体の上に、薄い毛布のような布を掛けると、枕元に座り込み、グレーシーソフィ達にしたように、寝顔を見ながらプルートの番をするように夜が明けるまで起きていた。


翌朝、朝日でミナが目を覚ます。

「え?」

プルートの恐怖におびえず、ぐっすり朝を迎えたのは、初めてのことだった。

それに、体の調子も異様に良く、気分も上々だった。

「そうだ、サニャは?

 あのフーマは?」

「目が覚めた?」

龍の声にびっくりしてミナは龍の方を見る。

するとサニャが龍の膝枕で気持ちよさそうに寝ていた。

夜中、サニャは寝ぼけたのか、それとも無意識に龍を求めたのか、もぞもぞと龍のところに寄って来て、その腿に頭を乗せ、再び眠りにつき、そのまま朝を迎えていた。

「サニャは?

 体は大丈夫なの?」

「ああ。

 ぐっすり寝ているよ。

 それより、昨日はごめん。

 助けてくれたのに、ひどいことをしてしまって」

「え?」

ミナは一瞬、何と答えていいのか困ってしまった。


確かにいろいろとされ、少し強引だったが、乱暴に扱われたわけでもなく、それよりも龍を求めていた自分を思い出し、顔が熱くなった。

「う、ううん。

 平気。

 えっと、あなたは?」

「僕は龍。

 以前、このあたりに住んでいたんだ。」

それから、龍は手短に目が覚めてから今までのこと、グレーシーソフィやヴィヴィのことを説明した。

「そうなの。

 ちょっと、ごめんなさい」

そういうとミナは起き上がり、何かを確かめるように龍を抱きしめる。

そして何かがわかったように、体を離すと、心の底から安心したのか笑顔を見せる。

「?」

「ううん。

 龍はいい人ね。

 でも、その子に言われたんでしょ?

 決して川の水や湧き水を飲んじゃダメだって。」

「ああ。

 具合が悪くなったのは池の水のせい?」

「そうよ。

 綺麗に見えても、水の中にも恐ろしいバクテリアがいるのよ。

 そのバクテリアが体に入ると体中のエネルギーを食べつくされ、死んでしまうのよ。

 絶対に飲んじゃダメ。

 それに植物なども毒のある植物が多いから、迂闊に口に入れちゃだめよ」

「はい」

龍は自分のために真剣に教えてくれるミナを、まるで母親に諭されているように素直に聞き入れ、頷く。


「それじゃ、また、補給しないと」

ミナがほほ笑むと、龍は鼻の頭をかく。

「?」

「いや。

 こうしていると、少し、サニャから元気がもらえて」

膝枕で寝ているサニャから、湧き上がるブルームネクタを含んだ空気を一晩中吸っていて、龍は少し元気になっていた。

「うーん。」

するとサニャが大きな伸びをして、目を覚ます。

瞳の色は昨晩よりの少し濃くなった気がしたが、それよりも、寝起きでぼーっとしてはいたが、全体的にしっとりし、元気なようだった。

「ミナ、おはよ…」

「おはよう…?!

 サニャ、あなた、喋れるようになったの?」

サニャは、毛布をかぶったまま起き上がり、龍の膝の上にちょこんと座ると、毛布を広げ、龍を包み込むようにして一緒に包まる。

「喋れなかったのか?」

サニャの返事の代わりに龍がミナに尋ねる。

ゴソゴソとサニャは龍の体に手を回し、ぴたっと抱きついていた。

「ええ。

 サニャは半年以上まえに、プルートの誘惑を受け、ケースから出てきたあと、濃紺だった瞳の色がグレーに変わり、話しかけても何も答えなくなっていたの。

 ただ、何をしなくてはいけないかは覚えていたみたいで、私がプルートの誘惑を受けた時は、きちんと助けてくれていたんだけど…。

 ねえ、サニャ、その間のこと覚えている?」


サニャは、ひょこっと毛布から顔を出し、考え込む。

「うーん、わからない。

 何か覚えているような、覚えていないような。

 ともかく、頭の中に霧がかかったみたいで…」

「他のDNAが強くなり、サニャの人格がぼやけていたのね」

「そんなことあるのか?」

龍はサニャの背中に手を回し、軽く抱きしめながらミナに尋ねる。

サニャの体は華奢だったが、柔らかで温かく、そして、被っている毛布の中にサニャの良い香りが充満していた。

「混じったDNAが強く作用すると、姿かたちに、その混じったDNAの特徴が現れ、もっと強く影響されると頭や心まで乗っ取られることがあるの。

 そうなったら、もう元には戻らないって聞いていたわ。」

サニャの黒いしっぽが、龍の脚を擽る。

「サニャは、ネコ科の動物のDNAが混じっている?」

「そう。

 ある日、ケースから出て来たら黒猫の尻尾のようなものが生えていたわ。

 サニャについては、全然、問題ないと思っていたけど、危なかったわ」

(でも、なんで治ったのかしら)


ミナは疑問に思ったが話を続ける。

「私には、犬の尻尾。

 ふさふさしている奴。

 嫌で嫌で、それに乗っ取られるのも怖かったから、この前、自分で切り落としたの。

 すごく痛くて、今でも傷跡が残っていてズキズキする…?

 痛くない」

ミナは起き上がり懸命になって、尾骨のあたりの尻尾が生えていたあたりを覗き込もうとしたが、首を捻じっても見えなかったので、鏡のような反射板の前に行き、必死になって確認する。

「え?

 傷がなくなっている…

 どうして…」

ミナは狐につままれた顔をする。

全裸で立ち上がったミナの姿は、均整がとれていて、綺麗だった。

(そう言えば、昨日、ミナのブルームネクタを舐めとっていた時、お尻の上あたりにひどい傷があったな。

 舐めていくうちに綺麗になったけど…)


「ねえ、龍」

ふいにサニャが甘えた声を出す。

「なに?」

「お腹空いているでしょ?

 少し分けてあげる。

 私、龍ならいいの」

「サニャ、あなた…」

ミナが唖然とした顔でサニャを見る。

「えへへ。

 ミナが寝ている時、1人で龍のログを見ちゃった」

「まあ、飽きれた」

ミナが苦笑いする。

「ログ?」

「何でもないわ。

 龍には関係ないことよ」

そういって、サニャは膝立ちして龍の唇にしゃぶりつくように唇を重ね、舌を絡みつけてくる。


その舌に絡まっているブルームネクタはほんのり甘く、それを少し飲み込んだだけで龍は欲情し、サニャを抱きしめ、舌を絡め、ブルームネクタをしゃぶりつくそうとする。

サニャも、龍の体液を吸おうと舌を絡める。

龍は、サニャを抱きしめたまま、ゆっくりとサニャを仰向けに寝かせる。

昨日とは打って変わったように体に弾力があり、張りのある肌から湿ったブルームネクタが滲み出て、瑞々しい良い香りが龍の鼻から肺の奥まで入っていく。

龍は荒々しくも、しかし、サニャを扱うときは細心の注意を払い、優しく扱い、肌から滲むブルームネクタを舐めとっていく。

サニャは、舐めとられるたびに電気が走るような気持ちよさに体を痙攣させ、快楽に浸っていく。


「くぅ…」

龍が花弁にしゃぶりつくと、サニャはたまらず声を漏らした口を手で覆い、必死に声を漏らさないように耐えている顔をする。

散々しゃぶりつくし、息も絶え絶えでぐったりしているサニャの両膝を持って、脚を開かせ、龍は巨大化した花糸の先の葯をサニャの花弁の中央に触れさせる。

そして、グイッと葯を花弁の中に埋め込む。

「ゔ…」

サニャは顔を横に向け目を閉じ、眉間に皺を寄せて、押し寄せてくる痛みに耐えているようだった。

龍は構わずサニャの花弁の中に埋めていく。

昨日と違い、サニャの中は狭く、締め付けられるようだった。

そして、途中にあった防波堤のような感触を一気に突破し、奥まで突入するとサニャは苦しそうに龍にしがみつくが、すぐに激痛が消え去り、快感が押し寄せて来て態度が一変してくる。


サニャは、龍にしがみつき、龍の動きに合わせ腰を動かし始めた。

龍が体を離し、腰だけ結合して動かすと下手にムートンを掴み、懸命に龍を迎え入れる。

そして再び龍が体を密着させると、無意識に脚を宙でばたつかせ、気持ちよさを表現する。

めぐり巡る快楽の嵐の中で、龍の体液が津波のように子房の中に押し寄せてくると、そのまますべてを吸収するように、龍からするとすべてを吸い取られるような気分で、お互いきつく抱き合いながら一つになっていくようだった。

サニャはまるで龍の体液が体中を回っているかのように、小刻みに体を痙攣させ、なおも龍にしがみついて離れない。

暫くすると、満足したかのようにサニャの手の力が抜け、龍の背中を掴んでいた手が下に落ち、脚もくったりを開く。

龍がそっと体を離すと、サニャは満足したような顔で寝息を立てていた。


龍はゆっくりとミナの方を向くと、ミナはうるんだ瞳と上気した顔で龍を見ていた。

龍がミナに近づくと、ミナの体温でブルームネクタが水蒸気のように肌から立ち上っているようだった。

見上げるような形で顔を上げるミナの上から、その口を吸う。

それが合図のようにミナのスイッチが入り、龍の首に腕を絡めかじりつくと、舌を絡めてくる。

龍も舌を絡めお互いを吸い合いながら、龍はミナの脇に腕を差し込み抱きしめる。

サニャの華奢な体と違い、ミナの方が肉感を感じ抱き心地がよかった。

そして、ほのかに熟れた甘い果実の良い香りが体から湧き上がって来ると、安心してか、ミナは体をすべて龍に委ねているようだった。

やさしく仰向けに寝かせ、肌から滲みでるブルームネクタを舐めとっていくが、心を許してか、滲み出るブルームネクタの量は昨日よりも多かった。

それでも、龍は渇望していたかのようにすべてを吸いつくしていく。

ミナは龍に舐め取られていくのが、嬉しくて仕方ないのか快楽で体をくねらす。

ミナの花弁をしゃぶりながら、龍は昨日よりブルームネクタの味が濃く甘いような気がした。

そして、龍の巨大化した花糸をミナの花弁の中に埋め込んでいく。

ミナは拳をきつく握り、痛みに耐えているようだった。

そして、途中壁のようなものに触れた気がしたが、龍はミナの両膝を立てるようにして、一気にその壁を突き破り奥まで侵入する。

「い…」

ミナは痛みで目を開いたが、それは一瞬のことで、痛みが何もなかったように掻き消え、直ぐに快感と快楽の嵐の中に身をゆだねていくことになる。

龍に激しく求められ、龍を激しく求め、気持ちよさで何が何だかわからなくなったところで、龍の体液が一気に子房の中に流れ込んでくる。

ミナも、龍の体液をすべて吸収するかのように、腰を上げ、奥へ奥へと誘い、腕や脚で龍に抱き着き、激しく体を痙攣させる。

龍はミナの首元に顔をうずめ、大きく深呼吸し、ミナの良い香りを肺いっぱいに取り込むと満足したようにミナを抱きしめる。


暫くして小刻みな痙攣が治まると、ミナの手や足の力が抜けていく。

「龍…

 私たちの…間で…横になって…」

ミナは息を切らしながら龍にほほ笑む。

いつの間にかサニャも寄って来て、ミナとの間に横になるスペースを開けた。

龍は、頷くと二人の間に入り仰向けで横になる。

すると両側から二人が龍の腕を抱きしめるように体を寄せてくる。

(グレーシーソフィもヴィヴィも、よくこうしてくれたっけ。

 早く帰らないと…)

二人の体温の温かさ、咲き誇る花畑の中にいるようにいい香りに包まれ、龍は眠り込む。


龍が目を覚ましたのは、陽も傾き始めたころだった。

「龍、目が覚めた?」

「ああ。

 良く寝ちゃったよ」

「調子は大丈夫そうね」

両方から声が聞こえる。

2人とも龍が起きるまで、ずっと龍の腕を抱きしめ、体を密着させていたようだった。

「え?

 二人とも、ずっとそうしていたの?」

「ええ、そうよ」

「でも、私たちも寝ちゃっていて、さっき、目が覚めたの」

「どう?

 私たちのエネルギー、チャージで来た?」

耳元でミナが囁き、龍の頬にキスをする。

「美味しかった?」

反対側の耳元でサニャが囁き、同じように龍の頬にキスをする。


龍は、サニャの“美味しかった?”という言葉に、すごく恥ずかしくなり、顔が赤くなるのを感じた。

「あっ、龍ったら恥ずかしがってる」

「どれどれ」

二人は照れている龍を見て、楽しそうに揶揄からかった。

「ねえ、龍。

 ちょっと体を動かしてみて」

3人は洋服に着替え寝室とは別の部屋にいた。

「でも、いきなり無理しなくていいからね」

龍は言われた通り、屈伸したり腕を回したり、背伸びをしてみた。

体は軽く、そして調子がよく、気分も良かった。

「大丈夫だ。

 気分のいいよ」

「すごいわね。

 普通、あれだけのバクテリアが体に入ったら、全部食べられて分解され、骨も残らないわ」

「そ、そんなに凶悪なのか」

ミナの話を聞いて、龍は自分の軽率な行動に、思わす総毛だった。

「そうよ。

 あ、適当に座って」


部屋は何かの教室のようだった。

テーブルや椅子はなかったが、クッションがあちこちに置かれていた。

その内の大きなクッションに龍が腰を下ろすと、ミナは目の前にお気に入りと思われるクッションを持ってきて座る。

サニャはクッションを持って龍の横に座り、龍の腕に抱きつく。

「あらあら、サニャはすっかり龍が気に入ったみたいね」

「だって、少しでもサニャのエネルギーをチャージして欲しいんだもん」

「まあ」

子供のように話すサニャをミナはやさしい瞳で見つめる。

「でも本当にすごいわ。

 バクテリアを自分のエネルギーで分解しちゃうんだもの。

 どういう体をしているのだか」

「分解した?」

「そう。

 初めはどうなるかと思っちゃったわ。

 目の前で消えてなくなるかと思ってみていたら、少ししなびたところで、踏みとどまったんですもの。

 でも、あれ以上飲んでいたらアウトよ」

「うー、おっかね。

 で、二人が見つけてくれて、ここに運んでくれたの?」

「ええ。

 でも、サニャは覚えていないみたい」


「ここは、どこいらへん?」

「龍を見つけた池から2kmくらい北東にいったところ」

「え?

 2km?

 2kmも僕を担いで来たの?」

「そうよ。

 何か変?」

「いや、なんでもない」

(そう言えばグレーシーソフィも僕を担いで住処に連れて行ってくれたんだよな。

 いくらミイラ状態でも。

 それにいつもあの重たそうな旅行ケースを軽々と持っていたいよな。

 ひょっとして、フェアリーって見かけよりも段違いに強いのではないか?

 でも、待てよ。

 僕の力で平気で押さえつけられて…

 わけわからん)

龍は頭を振って、気を取り直して話を続ける。

「ここが住処?」

「ええ、そう。

 エリアギリギリだけど、池の近くに美味しい木の実や果実がなっているの。

 それを取りに行くのよ。

 そうだ、この木の実、どっちが食べられると思う?」

「え?」

ミナが手の上にのせて見せた木の実は、どちらも同じものにしか見えなかった。


「わからないでしょ。

 こっちが食べられる木の実。

 こっちはまずくてお腹を壊すわ。

 だから、知らないところでは、私たちフェアリーの言うことを聞かなくちゃだめよ」

「はーい。」

「まあ!

 素直でよろしい」

「素直でよろしい」

ミナをまねしてサニャもいうと3人で笑い合う。

「ところで、ここら辺に“フーマの穴”ってあるか、知っている?」

「“フーマの穴”?

 知っているわ。

 でも、何年か前に物凄い音とともに陥没して、埋まっちゃったわ」

「え?!」

龍は一瞬喜んだが埋まったと聞いて失望する。


「そうか…

 その穴から、僕みたいなフーマが出てきたってことは知っている?」

「うん。

 何人か出てきたみたいだけど、皆、プルートになったって、他のフェアリーから聞いたことがあるわ。

 私たちも何度かあったけど、私たちのブルームネクタじゃだめだったみたいで、飲ませても死んでしまったり、プルートの変身してしまったり…

 私たちのブルームネクタで元気になったフーマは龍だけ」

「その中に女性はいた?」

2人とも首を横に振る。

鈴はいなかったと聞いて、ほっとしたような残念だったような複雑な気分になっていた。


翌日、昼近くになり、すっかり体力が回復した龍は、グレーシーソフィとヴィヴィのもとにに戻ろうとミナたちの住処を出る。

いったん、陥没したという“フーマの穴”見てから帰ると言うと、心配したミナとサニャが道案内兼ねてとついて来る。

建物を出て周りを見渡すと草木の中に「女子大通り」という朽ちた金属の看板らしきものが落ちていた。

「そうか。

 ここは、吉祥寺駅の反対側か。

 東京女子大のほうだな。

 ねえ、ミナ。

 ここを北の方に行くと池があるだろう?」

「ええ。

 あるわ。

 でも、あまり美味しい木の実がなっていないから、あまり行かないわ」

「そうなんだ」

(善福寺公園だ)


桜の花が咲くころ、鈴と井の頭公園の桜と善福寺公園の桜とどちらがきれいかと言い合いしたことを思い出す。

そして井の頭池に戻り、それを超えて玉川上水を超えた先に広大なくぼみがあった。

「ここが陥没した跡よ」

ミナが指さす。

すでに何年もたっているのか、くぼみの上に草木が生い茂っていて、とても中に入れるところはなかった。

それを見て龍は落胆を隠せなかった。

「龍?」

サニャが龍の腕を引っ張る。

「うん。

 ちょっとがっかりしただけだよ」

「龍、私のエネルギー、あげようか?」

「じゃあ、ちょっとだけ」

龍は心配してくれるサニャが可愛く思え、そっと頬にキスをする。

「うん、元気になった。

 ありがとう。

 また、たまに来るよ」

「うん、ぜったいね」


そういってから龍は二人の顔を見てプルートの誘惑のことを考えてしまった。

(なんとかこの二人を救えないだろうか。

 そうだ。

 なぜ、グレーシーソフィとヴィヴィは誘惑に打ち勝てたんだろう。

 それがわかれば、この二人も)

龍は二人と別れるのが、わずか3日一緒に過ごしただけだが後ろ髪を引かれるほどつらかった。

「龍、大丈夫よ。

 わたしもミナも強いから。

 ね、ミナ」

ドサ

2人が振り返った時、ミナは仰向けに倒れて行った。

しかも、首から上がなかった。

「龍!

 あのフェアリー、ミナの首を持ってる!!」

数メートル先に片手に鋭利な刃物を持ち、片手にミナの首から上を抱え必死に走る少女のような姿が見えた。


その少女の背中にはセミの羽のような茶色の羽が生えていて、まさに飛び立とうとしていた。

「龍!

 飛んじゃう」

「飛ばれるとまずい」

とっさに龍は近くの小石を手に取ると広げた羽に向かって石を投げつける。

「頼む

 当たってくれ」

小石は見事に片方の羽に辺り、大きな穴をあけ、飛べなくする。

ミナの首を持ったフェアリーは驚愕した顔で龍たちを見るがすぐに、走り出す。

「待って。

 ミナを返して」

サニャは叫びながらフェアリーを追う。

当然、龍も後を追う。

フェアリーは捕まりそうになると、羽を広げ、飛べないがジャンプすることが出来たので、二人を引き離す。

また、追いつくとジャンプする。

その繰り返しで、いつしか井の頭第二公園を超えたところにある、薄暗い建物の中に飛び込んでいく。

一瞬、サニャが龍の顔を見て確認するが龍はサニャを押しのけるようにして建物の中に飛び込む。

「おいおい、なんだ。

 何を引き連れてきたんだ?

 お前、人間か?」

暗がりの中から男の声がした。

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