第8話 選択

「リ、リゾット様、これは一体どういう事ですか?」「そーだそーだ!説明しろ!」「リゾット様は本当に勇者なの?」


 シムキーナと一体何があったのだろうか、リゾットは更に追い込まれてしまう。

シムキーナはその場でうずくまり泣き始めた。


「クックック、リゾットとやらよ、休戦し内部事情を解決するか?それともこのゲルディ様に殺られてみるか?」


「クッ!」


 遂にリゾットも顔に出るようになった。眉間にシワを寄せ、歯を食いしばり、いかにも万事休すと言った表情をしている。


「な、なんなんだ!女!お前は一体誰なんだ!報酬?ご馳走様?お酒?ああ、確かにお前達了承の元もらったさ!

 でもな、その女を傷つける様な事なんて・・・」


「うわああああぁぁぁぁぁぁぁん!!」


 シムキーナは更に大きな声で泣き出した。

それはとても大きな声でゼネフルの地全体に木霊こだまする。


 「ちょっ!」


 リゾットは足がガクガクとし始める、相当テンパり始めた様だ。


「リゾットとやらよ、ではそろそろ覚悟を決めろ!」


ゲルディは大鎌デス・スィクルをリゾットに向けて構える。防衛軍をあっさりと崩壊する事に・・・


「ま、ま、待てよお前ら、これが何だか分かるか?」


 リゾットは鎧脇のふところより何かを取り出した。

 ゲルディと冒険者達はリゾットの取り出した物を見る。


「これはな、爆弾装置だ。いざという時にとっていたんだ!このボタンを押すとなぁ、あそこにある馬車の荷台が爆発する仕組みになっているんだ!」


 リゾットが指差す場所には確かに冒険者達の馬車と荷台がある。


「あの荷台には何があると思う?このゼネフルの地を支配していたハーピーを捕らえているんだ!

 ゲルディ!ハーピーを殺してもいいのか?お前達も、ハーピーをドラパール国に持ち帰らなくていいのか?高ーく売れるぞ〜!

 さあ、このボタンを押されたく無かったら、リゾット様の言うことを聞け!」


 リゾットは息が上がっている、ゼェゼェ言いながら汚い考えを提案した。


「クックック、押すが良いリゾットよ。」


「な・・・なに!」


 ゲルディは迷いなく応えた。

しかし冒険者達は・・・


「や、やめてくれリゾット様!」「あたし達の財産の素よ!?」「勇者ってのは鬼だ!悪魔だ!」


意見は分かれた様だが・・・


「お遊びは終わりだリゾット、押さぬならワシがお主の首を・・・」


ゲルディは大鎌を振りかぶる。


「うわぁぁあああああああああ!」


ポチ


チュドーーーーーーーーーン!!

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