第22話「VS月下魔獣」
猿獣人のリッティーさんに各箇所案内をして貰った後は依頼人である獅子獣人のレオナルドさんに会いに行った。
獅子獣人レオンナルド=ディルタロス
「この村の村長兼領主をやっているレオンナルドです。どうも宜しく」
レオンナルドさんの話によれば、やはり近隣にある帝国が嫌がらせをしてきたと言う。
それが皆と話をしていた時に話題に出た月下草だ。
後者側の月下草には毒が含まれておりその毒を摂取した物は月下型と呼ばれる魔物に変貌するんだそうだ。
「一人、被害に遭った者が居ましてな。既に顔を出している―――豹獣人のカントリーの姉であるクリスタなのです」
「そうなんですか」
彼女のお姉さんは後者側の月下草とは知らずに魔物に警戒しながら取ったらしく、燃焼処分せずに薬にして飲んだそうだ。
「幸い、症状が軽めだったのですが・・・治す方の月下草が残り一つになってしまいましてな。帝国に狙われぬように私の方で厳重に管理させてるのです」
「んで、増やしたにもかかわらず月下魔獣に?」
レオンナルドさんは頷く。
どうやら後者側の月下草の進行は早かったらしい。
姿を晦ましたと思ったら月下魔獣になって襲撃しに来たそうだ。
「カントリーも必死に説得したりして応戦しましたがね、やはり後者の月下草のせいもあって理性が無いままどこかへ去ってしまったのですよ」
「んで、またここに戻ってくる可能性があると?」
レオンナルドさんが言い掛ける前に――――
虎獣人
「村長!大変だ!!!クリスタが戻って来たぞ!!!」
どうやら完全に理性を失っているクリスタさんがまた襲いに戻って来たらしい。
「村の子供達には外に出ない様に警鐘を鳴らしなさい!!!御三方、カントリーだけの力では彼女を止める事は難しいのです。どうか、彼女達をお願いします」
「分かりました。我々に任せて下さい」
二人は既に向かったらしい。
後から俺も二人の後を追って急いで行った。
「――――いたッ!」
レオンナルドさんが言っていた通り、月下型の魔獣へと変化していた。
特徴的な月の形を模した痕が額に在り、毛並みが変色していて薄紫になっていた。
「さて、アレを使うか」
俺は懐から中ぐらいの大きさの頭を持つハンマーを取り出し
更に長杖を取り出した。
「グルルルァッ!!!」
「ノシル!アラメイア!二人用の武器だっ!」
「「ありがとう!!!」」
俺から受け取った二人は戦闘態勢に入り、月下魔獣に挑む。
その二人が戦っている間に俺はとある物を即興で作り始めた。
「よし、出来た!」
俺は二人と交戦中の月下魔獣の背後に周り
「隙ありッ!!!」
「フシャァッ?!」
月下魔獣と化している彼女の口を無理矢理開けて即興で作った
「・・・・!!!!」
俺がその薬を飲ませた事により月下魔獣の状態のままで―――クリスタ本人の意識が戻った。
「・・・っ、ここは、一体・・・」
「お姉ちゃん!!!」
意識だけが戻ったらしい。
またいつ、どこで魔獣としての意識に囚われかねないか心配だ。
と言う訳で――――
「クリスタ、君をウチの工房で警備として働かせたい・・・駄目か?」
俺がそう聞くと、レオンナルドさんも何度も頷く。
クリスタ
「わっ、私で良ければ・・・お願いしますっ!」
彼女の承諾を得た事で、そろそろ本題に入る。
「帝国の一件。俺に預からせて貰っても?」
「うむ、任せても宜しいですかな?」
こうして新たな仲間を手に入れつつ新しい依頼を請け負う事にした。
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