1万文字小説 正義が勝つとは限らない〜ゼネフル攻防戦〜

織田 福之助

第1話 怒り

 ついに魔界全軍が待ち侘びた日がやって来た。それもその筈、魔王軍誰もが慕い、誰もが敬うゲルディが大魔王になるのだから。

 今、魔王城では大魔王誕生式典の準備に追われている。玉座の間には1000人の魔物達が準備していた。


「みんな〜急げ、急げ急げ急げ急げ急げ急・・・」


バキ!!


「うるさいぞコウモリモンキー!静かに急いで作業に取りかかれ!」


 コウモリモンキーは石牛のスドムによりはたき落とされる。


「あはは、あはは、ごめんなさいスドム大臣、あはは」


 スドムは式典様マイクのチェックをしながらも、嬉しそうな様子。それ程にまでゲルディは慕われているのが判る。

 ふと、スドムは気が付いた。


「おい!コウモリモンキー、デュエル様をお迎えにゼネフルに行く当番ではなかったのか?」


「あ!!しまった!!」


「しまったじゃねぇバカヤロウ!!式典が始まる迄に間に合わせろ!!」


「はい〜〜」パタタタタタタ


魔王城5階の窓からコウモリモンキーは飛んで行く。





「〜という方針を軸に大魔王としてやっていこうと思う。だからデュエル、ワシにこれからは着いて来てくれるか?・・・じゃないな・・・デュエル、ワシの為に毎朝ポイズンスープを作ってくれるか?・・・う〜ん・・・ちがうな・・・」


 ゲルディは式典の挨拶練習を自室でしている模様。ついでにプロポーズの言葉も考えている様だ。


コンコンコン


誰か来た様だ。


「スドムです。失礼しますゲルディ様」


 スドムはゲルディの部屋に一礼して入る。


「どうした?大臣」


「どうしたじゃございません、一体何をブツブツ言ってるのですか!?」


「いや〜・・・あの、その・・・式典挨拶の練習をな・・」


 スドムは軽くため息を吐き少し呆れた顔をしたが、直ぐに気持ちを切り替えた。


「大魔王様!あと5分で式典リハーサルに入ります。玉座の間に行きましょう。」


 ゲルディとスドムは部屋を出て玉座の間に歩き出す。


「大臣よ、デュエルは来ているか?」


「コウモリモンキーのお迎え時間にイレギュラー発生しまして・・・」


「また忘れてたのか・・・あいつの教育はお前だろ?大臣。」


 今度はゲルディが軽くため息を吐いた。

ペコペコと大臣が謝っている時、外から何か飛んで来た。


「た〜いへんだたいへんだ!た〜いへんだたいへん・・・」


ズゴゴゴゴゴゴ


 ゲルディはコウモリモンキーに毒ブレスを吐いた


「ウグググググ。」


「コウモリモンキー、お前ゼネフルにお迎えに行ったんじゃないのか!?」


青筋を太くさせ怒るスドムの声がコウモリモンキーに聞こえた様だ。


「ウグ・・ハッ!ゲルディ様!ゼネフルに人間、ゼネフルに人間、ゼネフルに人間!」


 コウモリモンキーの言った発言に対し、ゲルディの目つきは鋭くなる。それは大臣スドムでさえ恐怖心を抱く程であった。


「人間だぁ?デュエルはどうした?」


「あ・・・あの・・・あの、連れ去られてしまいまし・・・」



ぬぉおおおおおおおおおおおおお!!



 ゲルディは叫んだ!その叫びは魔王城を震え上がらせ地震の様だった。スドムもコウモリモンキーもその場で死を覚悟した。

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