第11話 収録開始

「さぁはじまりました!九州の魅力再発見ツアースペシャル〜!今回は九州の上から下の方まで巡って魅力を再発見しようということで、九州初上陸の私、四月一日あかりがお送りさせていただきます!」


最初はカンペ通り読み進める。その後は何かエピソードトークを、とのことだ。


「実は今日博多ラーメンを食べてきたんですよ。麺の硬さは?って聞かれたんですけど、折角だからと思ってバリカタにしたら硬くて…。結局5分くらいスープ飲んで時間経つの待ってたらスープがなくなっちゃって、スープのお代わりお願いしたんですよ〜」


どうだろうかと思い、カンペに目をやると「いい感じ」と書かれていたので一安心する。


「とりあえずこの公園?でいいんですかね。散策していきたいんですけど、なんというかこんな街中にあるのに、落ち着いた雰囲気があって素敵ですよね。」



「こんにちは。よくこちらには来られてるんですか?」


流石に私1人で画がもつとは思えないので近くにいたおじさんに声をかける。


「そうばい。近くのマンションに住んどるけんね。家で怠けとっと嫁から追い出されたったい。そっからもう10年くらい毎日来とるとよ」


「えーそうなんですか。毎日来てると景色の変化で季節の実感ができそうでいいですね」


「そうとよ。特にあのベンチはな、今とかは若いカップルが2人で座っとったりすっけど、冬は寒いけん誰も座らんとよ」


「ということはここで育まれる恋をおじさんは毎日見守ってきてるんですね?」


「まぁちと無粋かもしれんっちゃけどね」


「お話ありがとうございます。時間取ってすみません。また機会があれば宜しくお願いします」





ふぅ…何とか会話を成功したぞ。何というかリアル福岡弁の圧というか…私の下手くそな方言使う隙間がなかったな。

まぁ焦らずやっていこう。




「ということで街の方までやってきたんですが、凄い服屋が並んでますね。個人的にはめちゃくちゃ興味あるんですけど…試着OKですか?…大丈夫とのことなので買い物させていただきます」


公園の後は、適当な場所で買い物。

1週間もあるので、服が持たないので購入した服を後日のロケで使用とのことだった。

今回は何となくこのお店が目についたので、ここにしよう。


「あっ…これ可愛いですね」


このシフォンスカート可愛い。これとこのセーター合わせたいなぁ…。

となるとシャツはこっちかこっちで…。


「スタッフさん的にはどっちがいいと思いますか?」


「こっちの方が四月一日さんに合いそうですね」


「じゃあこちらにします!」


素人コーディネートで大丈夫ですかとスタッフさんが焦っているみたいだけどモーマンタイです。私もこっちかなと思っていたので。

あと、番組の中でスタッフさんの笑い声とか、意見とか入ってくるとより楽しい番組になると思っているので定期的に話を振っていきたい。



「どうです?」


「めっちゃ可愛いです!」


なぜか久保さんがぐいっと近づいてきて、見事にフレームイン。その様子にカメラマンさんの笑い声も入る。

さらにズボンとのセットや、可愛いブラウスやらも購入。久保さんが二日目のロケは是非これでとめちゃくちゃ推してくるので、明日の衣装はこれになりそうです。


あと久保さんは橋本プロデューサーにフレームインし過ぎた件で怒られていた。

…これは私のせいじゃないはず。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る