第20話「工房主と働く美女達」

準備をしようと色々用意していた最中にフィーの知り合いだと言う可憐な女性のアラメイアさんが来た。


人間に扮した魔族を連れて。


「なっ、なななな何で私の変装をッ?!」


俺は落ち着かせ


「悪い悪い。俺、錬金魔法を会得するついでに師匠の勧めで色々覚えてね」

「な、成程」


取り敢えず中に入れさせた。

師匠は察しが良いのですでに全員に正しい情報を提供して居た後だ。


「・・・ノア兄さんが言うんなら大人しくする」

「そ、そうか」


ノシルがやっと落ち着いたらしく師匠は疲れ果てた顔で椅子に座る。

二人からの一通りの説明をして貰い――――


「やっぱり結晶化魔法は駄目ね。命知らずな冒険者が来たりしてボロ負けで帰って行くんだから」

「やっぱその魔法が貴重だから狙ってくる奴は居るんだな?」


ヴィニテアやアラメイアが加わった事で工房の仕事の効率が格段に上がり、スムーズに動いていけれた。


「―――で、ヴィニテア知ってるって本当か?」

「えぇ、【月下草】はよく兄さんがスケッチをしに夜目の丘に行くんだもの。時間帯によっては把握出来てるわ」


【月下草】には二種類存在しているのを魔族側も把握しているらしく―――

・時間を把握している【月下草】

・完全に夜間の空間を創り出す特殊な【月下草】

の二つで、特に後者が特に危険である。


「特に前者のは万能薬として有名でしょ?獣人族の村では既に研究も始めているのよ」

「へ~、それじゃあ後者の【月下草】は誰も取りに行かないんだな?」


ヴィニテアは頷く。

彼女が言うには夜間の空間を創り出す【月下草】は幻覚作用があるらしく、人間がそれに近づきすぎると魔物に気付くのが遅れるらしく、結構な被害が出るだとか。


魔族の長であれば幻覚も効かずに引っこ抜くのはお手の物だと。


「で、ノア様は―――」

「普通に「ノア」って呼んでくれても良いんだけど」

「いいえ、迷惑をかけたのは自分なので」


魔族の長の妹であるヴィニテアは至って真面目らしい。

特に譲れないものをきちんと主張する女性だ。

彼女は咳払いをして


「で、依頼を受けたのは―――後者の方ですね?」

「あぁ、最近村の方でも自生し始めたらしくてな」


獣人族の村の堀の外で咲いたらしく、既に獣人族の男性数名、女性数名と均等に被害が出ているらしい。


「帝国ではまず獣人族の村とは犬猿の仲でしょうから」

「まぁーそうだな」


ヴィニテアの後に俺は何度も頷く。


「――――と言うより・・・お二人は既にそのすべを持っているのでは?」

「ん?・・・あぁ持ってるっちゃ持ってるけど・・・」


アラメイアに指摘され師匠は苦笑いし俺は困惑する。


「もしかして使えない状況があるとか?」

「いや、そうじゃあないのよ」


シー婦人に聞かれた師匠は否定し


「あー、実を言うと・・・なんだ、アタシと弟子はその魔法で後者の方の【月下草】の処理は出来るんだけど・・・」


師匠が言った後に俺が続けて


「その魔法を使用するのは問題無いんだが・・・・使用後が問題あるんだ」


その魔法は【堰牢せきろう】と言いその対象の発動する魔法や技なんかを封じるメリットの幅が大きい魔法―――だけど


「デメリットは――――発動者は常に魔力が増幅し続けるってやつなんだ」


他からしたらメリットのように思えるが――――穴がある。

人体に溜め込む魔力は強くなった時に空の状態であれば容量は増える。


だがしかし、魔力が増え続ける場合は容量オーバーとなって魔法を放つ際に人為的大災害が起こる。

実際に師匠も若い時に一度、俺もまだ修行の身で一度起し、そのヤバい経験を得たからこそ力を今でもセーブしている。


「さてと、そろそろ準備は整ったかな?」


辺りを見渡すと、次の依頼にて同行するメンバーだけが頷く。


「私は取り敢えず状態異常無効のモノを作りますね」

「私は取り敢えず武器と花用のハサミ研いでおくね」


アラメイアがそう言ってポーションを作っている間に、ノシルがそう言ってそのセットを持って奥の鍛冶場に引っ込むのだった。

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