第151話 カシオズ公園にて

「着いた。……ここが、恐らく『カシオズ中央公園』だ、けど……」


 ソール達は程無くして、目的地にたどり着いた。しかし、周りを見回しても、ヴァーノやウォルの姿は確認できなかった。


「取り敢えず、噴水のところまで行ってみましょ」


 ルナが走って、噴水の方まで向かう。それを追うようにして、ソールとコハルも続いて行く。


「……と、ここまで来たけれど、どうしよっか?」


「……ちょっと待って」


 と、ソールは噴水までやってくると、その場で辺りを見渡した。じっと目を凝らしながら、遠くの方を見つめる。


「……あっ」


「どうしたの?」


「向こうの木陰に誰か居る。それも、まるで僕らを見ているような……」


 ソールは示す方向を指差しながら、ルナ達に伝えた。


「じゃあ、そっちに行ってみましょ」


 三人は、五〇メートル程離れた木の方に向かって走り出した。


 すると、遠くから見えなかったものが次第に見えて来る。


「あっ、ソールあれって!」


「うん、間違いないよ。ウォルさんだ」


 木陰に佇む人影の正体は、かつてソール達と旅を共にした一人、ウォルだった。


「ウォルさん!」


「ソール、ルナ、それにコハルちゃん。会いたかった」


「それはこっちの台詞よ。何処に行ってたの?」


「ちょっと『教会』の監視下に置かれていてね。その関係で、今は宿舎の一つに居るわ。ヴァーノも一緒よ」


「そうだったんですね」


「ここで待っていたら、三人が来るかもしれないと思って」


「ずっと待ってたんですか?」


 ソールが訊くと、ウォルはコクリと頷いた。


(ヴァーノさんはヴァーノさんだと思ってたけど、ウォルさんもウォルさんだなぁ……)


 と、ソールは胸の中で思いながらも、


「ともかく、会えて良かった。ヴァーノさんとも会えますか?」


「もちろん。ヴァーノは宿舎に居るから、一緒に行きましょう」


「私達も行って大丈夫なの?もし他の魔導士達に見つかったら……」


 そう言われてウォルは少し考えたが、


「それは大丈夫だと思う。もう既に、魔導士による宿舎の中の確認は終わってるはずだから。もう一度確認に来るとは考えにくい」


「そう。なら安心ね。それじゃ、行きましょうか」


 ルナのその言葉を皮切りに、ウォルを先頭にして一行はヴァーノの元へと向かうのであった。

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