第5話「国王の謝罪と母子の働き手」

「国王陛下、レイア家の処分なんですが・・・」

「うぅむ・・・・そうだな。シー=レイアご婦人は悪く無いのだが・・・気が重い事ばかりだな・・・」


ノアが来る前の間、その時間帯に玉座の間に居た国王は宰相であるドモンと話をしていた。

例の男と離婚したシー=グイズご夫人、改めてシー=レイアご婦人は何度も謝罪の面会をしに来る。


謝罪するのは悪くはないし、ご婦人自身が金銭になる物を全て国王へ返還した事で、住む場所も使用人達もおらず、余り誰の手にも届かないような場所―――


そう、貧民街スラムで貧しい生活を母子共に過ごしていたらしい。


「硬貨は未だ受け取らないんだったな?」

「えぇ、未だに。こういう時、ノア殿がいらしてくれたら・・・・」


宰相ドモンがそう言いかけると、騎士の一人が駆けつけて来た。――――そう、先程ノアに再会した騎士ディアハンだ。


「国王陛下!ノアが・・・・ノア殿がお戻りに!!!」

「何ッ?!今すぐに通せッ!」


そして件のレイアご婦人にも会いたいと言う事が伝わり、レイア親子は再び―――

今現在、城に集まった。


俺以外にアスカさんは退職届を出すらしく、その場を離れた。


「行商の言葉伝いで聞きました。申し訳無い」


俺がそう言うと、ご婦人は負けじと俺に頭を下げる。


シー=レイア

「いっ、いえ。こちらこそ、あの男が失礼な事をして申し訳ございません」


そう言って自分の娘と一緒に頭を下げる。


「私の方こそすまなかったな。あの男とはいえ、このような事態になってしまったのを見逃してしまった」


お互いに「申し訳無い」と謝罪しつつ、陛下からどうするかを聞かれたので―――


「取り敢えず、馬車で早々にかからない程度の距離にある村に自宅兼工房を営んで行く事に。そのついでなんですが・・・こちらの親子を俺のそこの従業員として働いて貰おうかと」

「ふむ、良き判断だ。二人はノア殿の裁量に感謝しなさい」


そして大体やる事を終えたので、後は商業ギルドに三人で顔を出す。


「やぁ、アスカさん。どうだった?」

「自分の契約解除と商業ギルドでの契約を丁度終えた所です。いつか収入が安定した時に契約変更の際にもう一度訪れて下さい」

「了解。そうしとくよ」


後から合流したアスカさんと一緒に四人で先程とは別の馬車に乗り、アスカさんが御者を務める事になった。


「で、村の人達からは不要な物だけを受け取る、貴族からは物を買って貰う。冒険者も同様。んでそれ以外には修繕だったり宣伝もしたりが一番良いな」


道中で開業した後の事を3人に話した。

フリーになったとはいえ、一人でやると流石に大変だ。

だからレイア親子を国王陛下との話し合いで交渉した訳だ。


「後はドワーフですね。彼等は称号である【創造者】と同等の腕前を持っていると言われていますので」

「そうだな・・・久しぶりに師匠に手紙を送るか」


俺はそう言って鞄の中から手紙と封筒と魔法の羽ペンを取り出し、書いてから


「んじゃアスカさん、お願いするよ」

「分かりました。では」


彼女はそう言って手紙に息を吹く。

すると――――その手紙は鳥の姿になり、遠くへ飛び立つ。


「これであの御方の下へ届くはずです」

「そう言えば・・・俺の師匠にアレの事を代わりに伝えた?」


彼女は頷く。


「えぇ、同じ要領で。貴方を探す前にやっておいたのでその手紙は既に読まれている筈です」

「そうか、良かった」


取り敢えず物は仕舞って目的地に着いた。


「さて、みんな離れててね。あぁ、あとアスカさんは領主と弟子を連れて来て下さい」


俺がそう伝えると、彼女は頷いてその場を去る。

残った親子がその場から二、三歩さがり


「よし―――――【創造クリエイト】」


俺はそう言って空中から俺が考えていた素材が次々と骨組みから肉付きをはじめ、そして内装を奇麗に仕上げる。


「よし、出来た」

出来上がった自宅兼仕事場を作り終えると、下がってみていたフィー=レイアさんが驚く。


「す、すごいですわっ!」


凄いを連呼し、満足して貰ったので早速中に入る。


「うん、風呂場もトイレも洗面台もしっかりできているな」


そう言って二人を先に風呂を勧める。

その間に俺は二人の為に洋服と下着を創る事にした。


「―――――よし、出来上がった」


二人に三着ずつ渡すと凄い喜んでいた。

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