第二章【工房主のモテ期到来】

第21話「月下草と美人獣人族」

ノシル、アラメイアそして俺の三人のメンバーで行く事になった。


「ノア兄さん」

「ん?何だい?」


ノシルに呼ばれて地図の方を指さし


「あと数キロ当たりで現場に着く」

「おっ、そこまで遠く無かったな」


アラメイアも確認しに来て


「この地図に載ている村が獣人族の村ですよね?」

「あぁ、狩りを主軸とする戦闘民族でな。村に観光で訪れた人も大体一緒になって狩りをしたり、狩りで捕まえた獲物を一緒に食べたりもするらしい」


だからか、帝国以外はちゃんと地図に獣人族の村が記載されている。

これも帝国との険悪で嫌悪を示している。


「それじゃあ・・・」

「あぁ、多分――――帝国の連中が仕掛けて獣人族の村を手中に収めようとしているかもな」


ただでさえ帝国が手を組んでいる国は何処にもない。

魔族と手を組むとしても何のメリットも無い。

連中が何を言っても他の国々が言い返され言い負かされるだけだ。


「それじゃあ・・・二人共、アレは持ってるかい?」

「「勿論(です)」」


俺と他二人は懐から手形を取り出す。

獣人族の村では手形が無ければ他の国の人間でも簡単に通す事は出来ない。

無論、爵位の高い貴族であってもだ。


因みに手形とは――――証明書と言ったような紙で獣人族の村での出入りは手形が無いと駄目だ。


因みに紛失した際は獣人族の村で再発行も出来る仕組みになっている。


昔の商人は失くした際に詰め所に通り、再発行の手続きをして貰ったらしい。

獣人族ならではの機転の利く行動を目の当りにしたらしい。


「さて、もうすぐ―――――」


俺が言い掛けた所で出入りの所で揉め事が起きていた。


公爵令嬢ジュノン=ビアンチェ

「だーかーらー!指定された手形持って来ましたって!」


門番リッティー

「どー見ても偽もんだよアホウ!」


獣人族で猿獣人の男の門番がどこかの貴族らしき御令嬢を通せまいと意地で応対していた。

御令嬢も負けじと対抗していた。

俺は二人の間に入り


「すまん、門番さん。手形コイツで合ってるよな?」

「オウ!獣人族の村に入る為の手形はそれよ!」


笑顔で通して貰えた。


「ちょ、ちょっと!何で彼だけ通れて私だけが通れないのよっ?!」

「テメェの目は節穴かッ?!よく見てみろ!!!そんな手形を持つのは帝国・・だけしかねぇんだよ!アホンダラ!!!」


他の二人も一緒に喧嘩っ早くなりそうなご令嬢と門番を離して事情を聞いてみた。


「帝国産の手形通行証?」

「オウ、ウチは帝国とは犬猿の仲ってのを兄ちゃん達は聞いてるだろ?その当時に長は各国とのお偉いさんと魔導具を通じて帝国にある手形のみ通行禁止にしてんのよ。なのにあの分からんちんなお嬢さんと来たら・・・」


つまり、彼女が持ってきているその手形は彼女の出身国の所で特別に発行して貰った帝国産の手形らしい。


「そうか、じゃあちょっと待っててくれ」

「オウ、説得頼んだぞ~」


俺は女性三人で話をしている所に入り、ノシルに聞いてみた。


「署書きは公国?」

「うん、騎士団の捺印なんだけど・・・」


俺もその手形を見せて貰う。

確かに騎士団から許可を得た紙なんだけど・・・何かが違和感が・・・


「・・・もしかして、商店で売ってました?」

「え?えぇ、売ってたわよ」


その御令嬢の発言にこの場に居る俺達三人は驚く


「同行者は?」

「新人だけどメイドの一人と」


そのメイドさんはぎこちないような感じの挨拶をする。


新人メイドリリカ

「私はまだジュノンお嬢様に仕えてから日が浅い方でして・・・」


どうやら公爵に頼まれてここまで御使いに来たんだがその時に持ってきた手形は商店・・で買って来たらしい。


俺は彼女達に正しい事を教える事にした。


「あー、実はだな。その手形はあの門番が言った様に偽物だよ。ましてや本物の手形―――国で管理されている証明書は国が商業ギルドか冒険者ギルドを通して厳正に管理しているから必ずしも野良の個人店や商業ギルド傘下の商店とかには一店舗もそのまま売っては無いんだよ」

「えっ、そうなんですか?!」


どうやら彼女達が買った証明書が売っているその商店は闇営業か、もしくは違法取引現場で置いてある代物だ。


御令嬢―――ジュノンさんのご両親に魔導具で呼び出して貰った。


公爵クロッカス=ビアンチェ

『んなっ、通行手形が闇露店に置いてあるんですか?!』


「えぇ、早急に対応しないといけません。貴方が雇ったあちらの新人メイドに居場所を聞いてから騎士団を派遣してください」


その通話に出た公爵は気前の良いダンディーな御方で冷静に話を聞いてくれた。

メイドさんに聞いた後―――


『申し訳ない、私以外の公爵家も見逃していたようだ。娘に変わって謝罪をさせてくれ』

「いえ、それより手形は国や村によって門番の警備の方でも書類を交せば発行出来るのでそれ教えておきますね」


俺がそう言うと、公爵は何度もお礼を言われて後は通話を終えた。


女豹獣人カントリー

「リッティーい!交代しよー!」


「おっ、わりぃ、頼む。後、あっちの女性に案内をしてやってくれ。イクロスに門番任せてるから通行手形の手続きの方を頼むわ」


女性の獣人族が「わかったー!」と言い、ジュノンさんを詰所の方に連れて行った。

俺達はそのまま村の門を入るのであった。

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