第2話 少数

 魔王城全体が揺れている。城内の魔物達は直ぐに悟った。"これは地震ではない、あのお方がご立腹である"と。

 そして一番近くにいるスドムとコウモリモンキーはどうすれば良いかを考える。


「ハワワワワ、スドム様、ど〜しよ、ど〜しよ!」


「やかましい!このスドムも今考え中じゃ!お前も知恵を絞れ!」



うぬぬぬぬぬぬぬぉおおおおお



遂に壁に亀裂が入り始めた。


「ひぃいいいい!スドム様!」


「むぅ・・・ゲルディ様!今は一刻を争います!大至急ゼネフルの地へ魔王軍全兵で攻め込みましょう!」


 石牛のスドムは自慢の石斧を背中から取り出して右手で握りしめる。


「ボ、ボクもボクも行く!行く!」

コウモリモンキーもパタパタとスドムの周りを飛びながら応じた。

 やがて地震の揺れは無くなり、ゲルディが口を開く。


「大至急、ゼネフルに侵略する!但し、ワシら3人で行く!」


「さ・・3人?でございますか!?そんな無茶な!」


スドムの発言に対し、ゲルディはスドムの首を絞める。


「グゲゲゲゲ・・・」


「大臣、何を言っているんだ!デュエルがどうなっているか知らない今、今日みたいな大事な日、全軍にゼネフルが人間達によって支配され、デュエルが行方不明ってなると逆に指揮が落ちるだろうが!」


「わ、わがりまじだ・・グゲゲゲ!ゲホッゲホッ」


 (巨体の石牛スドム様を人型魔族系のゲルディ様があんなに軽々しく片手で首を締め上げるなんて・・・)

ビクビクして見ていたコウモリモンキーはそう感じながらも、自分が早くゼネフルに行っていれば、こんな事にはならなかったかも知れない!と悔やんだ。


「スドム、式典リハーサルは中止と皆に伝えた後にゼネフルに急げ!ワシは先に行く。」


 ゲルディはスドムにそう伝え、そのまま窓から飛び降りた。


 目覚めよ!ダーク・ドラゴン!


 飛びながらダークドラゴンを召喚し、ダークドラゴンの背中に乗ったゲルディはゼネフルの地へと急ぐ。

その後を追ってコウモリモンキーも飛び立った。


「むぅ・・・このスドム、困ったのう・・・皆になんて言い訳をしようかのぅ・・・」

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