第121話 ルーン談議
その晩、ソール達は宿屋の一室に集まっていた。
「実は、折り入って話し合いたい事があって」
ソールが意を決して話を始める。
「ほう。何だ、また厄介な事じゃないだろうな」
ヴァーノがソールの表情を窺いながら尋ねた。
「実は……」
そうしてソールは、事の経緯をヴァーノ達に伝えた。
「なるほど、『ルーン』を持った少女、か」
「はい。……それで、ヴァーノさん、ウォルさん……僕は」
「今回も首を突っ込んで解決したい、とでも言いたいんだろ?」
自分の意思を簡潔にまとめられ、ソールはコクリと頷いた。
「……それに関して、オレ達からも一つ話がある」
「……?何ですか?」
「実は……」
「この町に、『ルーン』を流している奴が居るみたいなの」
ウォルがヴァーノの横から割って入った。
「どういう事ですか?」
「……今日、『教会』の魔導士の知り合いにあってな。それで話を聞くと、この町で『ルーン』の売買が行われている可能性があるという情報があったそうだ。そしてその『ルーン』は、何も知らない民間人や力を欲する権力者に流れているそうだ。その現状を聞きつけた教会が、今回その魔導士に調査に来させたという訳だ」
「そんな……」
「オマエ達も知っている通り、『ルーン』は中々危険の伴う魔導具だ。特に魔導もろくに知らない素人が使って、魔導の暴発なんてことも起こり得る。だからこそ、『教会』は魔導士を派遣したのだろうが……」
「何か腑に落ちない点でも?」
ソールがヴァーノの浮かない顔に気付いて尋ねた。
「あぁ。調査を実施するにしては、数が少なすぎると思ってな。顔なじみの魔導士に加え、他の魔導士が三人……これはどう見ても少なすぎる。今回の『教会』側の行動……何かまた裏があるのではないか、とオレ達は踏んでいる」
ヴァーノは煙草に火をともした。
「まぁ、そうは言ってもオレ達もこの町に来て時間は浅い。……だからこそ、まだ情報収集が必要だな」
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