第7章:シズミの町
第117話 シズミの町
ソール達一行は、シズミの町へと辿り着いた。そこは漁業で繁栄している港町で、薫る潮風に耐えられるようにレンガ造りになっている家々が広がっていた。
ラバンカの町から歩いて数時間、山を二つ三つ超えた先に辿り着いたその町は、一行が訪れたどの町よりも栄えた町だった。そのため、宿屋を探すのにも苦労は掛からなかった。
「さて、宿も確保できた所だし、出掛けてみるか?」
ヴァーノとウォルは、少しでも町の情報を得るためにこの町のマーケットを見て回ることにした。因みにソールやルナ、コハルと言えば旅の疲れを癒すために宿屋で休息をとることにした。
「なるほど流石はシズミ、やはり海産物が多いな」
ヴァーノとウォルの二人が海産物の土産物を眺めていると、
「おぉ、これはまた珍しい顔ぶれじゃないか」
と、話し掛けて来る声があった。二人がその声のした方へ振り向くと、そこには馴染みの顔があった。
「イオナさん、ご無沙汰してます」
二人は同時に頭を下げた。
「そんなに畏まるなよ、気楽にいこうや」
「いえ、魔導士教会の先輩です、そこは礼儀を通させてください」
「相変わらず堅苦しいなぁ、お前らは」
イオナと呼ばれた男は、腰に手を当てて言った。
「それよりお前ら、『例のブツ』を探しに行ったんじゃなかったのか?どうしてこんなとこに?」
「あぁ、それならもう見つかっていまして。今はカシオズに戻る道中なんですよ」
これまでにないような丁寧な口調で、ヴァーノは答える。それだけで、彼にとってイオナという男がそれほどの者だということを物語っていた。
「そうかそうか、アレが見つかったか」
「ところで、イオナさんはどうしてここに?」
ウォルが疑問を口にした。
「イオナさん、確か今はカシオズの街の研究グループでしたよね?ルーンの開発をしてるとかって聞きましたけど……」
「おぉ、よく覚えてたな。……実は今、諸事情があってな」
「「……?」」
胸に一抹の不安を覚えながら、ヴァーノとウォルは話を聞くことにした。
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