第一章【工房主のお仕事】
第11話「幻の草花ととある貴族①」
「さて、場所はここか」
一つ目の依頼とされるとある屋敷に着いた。
先ずはその屋敷の領主に会って話をする事が最優先だ。
メイドのリリィ
「お待ちしておりました」
「あっ、どうも」
玄関先で若い美人メイドさんが立って待っていた。
「主人は居間で待っておりますのでご案内いたします」
彼女にそう言われ、案内して貰った。
ヘッジ=ストレイ伯爵
「――――おっ、連れて来たか」
「えぇ、こちらへどうぞ」
居間へ案内された俺の目の前に座って仕事をしている男性は――――もう見知った顔だ。
「ヘッジ伯爵、お久しぶりです」
「あぁ、久し振り。ノア君」
ヘッジ=ストレイ伯爵、俺の前任の宮廷のお偉いさんの一人だ。
会った時の感想は取り敢えず置いて、早速―――――
「えーっと、例の病気に罹ったのが―――」
「あぁ、紛れもない。私の妻だよ」
ヘッジ伯爵がそう言って寝室に案内してくれた。
「原因不明の・・・・石化症状でな。同期の医者仲間からは本来の石化とはまた別の珍しい病気らしくてね。従来の魔法での治療は非常に困難らしい」
「だから例の草花に目を付けたんですね」
奥さんと思しきその女性を見る。
かろうじて手足が石化したままの状態だ。
「幸いして症状が遅い。なので、その幻の草花を採取してポーションにして彼女に飲ませて欲しいんだ」
なぜあのような状態になったのかは治してから聞くとして・・・・
「んじゃ、依頼通りに採取してきます。なので――――俺のギルドのギルマス経由で信頼の置ける医者を呼び寄せておいて下さい。その医者に診察させて貰えれば良いので」
「あぁ、分かった」
俺はその場で立って動く。
「えーっとこっからだと・・・南西だから・・・あっちの方か」
さっさと動き、目的地まで急ぐ。
「目的地に着いたは良いけど・・・・そう来るか」
俺の目の前にあった目的の草花――――を守護するエルフを模った石像が四隅に四台設置されてあった。
「・・・・こりゃ、敵認識されたら危ないな」
少し考えた俺は一つ、何かに目が行った。
「これ・・・ヒビの裂け目が・・・修繕するか」
鞄の中にある修繕液入りの瓶と筆を取り出す。
「さて、少し
俺はそう言ってひび割れの部分を丁寧に塗って石像に会う石材を近くから拾って解析してから綺麗に埋め込む。
「―――よし、もう三か所見てみるか」
折角用意したから石を先に集める。
その石を数十用意し、エルフの石像の数か所のひび割れを修繕を施す。
「さてと、終わった~」
すると、不思議な事が起きた。
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