第24話 魔導士との再会

「……それで、説明してくれますか?」


 ソール達が青髪の女性に連れられて行き着いた先は、彼らもよく知っている場所だった。というのも、二人の大切な場所である名もなき小さな公園だった。


「……」


 女性の方はソールの声掛けに対し、俯いていた。


「ここまで逃がしてくれたことには感謝してます。でも、どうして助けてくれたんですか?だって貴方は……」


 ソール達を助けたのは、かつて二人に接触してきた魔導士の二人組、その女の方だった。


「貴方達を助けたのは、必要だったから」


「必要?」


 女魔導士の言葉に、ルナが反応した。


「そう、貴方が持っている、時計の力が」


「……また、僕なのか」


 そう呟き、ソールは自らの拳をグッと強く握りしめた。


「どうして、僕の時計が必要なんですか!?」


 少年がそう問いかけた時だった。






「そこからはオレが話そう」


 公園の入り口の方から、男の声がした。ソールとルナがその方向に視線を向けると、そこには赤髪の男が立っていた。少年達はその男のことも知っていた。


「……やっぱり、貴方もいたんですね」


「あぁ」


 男は素っ気ない態度で返した。そして、ソール達の近くへと歩み寄る。


「それにしても」


 男はソールとルナに視線を向けた後、女魔導士の方をじっと見た。


「まさか本当に手を貸すとはな」


「……ごめん。でも、どうしても、放っておけなかった」


 女は俯きながら答える。それに対し男はため息を吐きながら、


「まぁ、こうなるとは思っていたがな」


 そう言いながら、男は懐から幾つもの紙の札を取り出した。


「……それは?」


 気になったソールが投げかける。


「これか?これは『人心のルーン』だ。キミ達を襲っていたものの正体さ」


 そう言うと、男は掌から炎を生み出し、その紙束を燃やした。よく見ると男の手の甲には幾何学的な模様がペンで刻まれていた。


「まったく、こんな手の込んだ真似までするとはな。どうやら『教会』は本当にキミから時計を強奪するつもりらしい。どんな手を使ってでも、な」


「あの……いいですか?」


 ルナが手を挙げて質問をしようとする。


「今日のアレって、貴方達がやったんじゃないん、ですよね?」


「当たり前だ。でなければ、コイツがキミ達を助けるなどするものか」


 男の方は嫌々ながらといった雰囲気で即答した。その言葉に女の方はまた下を向いた。


「キミ達はその時計について何処まで知っている?」


 今度は男の方がソール達に投げかける。


「えっと……これが『魔時計』で、不思議な力があるということ、くらいです」


「そうか」


 男は懐から煙草を手に取り、手で火をつけた。


「それなら、まずはそこから話そうか」

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