1万文字小説 正義が勝つとは限らない〜ゼネフル攻防戦〜
織田 福之助
第1話 怒り
ついに魔界全軍が待ち侘びた日がやって来た。それもその筈、魔王軍誰もが慕い、誰もが敬うゲルディが大魔王になるのだから。
今、魔王城では大魔王誕生式典の準備に追われている。玉座の間には1000人の魔物達が準備していた。
「みんな〜急げ、急げ急げ急げ急げ急げ急・・・」
バキ!!
「うるさいぞコウモリモンキー!静かに急いで作業に取りかかれ!」
コウモリモンキーは石牛のスドムによりはたき落とされる。
「あはは、あはは、ごめんなさいスドム大臣、あはは」
スドムは式典様マイクのチェックをしながらも、嬉しそうな様子。それ程にまでゲルディは慕われているのが判る。
ふと、スドムは気が付いた。
「おい!コウモリモンキー、デュエル様をお迎えにゼネフルに行く当番ではなかったのか?」
「あ!!しまった!!」
「しまったじゃねぇバカヤロウ!!式典が始まる迄に間に合わせろ!!」
「はい〜〜」パタタタタタタ
魔王城5階の窓からコウモリモンキーは飛んで行く。
★
「〜という方針を軸に大魔王としてやっていこうと思う。だからデュエル、ワシにこれからは着いて来てくれるか?・・・じゃないな・・・デュエル、ワシの為に毎朝ポイズンスープを作ってくれるか?・・・う〜ん・・・ちがうな・・・」
ゲルディは式典の挨拶練習を自室でしている模様。ついでにプロポーズの言葉も考えている様だ。
コンコンコン
誰か来た様だ。
「スドムです。失礼しますゲルディ様」
スドムはゲルディの部屋に一礼して入る。
「どうした?大臣」
「どうしたじゃございません、一体何をブツブツ言ってるのですか!?」
「いや〜・・・あの、その・・・式典挨拶の練習をな・・」
スドムは軽くため息を吐き少し呆れた顔をしたが、直ぐに気持ちを切り替えた。
「大魔王様!あと5分で式典リハーサルに入ります。玉座の間に行きましょう。」
ゲルディとスドムは部屋を出て玉座の間に歩き出す。
「大臣よ、デュエルは来ているか?」
「コウモリモンキーのお迎え時間にイレギュラー発生しまして・・・」
「また忘れてたのか・・・あいつの教育はお前だろ?大臣。」
今度はゲルディが軽くため息を吐いた。
ペコペコと大臣が謝っている時、外から何か飛んで来た。
「た〜いへんだたいへんだ!た〜いへんだたいへん・・・」
ズゴゴゴゴゴゴ
ゲルディはコウモリモンキーに毒ブレスを吐いた
「ウグググググ。」
「コウモリモンキー、お前ゼネフルにお迎えに行ったんじゃないのか!?」
青筋を太くさせ怒るスドムの声がコウモリモンキーに聞こえた様だ。
「ウグ・・ハッ!ゲルディ様!ゼネフルに人間、ゼネフルに人間、ゼネフルに人間!」
コウモリモンキーの言った発言に対し、ゲルディの目つきは鋭くなる。それは大臣スドムでさえ恐怖心を抱く程であった。
「人間だぁ?デュエルはどうした?」
「あ・・・あの・・・あの、連れ去られてしまいまし・・・」
ぬぉおおおおおおおおおおおおお!!
ゲルディは叫んだ!その叫びは魔王城を震え上がらせ地震の様だった。スドムもコウモリモンキーもその場で死を覚悟した。
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