第27話 最終日の夜
「本当に6日間お疲れ様でした!」
「「カンパーイ」」
桜島での収録を終え、ホテルへ到着。皆へとへとだったのかチェックインを済ませると各自の部屋に即入っていった。
だが夕食の時間になると、なぜか元気になっていた。 やはり6日間も一緒に過ごしたメンバーとの〆の食事、そしてお酒を飲むのが何よりも楽しい時間なのかもしれない。
かくいう私も初日こそお酒は控えたが、飲みの席だからこそ伝えられる言葉、聞くことができる言葉があるはずである。それならば、いい機会だからと自分なりに泥酔しないくらいまでと飲酒ルールをつくり、輪の中に入り込んでいった。その結果が、今回のロケの成果にもなった。
収録の合間はスタッフさんと会話する機会が増えたり、移動中は全然関係ないことを話して盛り上がったりと、このメンバーでの絆みたいなものができたと私は思っている。
もしスタッフさんはそう思ってないなら泣ける。そしてやけ酒で私が泥酔する。
「四月一日さん、6日間お疲れ様でしたー」
「中尾さんこそお疲れ様でした。初日から本当に色々お手数おかけしました…」
「いやいや全然でしたよ?酷いタレントと比べたら多少のミスや食レポが下手なくらい気になりませんって」
「私の食レポをディスるのはやめてください、あと酷かったのは最初だけですよね?!」
最初はお互いにぺこぺこしてたのにこんな軽口を言い合えるような関係に。
「いやー四月一日さん、実は今日で収録終わらなかったら明日の収録の費用は全部おたくの事務所持ちだったみたいですけど、知ってました?」
「え?!なんですかその話」
中尾さんとの会話が終わると、カメラマンの堀田さんと照明の中嶋さんが話しかけてきたと思ったら、とんでもない情報が入ってきた。
「自分らも詳しく知らないですけど、橋本さんが収録初日に言ってたんすよ」
「この話は怖いのでやめときませんか?今日で収録は終わったんですから…飲みましょう、ハイボールでいいですよね?」
2人にお酒を渡し、退散(泥酔)させる。 ふぅ…怖い話を耳に入れたくなかったのだ。犠牲もやむを得ないのである。
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