第3話 士気
何やら足取りが遅く、トボトボと2本足で歩く牛が玉座の間へと入った。
(困ったのぅ・・・コイツらにどう説明しようかのぅ・・・)
牛は困っている様子。
リハーサルに参加していた役50人のVIP魔物達がスドムに敬礼する。
スドムはまだ考えていた。今後どうしようかと。しかし早くゲルディと合流しなければいけない。スドムは無意識に式典ステージへと上がっていた。
「・・・聞いてくれ、諸君・・・リハーサルは中止だ。」
ザワザワザワザワザワザワザワザワ
(え?どう言う事だ?え?え?え?)
周りの魔物達がざわつき始めた。
(いかん!これじゃ皆が混乱してしまう)
「あ!いや!今のは冗談で、リハーサルは・・・中止だ。」
ザワザワザワザワザワザワザワザワ
(は?大臣は何わけわからない事を?)
「ええ〜い!静まれい!!デュエル様が人間に捕らえられた!!リハーサルは中止!魔王ゲルディ様はデュエル様を取り戻す為、コウモリモンキーとゼネフルの地へ移動中だ!良いか!この事はこのスドムとコウモリモンキー、そしてゲルディ様の3人だけの秘密事項とする!わかったな!諸君!」
シーーーーーーーーーーーーーーーーン
(し!しまった!これじゃ皆に知らせてしまった事になってしまった!!)
「何だって!」「おいおい!マジかよ!」「それは大変だ!」「クッ!また悪党人間共か!」「これは大至急ゼネフルだな!」「ところで秘密事項って何だ?」
各々がざわつき始めたが、スドムは結局言ってはいけない事をサラッと言ってしまったのだ。
そこに魔界精鋭の3獣士の1人であり、スドムの一人息子である金牛のダルムが口を開く。
「おい、親父!早く行こうぜ!?皆んなそう思ってるぞ!?なんせ手柄はほしいからな!」
「むぅ、しかし・・・」
「ハァアァァァ・・・ったく親父は判断にいつも迷う。式典予定時間迄はあと4時間もあるんだ!さっさとデュエル様を人間共から解放して式典に間に合わせようぜ?」
「そうですよ大臣」「行きましょう大臣」「よーし腕がなるぜ!」「皆殺しじゃあ!」
ワイのワイの
スドムはゲルディが言った台詞を思い出す
『デュエルが行方不明ってなると逆に指揮が落ちるだろうが!』
(ゲルディ様、そうでも無さそうですよ。逆にデュエル様を助けようと指揮が上がりましてございます!)
「よし!諸君!!わかっているな!将来の姉さん、つまりデュエル様をどんな手を使ってでも構わん!人間共から奪い返すのだ!良いな!」
うおおおおおおおおおおおおおお!!
(お任せください!)
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