#5 召喚よりファームです
ハンバーガーを生み出すのだと意気込んではみたが、問題はどうやって生み出すかだな。
「リストに載っていないモンスターを自作出来たりする?」
タマは何か知ってたりして。
「ダンジョンコアで確認出来るモンスターリストにはこの世界で召喚可能なモンスターが全てリストアップされております、それとモンスターの入手方法はダンジョンコアの能力で召喚することしかございませんので、自作は不可能かと思われます」
なわけないか。
普通は自作不可能だと。
だが俺には前世と前々世から引き継いだ力がある。
まあ俺は自分のパワーでゴリ押す脳筋タイプだったから召喚術とか錬金術とかは使えないんだけどな。
どうするか…。
「あのさ、魔王の飯ってどうするんだ?」
まさか外で自給自足だとか、召喚モンスターを食えとか言わないだろうな。
「魔王やダンジョンのモンスターは基本食事が必要ではない存在ですが、ダンジョンコアのメインメニューからアイテムを選択しショップを選択して頂くとDPで購入可能な素材やアイテムのリストが表示されますので、お求めでしたらリストの中から農作物の種か家畜を選んでダンジョン内の農場や牧場で育ててみてはいかがでしょうか」
出来上がった料理は無いんかい。
ああそうか、魔王とダンジョンのモンスターは食事しないから要らないのか。
そうなると結構な遠回りになるな。
「ダンジョンに農場も牧場も無いけど?」
「リフォームで設置できます、ダンジョンコアのメインメニューからダンジョンを選択して頂き、まずは増築でダンジョンに農場や牧場を設置できるだけの空間を確保しましょう、次にリフォームでお好きな農場もしくは牧場を選択して配置するだけです」
なるほど、育てることはできますよと。
そうなるとハンバーガーを作る為に必要な農作物や家畜が購入可能かどうか気になるな。
「じゃあちょっと見てみる」
メインメニューからアイテムを選択する。
─────────────
《入手アイテム》
《ショップ》
: DP 735.000,000 :
================
《ホーム》
─────────────
続いてショップを選択するとこんな感じ。
─────────────
アイテムリスト
《家具》
《本》
《アパレル》
《雑貨》
《素材》
: DP 735.000,000 :
================
《ホーム》《戻る》
─────────────
素材を選択して欲しい物を確認する。
あー、やっぱり料理は無いか。
じゃあ、ええっとぉ…これと、これを買って…。
チャリーンッ
購入時に古いレジみたいな効果音が鳴る。
よし、次は農場と牧場の確保だ。
メインメニューからダンジョンを選択する。
─────────────
~ダンジョンステータス~
ダンジョン名【古代の遺跡】
魔王名【ハルト】
クラン【─】
ダンジョンランク【G】
ダンジョン築年数【0】
ダンジョンパワー【0】
モンスター総数【0】
侵入者【0】
~ダンジョンバトルスコア~
ダンジョンバトル回数【0】
勝利【0】
《アイテム・罠配置》
《フロア増築・削除》
《フロア移動》
《フロアリフォーム》
《モンスター配置》
《ダンジョンバトル》
: DP 734.998,500 :
================
《ホーム》《戻る》
─────────────
ふむふむ、ダンジョン画面はダンジョンの情報が載ってるんだな。
それじゃまずはフロア増築・削除でダンジョンを増築っと。
おや、入り口のある1階は部屋数を増やせないのか。
じゃあ地下に増やそう、地上に増築すると目立つから的になってしまうだろうしな。
ダンジョンコアの画面を操作してダンジョンコアがある部屋の地下に広いフロアを3つ作成する。
ゴゴゴゴゴッ
下から聞こえて来た音が鳴りやむと、ダンジョンコアのある部屋に地下へ降りる階段が出来ていた。
増築完了するの早いな。
このままでは俺が壁をぶち抜いて出来た入り口にダンジョンコアが近いから地下2階の最下層に移動させよう。
フロア移動を選び、ダンジョンコアのフロアと新設した地下フロアを入れ替える。
ゴゴゴゴゴッ
一瞬、周りがぐにゃっとしたかと思うと、ダンジョンコアの部屋に上へ上る階段が出来てぶち抜いた入り口と下へ降りる階段が消えた。
フロア移動が完了したみたいだ。
それじゃフロアリフォームで農場と牧場を作るか。
地下1階の最初の部屋に肥えた土壌の農場を作成し、その奥の部屋には緑の牧草が生い茂る牧場を作成した。
一度現在の状況を整理しよう。
1階は入り口のある空部屋のみ。
地下1階の第1部屋は農場、第2部屋は牧場と下への階段がある。
地下2階が最下層でダンジョンコアの部屋がある。
とまぁ、ダンジョンはこんな感じになった。
次はアイテム・罠配置を選択して購入した農作物と家畜を農場と牧場に配置だ。
まず農作物だな。
レタス、トマト、玉ねぎ、きゅうり、米、からし菜、小麦、ニンニクを配置する。
香辛料や調味料はある程度アイテムで売られているから農作物として育てる必要は無い。
家畜は3種。
コッコ、モーモー、ブーブー、を牧場に放牧する。
大体は地球の家畜と相違無いが大きさだったり名前や姿が少し変わってたりする。
「放置してたら勝手に育つのか?」
タマが呆れた様な顔をこちらに向ける。
「リフォーム画面でファームという項目を選択すると早く育ちますよ…ですが、あの、ハルト様はモンスターを召喚しないおつもりなのですか?」
なるほどファームは便利な機能だな。
「俺はハンバーガーを配下に加えるつもりなのだよ」
「…その、私には農業をしているようにしか見えないのですが、ハルト様の仰るはんばーがーとは一体どのようなモンスターなのでしょうか」
おいおい、タマはハンバーガーを知らんとは。
勉強が足らんなぁ。
「食べ物だね」
「え゛っ?」
「世界一美味しい食べ物だよ」
「食べ物って…それではやはりモンスターを召喚しないおつもりじゃないですかっ」
「違う違う、これから俺が新たにハンバーガーのモンスターを自作するんだよ」
タマは小さな口をポカンと開けてオレを凝視しだした。
失礼な、俺は断じて痛い子じゃないぞ。
「もうお忘れなのですかっ?モンスターリストに載ってる種族しか召喚出来ませんし、召喚以外の方法でモンスターを生み出すことは出来ませんっ!どうやって自作なさるおつもりなんですかっ」
プンスカ怒り出すタマ。
まあそう怒るな。
俺だって全くの無謀というわけではないのだぞ。
「自作すると言っておいてなんだがまだ自作する方法は分かって無い、俺は召喚魔法や錬金術を使えんからな」
「じゃあダメじゃないですかっ」
「落ち着けタマ、今方法が無いだけだ、ダンジョンコアの能力を俺なりに解析すればモンスターの創り方が分かるかもしれない」
あれ、タマがショックで固まったぞ。
出来るとおもうんだけどなぁ、俺そんなに変なこと言ってるっけ。
「ハルト様、実はそんな悠長なことを言ってられないご状況なのですっ」
「何で?」
「誕生したばかりの魔王には3か月のダンジョン準備期間が与えられ通常は3か月後にダンジョンの入り口が出来るのですが、ハルト様は壁を破壊して強制的に入り口を開通させてしまったので現在は誰でも攻めて来られますよっ、それに3か月を過ぎるとフリーになり魔王招集を迎えた後に新人同士のダンジョンバトルが発生します、ダンジョンバトルは回避出来ませんのでのんびりしていると死んでしまいますよっ」
それは面倒だな。
こっちはハンバーガーを生み出すことに必死だというのに。
「ダンジョンバトルなんて俺1人で問題無いだろ」
「え゛っ!?」
もし俺1人でなんとか出来てもハンバーガーのモンスターは絶対生産してやるんだぜ。
タマの脅しにも負けず、決意を新たにしてダンジョンコアのリフォーム画面を操作していると、画面右下に侵入者の文字を見つけた。
「噂をすればというやつだな」
やれやれ、俺は早くファームしたいのにな。
まるで自宅に来たN〇Kの集金を追っ払いに行くかのごとく軽い気持ちで地上1階へと向かうのだった。
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