第133話 雷撃戦4
「……っ!」
ソールは咄嗟に、右手を地面へと向けた。すると即座に地面へと魔導陣が描かれ、そこから生み出された土の壁によって、雷撃は防がれたのだった。
「……」
一進一退の攻防を繰り広げるソールとイオナを間近で見ていたヴァーノは、言葉を失っていた。
(普段は頼りなさげなソールが、あんなにも激しい動きで攻撃を繰り出している。それに)
ヴァーノは、ある事が引っ掛かっていた。
(先程からソールが繰り出している陣……生み出される魔導の威力が、明らかに引き上げられている。あれは本当に『魔導陣』なのか?どちらかと言うと……)
そこまで考えた時だった。
「ぐっ!?」
と、ソールが雷撃に当たり、苦しげな声を上げる。
「今はそれよりも、加勢しなくては」
ヴァーノは足を引き摺りながら、前へ前へと進んで行く。
「はあああああああああああああ」
「うおおおおおおおおおおおおお」
ソールとイオナは、互いの全力をぶつけ合っていた。
ソールは右拳を握り締め、勢いよく前に突き出す。するとその拳から魔導陣(?)が生み出され、そこから突風が巻き起こる。
その風に煽られながらも、イオナはソールの周りに複数の魔導陣を出現させ、雷撃を放つ。
「おおおおおおおおおおおおおお」
それを、すんでのところでソールは躱す。そんな攻防が繰り広げられていた。
「そろそろ音を上げたらどうだ?そこに横たわってるウォルみたいになぁ!」
「……っ!」
イオナの吐いたその言葉に、ソールは激昂した。
ソールは自身の前方に向けて勢いよく手を翳す。すると、イオナの足元に二つの陣が現れ、そこから、二本の土で出来た鎖が飛び出す。そして、それらはイオナの腕に巻き付いた。
「なっ」
イオナは抵抗するが、鎖は絡みついて離れない。
「ウォルさんを嗤った罰だ。……今だ、ヴァーノさん!!」
その声で気付き、イオナは辺りを見回す。すると、まだ遠くない所でヴァーノがイオナに向かって腕を伸ばそうとしているのが見えた。
「ヴァーノ、止めろ、止せええええええええええええええ!」
「はああああああああああああああああああああ」
ヴァーノは自分の持てる全ての力を込めて、魔導を解き放った。イオナの足元に現れた、ヴァーノの生み出した魔導陣からは、炎が大きな渦となり、舞い上がった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ヴァあああああああああああああノおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そう叫んだ後、イオナは膝から崩れ倒れたのだった。
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