第14話「追想の樹木とドワーフ①」

「さて、早速やるか」


店を出てから一度、冒険者ギルドに寄る。


「あっ、ノアさん」

「どうも、ニャニャさん」


ニャニャさんとは例の冒険者の騒ぎ以来、ギルマスであるアステリアさんの采配で専属受付嬢になって貰った。


「成程、残りの二つを終らせるために一度地図を」

「そっ、特にドワーフの里は初めてだから地図で確認したいんだ」


俺はそう言ってドワーフの里の位置を確認する。

そうでもしない限り追想の樹木の影響で年々行方不明になるからだ。

俺も思い留まってギルドに来た甲斐があった。


「不思議ですよねぇ~、ドワーフが作ったとされている地図を持って確認しながら動くだけでドワーフの里に着けるなんて」

「まぁ年々例の樹木が生えまくってるから悪だくみしようと企むやつには打って付けな里の周囲の森だけど、初心の冒険者にはキツいからね。・・・はい金貨5枚」


懐から金貨を取り出してニャニャさんに渡す。


「有り難うございます!次のご依頼頑張って下さい!」

「あぁ、行って来る」


冒険者ギルドを出て早速地図を頼りに目的地へ行く。


「―――で、ここを通って・・・・」


地図の通りに進み、そして――――


「おっ、着いた」


門番をしているドワーフに話をする事にした。


「凄腕の鍛冶師ぃ?」

「えぇ、こちらの紹介なんですけど・・・」


俺はそう言って事前にギルドの預かり所から受け取った師匠の名前が書かれている紹介状を見せた。


「ほぇ~!アンタあの人の弟子かい?」

「えぇ、良ければ通っても?」


門番をしているドワーフに凄腕の鍛冶師がいる鍛冶屋の場所を教えて貰い、早速行く事にした。


「すいませーん、有名な鍛冶師が居ると聞いたんですが―――」


ノシル

「・・・・どちら様っすか?」

奥の鍛冶場からちっさい巨乳のドワーフが出て来た。


「あっ、どうも。実は――――」


????

「ノシル、誰が来たのかい?」

また奥の鍛冶場から女性の声がして―――女性が出てきた。

いや・・・・出てきたのは――――


「ヴィト師匠、この町に滞在してたんですか」


ヴィト

「おっ?なんだ、久し振りだな。手紙で送ってきた以来か?」


ヴィト師匠、俺と同じ錬金魔法を扱える工房の無い放浪人だ。

だがしかし技術面や性能なんかは師匠の方が上である。

それに師匠には錬金魔法以外にも色々と技術や他の魔法も扱える。


「―――と、そうだな。依頼したのは私自身だ」

「そうなんですか」


師匠によれば、最初に例の追想の樹木を何度も伐採しているドワーフの人が困っているんだがなかなか行けるタイミングが無かったらしい。


「あぁ、その人は色んな国から依頼されてるんですね」

「おうよ、因みにウチの新しい弟子がそいつの娘さんな!」


ドワーフのノシルが顔を真っ赤にして


「よ、宜しくお願いします。ノア兄さん」


あぁ、何か気が緩みそう


「あぁ、宜しくな。ノシル」

「んでだ、依頼した樹木なんだが・・・その中でも一段階違うやつがあってな」


早速師匠と一緒に例の場所に案内して貰った。

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