第17話「とあるギルド受付嬢の話」

「いやぁ~ノアさんすごいですよ!本当に!」


わたしは獣人族のニャニャ、今現在のお昼休憩にて同期のアロアナちゃんと女子トークをしていた。


アロアナ

「ニャニャのお気に入りの?」


「そーそ!彼、腕前が凄いのよねぇ~!」


何と言ってもここ数日、商業ギルドからお礼と感謝の連絡が来ていたらしい。


なんでもノアさんの作るアイテムや装備品などもどれも一級品で性能が良いらしく、殆どの売り上げが一日でヤバいらしい。


「ってかよくあれで他から苦情出ないよねぇ」

「あれ?アロアナちゃん知らないの?」


私のその言い方に彼女は疑問を抱く。


「彼ね、商業ギルドに寄ってから他の商業系列の方々からアドバイスを貰ってたみたいで元々工房を建てる前―――確か宮廷に入る前に色んな所で仕事を学んだから色々と面識があるらしいのよ」

「へ~、随分と詳しいじゃない?」


それもそのはず。


何にせよ、彼の行く先々は知り合いばかりだし王都の商業地区で売って居たって誰も文句は言わない。


「成程、信頼が分厚過ぎてそこらの人達の殆どがやってるのね」

「そっ、しかも彼の今のやり方に真似てみようとして併合するお店が増えたみたいなの。そうね~、総菜と果物屋さんと併合するように武器屋と道具屋と鍛冶屋と鑑定屋とか」


商業ギルドでも無くても冒険者ギルドで務めている先輩たちの耳にも入っている。


「さてと、仕事に戻りましょ」

「そうね」


そしてさらに数日後、ノアさんが三つ目の依頼を終えたと言う事で一息つくらしい。

暫くは本業に力を入れるんだとか。


「あのーすいません」

「はい、何用でしょうか?」


休憩がそろそろ終わるタイミングで煌びやかな王族衣服を身に着けている男性が訪ねてきた。


王子ジャック

「ここに有名な工房主が居ると聞いて来たんですが」


その男性がそう聞いて来た。


「あ~、もしかしてノア=クラークさんのお知り合いですか?」

「えぇ、彼はここ等辺で有名なんですか?」


私が知る限りの情報をその男性に提示した。

何故かその人には信頼を置けそうだから。


「成程、ここから少し離れた所の工房アトリエにか・・・分かりました。有り難うございます」

「どういたしまして。またのご利用をお待ちしております」


私はそう言ってその男性を見送る。

後から急いでアロアナちゃんが来た。


「今のもしかして王子!?」

「知ってるの?」


私がそう尋ねると彼女は何度も頷き


「ニャニャは貴族界隈の世間帯の情報少ないから言うわ。先程のあの御方はこのクロスロード王国の第一王子のジャック=クロスロード殿下よ!第一王女様もいて二人兄妹ですって!」


ただ私やアロアナちゃんは何故、王子が訪ねて来たのかが分からないので秘書長を務めているアイリスさんに訪ねてみた。


「あら、もしかして・・・そう言う事ね」

「「?????」」


一人で何か解決したかのような頷きをするアイリスさんに疑問を抱く。


そんな私達をアイリスさんは見て慌てて


「ごめんなさいね、あの御方はきっとノアさんがフリーになってしまった事で装備品のメンテナンスをして貰えなかったのよ」

「あっ、ノアさんがこの王都付近の工房に構えて居る事を聞いたから訪ねて来たって事ですか?!」


私がそう聞き返すとアイリスさんは頷き


「ギルマスから聞いた話だと、宮廷で働いていたのはたったの二年間のって言うだけでしょうね。正式に工房を受け取る前に貴族のイヤな奴に工房を取られてからこの王都にふら付いて来たって言うのが情報としてギルマスに流れていたみたいだし」

「成程」

「・・・・って事は彼、相当な腕前の持ち主?!」


その場に居る私達は「だから白金色を取る程腕前が良いのか」と思わず納得するのであった。


「さっ、もう仕事始まっているでしょう?さっさと仕事場に戻りなさい」

「「はーい」」


その日は何か引っ掛かったモノがキレイサッパリ無くなているかのようにスムーズに仕事を終れるのであった。

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