第15話「追想の樹木とドワーフ②」

「これは・・・・」


早速問題の樹木の場所に来た。

とは言え―――――


「これは・・・結晶化ですね。ツルハシでしか取れないかも」

「だよね?やっぱ」


師匠は細かい事が苦手で道具も真面に揃えない時があって基本的に俺が用意している。


「俺に任せて下さい。師匠は目印お願いします」


師匠は頷き


「分かった~若年のは斧使っても良いよな?」

「当たり前ですよ、そうでもしないとここ等の木をドワーフの方々が困るんですから・・・あぁ後そうだ」


俺は近くに居たノシルに声を掛け


「おやっさんにツルハシを数本と今直ぐにでも伐採出来る方々を集めて来てくれるかい?」

「わかった、ノア兄さん」


ノシルはそう言って他のドワーフ達を呼びに行った。


「師匠、これは手間かかると思います」

「だろうな、こんなクソ堅い結晶化したヤツはアタシでも初めてだよ」


師匠はそう言って結晶化してある追想の樹木に触れる。

数分後、ノシルが腕に自信のあるドワーフを数十名程連れて来た。


ドワーフ①

「―――で、俺等が用意した子の合金ツルハシで根元狙えばいいんだな?」


「えぇ、結晶化しても問題無いので。それと師匠、根源見つかりました?」


俺がそう言って師匠に聞くが、師匠は首を横に振る。


「全くもって駄目だな。もしかしたら地面の土が問題かもしれないよ」


その事を聞いたドワーフの一人が


「なぁ、確かノシルのとーちゃんが追い返した魔族が関係してるんじゃないか?」

「その話、詳しく」


そのドワーフはノシルの父カリムが高慢な魔族を追い出した事があるらしい。

しかもその日は師匠がドワーフの里に滞在する事になる前の日に。


「おい、カリムを連れて来たぞ」


「なんでぇ~せっかくふて寝しようと思って――――ンンッ?!」


カリムと呼ばれているそのドワーフは俺を見て


「お前さん・・・もしかして鍛冶もお手の物か?」

「まぁ・・・師匠のを見て齧りつく程度であれば」


カリムは何度も頷き


「分かった、詳しく話そう。悪いお前等!俺と娘の客人と話してるから二人分まで伐採しておいてくれ!」


周囲のドワーフ達はカリムの頼みを承諾し、俺と師匠はカリムの話を聞く事にした。


「で、追い出したその魔族はどんな奴なんだ?」

「そうだな・・・・淫魔族って言えばわかるか?」


淫魔族、魔族の中で性を知り性を尽くす言わば魔族の中でもヤバイ連中と言われている。


「その淫魔族の女が俺等ドワーフの男を連れて行くと同時にここ等一帯の樹木を伐採するって言う案を出されたんだ」

「んでその条件が怪しいって事で断ったんだね?」


師匠が聞くとカリムは頷く。


「あぁ、奴等の中では性欲に強いのがドワーフとされていてな。半ば誘拐染みた条件だったから断ったんだ」


そしてその淫魔族は舌打ちして魔法を放って周囲一帯の樹木を結晶化させたらしい。


「あの結晶化のせいで魔物がうろつく様になってな。暫くドワーフの里はそれが原因で別の国に渡る事自体出来なかったんだ」

「結晶化にする魔法・・・ねぇ」


心当たりのありそうな師匠を見て俺は伐採を再開した。

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