第9話 援軍
リゾットの仕掛けた爆弾により、荷台が勢いよく爆発した。荷台は
やがて煙は薄くなり、火の手は上がらなかったものの、瓦礫の残骸が見え始める。
「は、はは、ふはははははは、ど、どうだ魔王ゲルディ!貴様の傘下であるハーピーは、この勇者リゾット様が討ち取った!ふはははははは!」
ゲルディは瓦礫をずっと見つめる、それはとても悪の顔ではなく、悲しい顔をしている様に見える。
「ああああ、リゾット様・・・」「ドラパール緊急S級クエスト"ハーピー生捕り"が・・・」「クックソ!生捕り報酬で子供の病気を治そうと思っていたのに!」
防衛軍の冒険者達も何やらどよめいていた。デュエルを捕らえて報酬を手に入れようとしていた事が各自の声でわかる。
そんな時、東側より地響きが聞こえる。
ドドドドドドドドドドドド!!
「魔王様〜〜!!」
石牛のスドムを先頭に魔王軍が近づいていた。
「て、敵襲、敵襲か!」「も、もうダメだ!」「これまでか・・・」「逃げる足もないし・・ここは潔く戦って散ろうぞ!」
陣形や作戦指揮が無い冒険者は覚悟を決めながらも武器を構え、待機する。
やがてスドム率いる魔王軍はゲルディと合流する。
「魔王様!ご無事で!」
「スドム貴様!何故皆を連れて来た!3人でと言っ・・・」
「すいません!すいません!すいません!!」
スドムは到着するや直ぐに怒られる。しかしスドムは直ぐ様怒られる事を察知していたのか直ぐに謝った。ゲルディは、ため息をしながら呟く。
「我が軍は手柄報酬目当てで血の気が多い奴が多い、それはつまり・・・赤字になるだろうが・・・特にお前の息子の・・・」
「ンモォーーーー!!ゲルディ様!この金牛のダルムが来たからにはもう安心です!そこの勇者なんぞ!」
ダルムは自慢の大斧を振りかぶり一気に振り下ろす!
「ウンヌゥウウウウーー、ダイフカリバー!!」
『まっ待て!ダルム!俺の言う事が聞けんのか!』
ゲルディは強い口調でダルムに対し言い放った、
「う・・申し訳ありません・・口がすぎました!」
人牛種は血の気が濃いが、恐怖は覚える物の様だ。リゾットはその一部始終を見ていた為、腰を抜かし動けない様子。
「リゾットよ、今回のゼネフルの件は特別に許してやろう。なんせワシは魔王、この後式典等で忙しいからのう、首を洗って待っておれ!」
腰を抜かし尻もちをついているリゾットは納得がいかない。
「ま・・待てよ、ゼネフルは、ゼネフルはどうするんだ、ハーピーだって俺は殺したんだぞ!俺を殺さないのか?」
「クックック、やはり貴様は勇者気取りの偽物様だな、真の勇者は全てを知る!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます