第12話「幻の草花ととある貴族②」
ダークエルフ
「―――私達を直してくれたのは貴方でしょうか?」
突然、石像だった4人のエルフが石化状態を解いて俺の元へ来た。
ハイエルフ
「有り難うございます。ずっと石像のままでこの花を守っていたので」
エルフ
「いつの間にか足元や体中が風化してヒビが入ってしまったんです」
最後の一人の小麦色のエルフ、タンエルフが俺に礼をする。
タンエルフ
「有り難うございます。このまま石化を解けば不自由な生活を送る所でした」
俺はエルフ達に花を取って良いか聞いてみた。
「えぇ、構いません。なんなら私達も貴方の居座る場所に住みたいです」
「分かった」
俺は根っこが生えた所まで【幻の草花】を数本程取り、鞄の中に入れる。
用は済んで、戻る事にした。
「あの・・・そのかばんって特別製ですか?」
「おう、このかばんに入れればどんな魔物や植物でも長持ちする事が出来るんだ」
取り敢えず屋敷に戻り
「おぉ、これが・・・」
「ドクター、治せれるか?」
奥さんの居る部屋に入り
ドクター
「勿論だとも」
ヘッジ伯爵に呼ばれた医者に俺が造った薬を渡す。
「さぁ、ゆっくり飲んで――――」
シェス=ストレイ夫人
「かはっ、ごほっ、」
ヘッジ伯爵の奥様でもあるシェスご夫人が飲んでいる途中で咽たが、四肢の石化は解かれた。
「なっ・・・治った・・・治りましたわッ!あなたっ」
「あぁ、本当に良かった・・・・」
ご夫妻は抱き合いながら涙を流す。
「さて、薬は解かれても暫く動いていないのでね、無理せずに数週間程体を休めさせておいてください。数週間経った後はリハビリを」
「あぁ、分かった・・・ノア君も・・・ありがとう」
俺はご夫婦に一礼し
「治って良かったです」
「えぇ、ありがとう」
ドクターが帰ろうとした時、何か気付いたのか歩みを止めてヘッジ伯爵の下に行く
「ヘッジ伯爵、あの奥様の石化なんですが・・・」
「何か分かったのか?」
初めて見た俺でも特殊な石化の発生原因は分からない。
でも、稀に出てくるような病気では無い筈――――
「ここに来る前に少し調べたんですがね、奥様がいつも親しんでいる方に何かをされたのではないかと。勿論ですが――――例えば魔法薬が混じっていたとか」
「ふむ・・・・シェスは何かわかるか?」
シェスご夫人は少し考えて、何か思い出したらしい。
「そう言えば・・・数日前に侯爵夫人が遊びに来ていらっしゃいました」
「侯爵夫人って言うと・・・デリム侯爵の?」
ヘッジ伯爵がそう聞くとシェス夫人が頷く。
デリム=グレンジャス侯爵、デリム侯爵は少々悪人顔だが中身はとてもいい人で自領の村人からはギャップもあって人気らしい。
俺も多少の顔合わせはしていて、元職場で顔は見知っている。
「少し席を外しましたか?」
「えぇ、紅茶を入れてから茶菓子を出すのを忘れていまして・・・・」
そのわずか数分の隙を見計らって紅茶に魔法薬を入れたのだろう。
ヘッジ伯爵とドクターが顔を合わせて
「よし、後は私と彼に任せてくれ」
「あまり無理しないで下さいね?あなた」
そしてその日から三日後、デリム侯爵が謎の袋を発見したらしく、国王陛下に頼んで騎士団の鑑定課に依頼したらしい。
すると、やはり例の特殊な石化の魔法薬に使われていた袋だったと言う結果に。
その日からはデリム侯爵の奥さんであるオーベス=グレンジャス夫人を危険薬物所持と殺人未遂により投獄された。
デリム=グレンジャス
「本当に申し訳ない」
「いえ、貴方の方からしっかりと対応してくれて助かりました」
デリム侯爵が謝罪にきちんと訪れた事でその場は収束したらしい。
ストレイ伯爵家はその謝罪を受け入れたと言う。
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