第3話「ポーション制作」
「武器の制作まで一瞬に?!」
隅っこで彼等の武器作りを見ていた領主はそう言って驚く。
アスカは領主に助言をする。
「これは・・・彼の偏見と見解ですが・・・普通の錬金魔法を使う人の場合は素材を見ても何を思い浮かべれるか分からず、適当に作ったりしますよね?」
「た・・・確かに」
彼女の説明に感心する領主だがアスカは続けて
「因みに、錬金魔法を取得している人の中には稀代として素材を見てからどういうものを作るのかを瞬時に理解できる人が居ます」
「・・・まさか」
彼女は頷く。
「そう、稀代な錬金魔法の使い手は別の言い方として【創造者】と呼ばれています。なので無の状態――――素材も何もない状態で遭難しても【創造者】の称号を持っている人であれば少なくともたったの数年で遭難した場所から脱する事が出来ます」
「・・・って事は彼はもしかして」
アスカは「そうです」と言い、続けて
「彼は国に保護されるべき稀代の
「と言う事は・・・彼も素材を集めてそれで何を作るのかも、無の状態から創ることも出来ると言う事か?!」
ただ稀代の錬金魔法の使い手で【創造者】の称号を持っていたとしても長年修行する必要性がある。
彼もその一人であるように。
「――――って事で次はポーション作りしてみようか」
壁際で領主とアスカさんが話をしている間に俺は弟子のシリンに次のステップに入らせた。
そう、冒険者の必需品であるポーションだ。
「ポーションですか・・・とは言え、多数種類ありますよね?何から創るんですか?」
俺は少し考える。
そして
「そうだね、それじゃあ回復ポーションにしよっか。冒険者は命と隣り合わせだからね」
「常に必要なアイテムですもんね。わかりました、造ってみます」
彼女がそう言い、俺は早速専用の材料を用意した。
「器は今の君じゃ創るのに時間掛かるだろうから用意したアイテムで先にポーションの"原液"を作ってくれ。その間に俺は器を作っておくよ」
「分かりました!」
彼女はそう言ってポーションの原液を作り始めた。
その間に俺は、飲み易くて細長いビーカーの入れ物をその場で
本来であれば専用の砂を集める必要があるが・・・ガラスにしてから器を作るのに手間と時間が掛かってしまうのだ。
「す、すごい。器をあんな短時間で・・・!?」
「凄いでしょう?彼の実力は誰にも計り知れないのです」
二人は二人で楽しそうに会話をしているなぁ・・・
「原液出来ました!鑑定お願いします」
「オッケー、見させてね~」
彼女がそのまま制作用のポーションの原液を俺に見せた。
それを【鑑定】魔法で見てみる。
「・・・・うん、少し材料多すぎて濃度が上がっているけど・・・ここからは俺がやるよ。よーく見ててね」
俺はそう言って空中で原液を浮かせ、段々と上へ上へとあげる。
そしてそのまま掌同士をゆっくり近付け、そこから絞り用の布、先程作ったビーカー、そしてそのビーカーに入れる為の流しをセットする。
「んで、このままゆっくりと流し込んで――――」
「あっ、さっきの原液よりも色が少し薄くなってる!!」
そして最後の一滴が入り、布に残ったカスを別容器に置いておく。
「そして蓋をすれば――――はい、下級回復ポーションの完成」
実際に領主に専属の執事を呼ばせて貰い、鑑定をして貰う。
執事ラーディ・カウン
「間違いありません。道具屋で一般販売されているのと同じ下級ポーションです。旦那様」
執事のその回答に領主は驚き
「・・・なぁ、中級と上級と超級と秘級は作れるのかい?先程の要領で」
「勿論。ただ別の素材とを組み合わせなければ作れないんですが」
俺はそう言ってその日の一日は終わった。
そうそう、一つ言い忘れていたが俺の弟子になった彼女は領主に仕えている若人の錬金魔法の使い手だった。
そりゃすぐに領主が用意できる訳だ
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