第120話 コハルの行方
「ダメ、こっちにも居ない」
「くそっ、僕のせいだ。僕が寄り道なんかしなければ……」
ソールは自身の行いを反省し、拳を強く握り締めていた。
「手分けして探そう。僕はこっちを探すから、ルナは向こうをお願い。……そうだな、あそこの時計台で集まろう」
「分かったわ、ソール」
二人は二次被害が出ないように待ち合わせの場所を決め、再び集まろうと約束をして分かれることにした。
そうしてソールは裏路地から離れ、表通りの捜索を始めた。
「一体、何処に居るんだコハルちゃん……」
ソールはコハルを探している内に、噴水のある広場までたどり着いた。その広場は噴水を中心に四方に広がっており、簡易的なブランコなどの遊具が設置されていた。
「あっ」
そのブランコに、コハルが座って遊んでいるのをソールは目の当たりにし、彼はホッと胸をなでおろした。
「良かった。探してたんだよ、コハルちゃん」
「あ、ソール。ごめんなさい」
「謝るのはこっちの方だよ。一人にさせちゃって、ごめんね」
コハルは、ソールの胸元へと飛び込んでいった。余程、寂しい思いをしたらしかった。
「此処にね、お姉さんが連れて来てくれたの」
「お姉さん?」
「そう、白いローブのお姉さん」
ソールが周りを見回しても、該当する人物は全く以っても見当たらなかった。どうやら、既に何処かへ行ってしまった後らしい。
「そのお姉さんがね、『ここなら誰か見つけてくれるはずよ』ってここに」
「そっか……そのお姉さんに感謝しなくっちゃね」
そう言うとソールはコハルの手を取り、
「ルナも心配してる。行こうか、コハルちゃん」
「うん!」
と、少年少女は手をつないで目的の時計台まで歩いて行った。
「……」
その様子を遠くから、見守る白い影があった。
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