第44話 看破する正体
「……何を、言っているんだ?」
キースが再びソールに問い掛ける。しかし、先程までと異なりその
(この反応、やっぱり)
確信を得たソールは、今度は胸を張って言う。
「聞こえなかったんですか?貴方が魔導士じゃないって言ったんですよ」
「何を根拠にそんなことを」
「貴方が本当に魔導士だとしたら、どうして魔導を使って僕らを攻撃して来ないんですか?」
「ソール、どういうこと?」
「……」
その問いに、魔導士(?)キースは答えることが出来なかった。構わずソールは言葉を続ける。
「その答えは単純なんだ。キースさん、貴方は魔導士のフリをしているだけ、ルーンを扱えるだけで魔導なんか使えないんじゃないんですか?」
その言葉で、場の空気が一気に変わった。先程まで優勢だったキースは動揺し、自らの正体を看破したソールに恐れを抱き始めていた。
「そう、思えばあの時……屋敷での呟きを思い返せばおかしかったんだ。本当に魔導士だったのなら、自分の身を守る手段として魔導を使えるはずなんだ。それなのに、キースさん、貴方は領主の傍に身を置くことで自らの安全性を確保した」
ソールが一息置いて、
「それにこの町が呪われているなんて真っ赤な嘘……そうして呪い師として人々に存在を誇示することで、信頼と地位を獲得した。……違いますか?」
「……そこまで分かってるんなら、仕方ねぇ」
それまで黙ってソールの話を聞いていたキースは、静かに口を開き始める。
「やっぱりお前らには、ここで消えてもらう!」
と、勢い良くキースがナイフを片手に突っ走る。その矛先は、当然ソールへと向かう。
「!?」
ソールは寸での所でそれを
「おっと、動かない方がいいですよ」
逸る鼓動を意識しつつも、飽くまでも冷静を装ってソールは告げる。ポケットから懐中時計を取り出しながら、
「これ、何だか分かりますか?」
「……何だそりゃあ?」
時計を見せ付けられたキースは、キョトンとした顔をさせる。
(やっぱり、この時計も知らない……。だったら)
「魔時計ですよ。簡単に言えば、魔法を扱える道具です。僕の知ってる本物の魔導士であれば、喉から手が出る程欲しがる代物です」
「魔時計……」
「そう、これが力を発揮すれば、貴方なんて空の彼方へと飛ばされる……大人しくした方がいい」
一か八か、ソールは賭けに出る。
「さぁ、大人しく捕まって下さい!」
「……」
キースは少し黙り考え、
「ハッタリだな」
「な!?」
「本当にそれにそんな力があるなら、お前こそどうしてそれを最初から使わない?そんな嘘話で俺を騙せると思ったか!」
激情したキースは一直線にソールに襲いかかる。
そして……。
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